表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殿下の教育係  作者: 戦乃作為
第2章 【学園生活と日常】
49/111

第48話 『スカートの魔法』

「おかえりなさいませ殿下!」

「ああ、ただいま」


離宮の玄関を開けるとメイドの出迎え。

彼女はボクの手から鞄を受け取る。

そして、急かすように先導した。


「早くお部屋に行きましょう!」

「ああ、わかった」


ボクの世話を焼きたくて仕方ない様子。

そんなメイドに苦笑するボク。

教育係もその後をついてくる。


そして部屋に入るなりメイドがほざく。


「制服を着させて下さいっ!」

「は?」


突然の妄言に思わず困惑する。

何を言ってるんだこいつは。

首を傾げるボク。


メイドはモジモジしながら説明した。


「一度でいいから制服を着てみたくて」


なるほど。そういうことか。

その気持ちはボクにもわかる。

長い軟禁生活で何度も思った。


だから、その意を汲んでやる。


「ボクので良ければ、着てみるか?」

「はいっ! ありがとうございます!」


とても嬉しそうな銀髪メイド。

思えば誕生日のお返しもまだだった。

これでお礼になるなら安いもんだ。


「殿下の制服を破かないで下さいね?」


そこで教育係が釘を刺す。

けれど、断固反対な様子ではない。

呆れながらも、黙認するようだ。


「はいっ! 大切に着ます!」

「じゃあ、ボクは脱ぐから席を外せ」

「わかりましたっ!」


パタパタ退室する銀髪メイド。

教育係も続いて退室する。

その間際に、ボクに文句を言って。


「殿下はメイドに甘すぎです」


じろっとひと睨みして扉が閉まる。

ボクの教育係は独占欲が強すぎだ。


「入っていいぞ」


パジャマに着替えて声を掛ける。

それを受けてメイドが入室。

教育係も入ってくる。

奴はいつもの燕尾服に戻っていた。

別室で着替えて来たようだ。


「ほら、着てみろ」

「はいっ!パパッと着ちゃいますね!」


そう言ってスカートに手を入れるメイド。

パサリと足元に落ちる布切れ。

それは、黒のスケスケの、パンツ。


何を考えているのだろうか?


「メイド」

「なんですか?」

「どうして下着を脱いだんだ?」

「殿下の制服を汚さない為です!」


全く意味がわからない。

だが、それもまた一興、か。

ボクは納得してメイドの着替えを眺める。


すると、教育係に怒られた。


「納得してないで部屋から出なさい!」


首根っこを掴まれて強制退室。

ボクが文句を言う前に扉が閉まる。

奴は扉の向こうから通せんぼ。


どうしてこんな目に遭うのか。

そして何故奴は良くてボクは駄目なのか。

悶々としていると、扉が開いた。


「えへへ。どうですか?」


中に入ると、制服姿の天使が。

サイズが小さいようでパツパツだ。

だが、むしろ、それがいい。


「とてもよく似合ってるぞ」

「あ、ありがとうございます!」


ぺこりとお辞儀する銀髪メイド。

それを見て……つい、魔が差した。


「ちょっとその場で回ってみろ」

「こうですか?」


メイドがくるりとその場で1回転。

フリフリスカートがふわりと持ち上がる。

ギリギリ尻が見えるかどうか。

見えたような、見えなかったような。


そんな、ノーパンの銀髪メイド。


そして、こいつはドジっ子だった。


「はわわ……きゃひんっ!?」


なんと、足がもつれて、転倒した。


しかも、大股をこちらに広げて。


「殿下、お目を失礼します」

「あっ! こらっ!?」


その瞬間、ボクの視界が塞がれた。

もちろん、教育係の仕業だ。

視界を奪いつつ、奴はメイドを叱る。


「まったく、何をやってるんですか」

「いてて……ご、ごめんなさい」

「殿下の制服は無事ですか?」

「は、はい。 大丈夫です」


メイドの尻より制服の心配をする奴。

その後、銀髪メイドが立ち上がる気配。

ボクは決定的な場面を見逃した。


いや、前にもあった。

パンツを脱ごうとしたメイドが転倒した。


けれど、前とは状況が違う。

今日のメイドは学園の制服姿。

悔やんでも、悔やみ切れなかった。


血の涙を流すボク。

そこで奴が手を離した。

視界を取り戻したボクは食ってかかる。


「お前っ! なんで邪魔をするんだ!!」

「殿下の健全な教育の為です」

「世紀の瞬間を見逃したんだぞっ!?」


激昂するボク。

すると、奴はこんな提案をした。


「では、私が穿いてみましょうか?」

「えっ?」


唐突に意味不明なことを言われた。

奴が? 何を穿くって?

話の流れ的にスカートだろう。

だけど本当に? 教育係がスカートを?


困惑するボク。

それを置き去りに、奴はメイドに命じた。


「という訳で、脱ぎなさい」

「ふぇっ!?」

「私が脱がせて差し上げます」

「ひぅっ! あっ! だめぇっ!!」


メイドを脱がせにかかる教育係。

ボクは呆然とそれを眺める。

すると、奴に怒鳴られた。


「早く部屋の外に出なさいっ!!」


それを受けて、大人しく退室するボク。

なんだか最近扱いが雑になってきたな。

そんなことを思っていると扉が開いた。


「も、もうお嫁に行けませぇーん!」


涙を流してメイドが飛び出してきた。

メイド服も半脱げ状態だ。

あられもない彼女はそのまま逃亡した。


それを見送ったボク。

すると、ドアから奴の手が出てきた。

そして、ちょいちょい手招き。

それに促されて、ボクは入室。


「如何でしょうか?」


フリフリスカートの教育係。

白い美脚が眩しくて、妖しい。

奴はその場で1回転。

ボクの視線は釘付けだ。


「教育係」

「はい、なんでしょう?」


キョトンと可愛らしく首を傾げる奴。

そんな破壊力抜群な教育係に、尋ねる。


「今日はいちごパンツと言ってたな?」

「それはさっきまでの話です」

「では、今はどうなんだ?」

「くふっ。知りたいですか?」


そう言って奴はスカートをちらり。

ギリギリの境界線で焦らす。

本当に意地悪な奴だった。


「教育係」

「はい、どうしましたか?」

「明日はそれで登校しろ」

「嫌でございます」


ボクの提案をきっぱり断る教育係。

そして蠱惑的な笑みを浮かべて、囁く。


「スカートを穿くのは殿下の前だけです」


ボクの教育係はスカートがとても似合う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ