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殿下の教育係  作者: 戦乃作為
第2章 【学園生活と日常】
52/111

第51話 『お節介と忠誠心』

「教育係」

「はい、如何しましたか?」

「三つ編み眼鏡に正体を打ち明けよう」


その日、学校から帰ったボクは決断した。

三つ編み眼鏡に正体を打ち明けると。


それは後回しにしていた懸案事項。

編入の慌しさで手がつけられなかった。

そろそろ打ち明けるべきだろう。


舞踏会で赤いドレスを着たボク。

それを見て三つ編み眼鏡は勘違いした。

彼女はそれがボクだと気づかなかった。

そして、現在においても気づいてない。

同じクラスで授業を受けていても。


薄桃色髪のウィッグと鳶色のカラコン。

そして学園指定のスカートを穿くボク。

そんなボクを彼女は目の敵にしていた。


教育係を横取りしたと勘違いしている。

ボクが、ボクの教育係を、奪ったと。

自分で言っててもよくわからない。

だからこそ、認識を正すべきだと思う。


最近、三つ編み眼鏡によく睨まれる。

ボクが教育係と話をしている時。

彼女はじとっと視線を送ってくる。


普段は気弱で温厚な三つ編み眼鏡。

彼女のふくれっ面をもう見たくない。

それが他ならぬボクの為なら尚更だ。


彼女はボクの為にボクに怒っていた。


しかし、その原因を作った張本人。

諸悪の根源たる教育係はすまし顔。


「別に打ち明ける必要はないのでは?」


いけしゃあしゃあと無責任な事を言う。

ボクはそんな奴に説教してやる。


「三つ編み眼鏡がかわいそうだ」

「勝手に勘違いしているだけですよ?」

「それでもだ」


ボクの言い分に渋々頷く奴。

教育係と三つ編み眼鏡の確執。

巨乳と無乳の対立。


それを緩和する為にも、改めて命じる。


「三つ編み眼鏡を呼べ」

「かしこまりました」


画して、三つ編み眼鏡が召喚された。


「し、失礼しますぅ」

「苦しゅうない、近う寄れ」


おずおずと入室する三つ編み眼鏡。

ボクはいつものように呼び寄せる。

すると、彼女は目を丸くして驚いた。


「ど、どうしてあなたがここに!?」


三つ編み眼鏡の視線の先。

そこにボクがいた。

赤いドレスを身に纏った、ボクが。


カラコンもウィッグも装着済みだ。

舞踏会と同じ姿で彼女と対面した。


暫し呆然とする三つ編み眼鏡。

そして、辺りをキョロキョロ。

次の瞬間、眦を上げて、吼えた。


「殿下をどこにやったのですかっ!?」


いや、ボクはここにいるんだけど。

あまりに的はずれな問いかけ。


けれど、彼女は本気だった。

普段は気弱で温厚な三つ編み眼鏡。

そんな彼女が、吼えたのだ。


それだけボクの身を案じているようだ。

そんな彼女に、教育係が答える。


「殿下は目の前にいますよ?」

「ふざけないでっ!!」


聞く耳を持たない三つ編み眼鏡。

教育係はカチンと来たらしい。

意地悪く笑い、挑発を口にする。


「随分と気が立っているようですね」

「ええ、最近のあなたの態度にね!」

「気に障るようなことをしましたか?」

「この子と仲良さそうにしてた!!」

「ええ、私たちは仲良しですからね」


そう言ってボクの肩に手を回す教育係。

ボクはすっかりびびっていた。

あの三つ編み眼鏡が激怒するなんて。


これはやりすぎだ。

慌てて止めに入る。


「やめ……むぐっ」

「少し、黙っていて下さい」


しかし、教育係に口を封じられた。

そして奴は三つ編み眼鏡を睨む。

三つ編み眼鏡も教育係を睨む。


バチバチと両者の視線が交差した。


口火を切ったのは、教育係だ。


「前々から思っていましたけど……」

「な、なんですか?」

「貴女は少々お節介が過ぎますね」


辛辣な教育係の指摘。

三つ編み眼鏡の目に涙が溜まる。

それを堪えて、彼女は再び吼えた。


「殿下の為ですからっ!!」


真っ直ぐな三つ編み眼鏡の主張。

その視線に射抜かれた教育係。

暫し、じっと見つめ合う。


「……まあ、いいでしょう」


それだけ言って、奴はボクを解放した。

まったく、話が拗れすぎだ。

ボクは早急に事態を解決するべく動く。


「これを見てくれ」


ボクはウィッグとカラコンを外した。

露わになる本来の赤髪と赤目。

それを見て、三つ編み眼鏡は驚愕した。


「で、殿下……?」

「ああ、ボクだ」

「ほ、本当に殿下ですか?」

「そうだ。黙ってて……悪かった」


ぺこりと三つ編み眼鏡に頭を下げる。

すると、彼女はボクに抱きついた。


「うわああん!殿下ぁああああっ!!」

「むぐっ。ふがっ」

「ご無事でなによりですぅううう!!」


豊満な胸を押し付けられる。

そのまま大泣きする三つ編み眼鏡。

まさか、ここまで心配してくれるとは。


思わずボクも目頭が熱くなる。

しかし、今はそれよりも、呼吸だ。

酸素、酸素が欲しい。


「こらっ! 殿下が苦しそうですよ!」

「あっ! ご、ごめんなさぁいっ!!」


窒息寸前なボクを教育係が引き剥がす。


あ、危なかった。

やっぱり巨乳怖い。


息を整えて、気を取り直す。

そして三つ編み眼鏡に告げる。


「もし良ければ、夕食を食べていけ」

「よ、喜んでっ!!」


すぐにメイドが夕食を持ってきた。

そして、ワインボトルも携えて。

これが、誕生日プレゼントの礼だ。


三つ編み眼鏡にそれを差し出す。


「良いワインらしい。飲んでみろ」

「あ、ありがとうございますぅ!!」

「礼なら奴に言え」


仏頂面の教育係に視線を送る。

未成年のボクにワインは飲めない。

当然、その良し悪しもわからない。

だから、教育係が選んでくれたのだ。


「あいつが選んでくれたんだ」

「ほ、本当ですか……?」

「ええ、僭越ながら」

「嬉しいですぅ! 教育係さん!」


説明すると三つ編み眼鏡は喜んだ。

教育係も満更でも無さそう。

そんな2人の様子に、胸を撫で下ろす。


これを機に仲良くなって貰いたい。

ところが事態はあらぬ方向へ向かう。


「もし良ければ一緒に飲みませんか?」

「よろしいのですか?」

「先程の非礼のお詫びですぅ!」

「私も……先程は言葉が過ぎました」


珍しく教育係が非を認めた。

そして、三つ編み眼鏡を、讃えた。


「貴女は殿下への忠誠心を見せました」

「教育係さん……」

「お節介と言って、申し訳ありません」

「いいんですよ!ほら、飲みましょ?」

「ありがとうございます」


そうして、仲良く飲み始める2人。

これではこの前の二の舞である。

酒乱事件が脳裏をよぎる。

教育係まで酔わせるわけにはいかない。

だけど、これで2人が仲良くなるのなら。


ボクには……止められなかった。


「殿下ぁ! 殿下ぁ〜!」

「な、なんだ……?」


しばらくして、酒乱娘が現れた。

ちなみに教育係はすでに潰れた。


「れんかはうわきものれすぅ……」


人聞きの悪い寝言をほざく教育係。

テーブルに突っ伏して、べろべろだ。


「殿下ってば浮気者なんれすかぁ?」


同じくべろべろな酒乱娘。

ボクは冷や汗を流して、黙秘した。

何を言っても絡まれそうで怖い。


すると、酒乱娘は話題を変えた。


「それにしても驚いたれすよぉ」

「何がだ?」

「殿下がデンカちゃんだなんて……」


感心したようにこちらを見る酒乱娘。

今、ボクは赤いドレスを着ている。

裾は長いが背中が大きく開いたドレス。

そこに、酒乱娘の魔の手が蠢く。


「ひぅっ!?」

「きゃは! 感じちゃったれすかぁ?」


背中をスリスリする酒乱娘。

撫で方が酷くいやらしい。

そして、とんでもない暴挙に出た。


「どれ、お味は〜?……ぺろっ」

「うひゃあんっ!?」

「きゃははっ! おいし〜!!」


な、舐められた。

背中を舐められるなんて初めてだ。

鳥肌がぶわってなった。

そして、身体の奥がジンジン熱い。


そんなボクの背中を酒乱娘が攻める。


「ぺろぺろ。ちゅっちゅっ」

「あっ! こらっ! やめっ!」

「きゃはは〜! 顔真っ赤だよぉ?」


だ、駄目だ。

これ以上は……妊娠する。


危機感を抱いたボクは話題を逸らす。


「み、三つ編み眼鏡」

「ん〜? なぁに?」

「教育係をベッドに運ぶのを手伝え」

「わかったぁ!」


敬礼して命令を受諾した酒乱娘。

酒癖は悪いが、可愛らしい。

そんな彼女と教育係を運ぶ。


「ふぅ……よし、これでいいな」


教育係をベッドに寝かせる。

べろんべろんな教育係。

そんな奴の頬を、酒乱娘が突つく。


「教育係さんってば、お酒弱いね〜」

「わらひはよってまへんっ」

「きゃはは〜! かわいー!!」


酒乱娘に揶揄わられる教育係。

中々見れない光景だ。

その様子をしかと目に焼き付けるボク。


すると、突然酒乱娘に押し倒された。


「な、何をするっ!?」

「えへへ〜! 殿下もねんねしよ?」

「ド、ドレスがシワになるだろう」

「気にしなーい、気にしなーい!」


酒乱娘がボクの上に跨る。

マウントポジションを取られ動けない。

そんな状態で、彼女は服を脱ぎだした。


「おまっ! 何をやっている!?」

「ええ〜。だって、熱くてさ〜」

「ボクの上で脱ぐなっ!!」

「でも、見たいでしょ〜?」

「……はい」


あれっ!?

なんか上手く言いくるめられた!?

信じられない。

こんなべろべろな酒乱娘が。

このボクを言いくるめるなんて。


困惑するボク。

そんなボクの上で酒乱娘が脱ぐ。

シャツのボタンが外れていく。


1つ外れる度に胸がぷるん。

まるで戒めが解かれていくようだ。


下から眺める彼女の胸。

その巨大さを改めて実感した。

それをついに拝むことが出来る。

期待せずには、いられなかった。


しかし、その期待は、打ち砕かれた。


「ふあ〜あ。なんか眠くなってきた」


酒乱娘が大あくび。

そのまま頭をこっくりこっくり。

今にも寝そうな勢いだ。


待て。待ってくれ。

ここまで来て、それはないだろう!?


堪らず、彼女に呼びかける。


「おいっ! しっかりしろ!!」

「むにゃ……おやすみなさ〜い」


バタンとベッドに倒れ伏す酒乱娘。

何度か肩を揺するが、起きない。


そんな。

嘘だと、嘘だと言ってくれ!

助けてくれ。

誰か、助けて下さい!!

酒乱娘が目を覚まさないんですっ!!


「うぅ……こんなの、あんまりだ」


血の涙を流すボク。

そんなボクの袖が、くいくい引かれた。

見ると、教育係がこちらを見ていた。


「れんかぁ……」

「ど、どうした?」

「あっち」

「えっ?」

「あっち、いこ?」


あっちに行こうと教育係が言う。

奴が指差した方向には来客用ソファ。

どうやらそこに行きたいらしい。


だけど、何故ソファに?

首を傾げながらも、手を貸してやる。


「仕方ないな……ほら、立てるか?」

「ん……れんかはやさしいれすねぇ」


よちよち歩きの教育係をソファへ。

すると奴はその場でズボンを脱いだ。

露わになる、いちごパンツ。


「お、お前まで何をしてるんだ!?」

「らって〜あっついんだもん」


あっついんだもんって。

お前、本当に教育係か?

本当に酒の力とは恐ろしい。


恐れ慄くボクの袖を奴が引っ張る。

そのまま、ソファに押し倒された。


「お、お前まで何をする!?」

「ここで、いっしょにねよ〜?」

「は?」

「ここがいい! ね? おねがいっ!」


両手を合わせて懇願する教育係。

そんな風に頼まれたら、断れない。


「わかった」

「くふふっ。れんかはちょろいれすね」


酔っ払っていても口の減らない教育係。

けれど、酔っていた方が可愛げはある。


2人でソファに横になる。

すると、奴の生足がボクを挟み込む。

ちなみにボクもドレスの為、生足だ。


素肌同士の接触にドギマギする。


「れんかはすべすべれすね〜」

「お前もすべすべだ」

「きもちいいれすね〜」

「そうだな」


足を擦り付けられながら会話を交わす。

ドキドキするけど緊張感はない。

きっと奴が酔っ払っているからだろう。


けれど、やはり教育係は教育係だった。


「ぱんつのなかもすべすべれすよ〜くぅ」


とんでもないことを口走った奴。

そして、そのまま眠りについた。

とりあえず、聞かなかったことにしよう。


ボクの教育係は、すべすべらしい。

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