第11話 『銀髪メイドの下着』 その3
「昼食をお持ちしました」
昼になったら侍女が現れた。
てっきり嫌われたと思っていた。
教育係の言う通り照れていただけだったのか?
「あ、あの……」
「なんだ?」
「で、殿下は白がお好きなのですか?」
「は?」
唐突な問いかけ。
こんなことは初めてだ。
一瞬惚けて、慌てて我に返る。
「あ、ああ。お前には白が似合う」
「そ、そうですか……あの、実は……」
「どうした?」
何やらモジモジして顔が真っ赤だ。
体調でも悪いのだろうか?
「し、白に穿き替えて来ましたっ!!」
なん……だと?
全くの予想外。思考が停止する。
いや、固まっている場合ではない。
白に穿き替えたと、そう聞こえた。
それは靴のことか?違う、靴は黒だ。
ならば、それは恐らく……
「私が確認致しましょう」
「へっ?」
「ほら、早く後ろを向いて下さい」
「あ、あのっ!そんなっ!あっ!」
「ふむふむ。純白ですな。素晴らしい」
「あ、ありがとう、ございましゅ……」
ボクの視線を避けるように確認された。
ボクに背を向ける形で、教育係が。
呆気に取られ、開いた口が塞がらない。
「殿下。確かに白でした」
「そ、そうか……」
教育係がしれっと報告する。
頷くことしか出来ない。
「では、下がりなさい。ご苦労様です」
「あ、はい。あの……」
「なんですか?」
「また、見て貰えますか……?」
「ええ。私は殿下の眼ですから」
待て待て待て!
いつからボクの眼になったんだお前は!?
しかし、あまりの事に何から文句を言えばいいかわからない。憤死寸前だ。
「それでは失礼致します」
「ま、待っ……」
頬を薔薇色に染めた侍女は、銀髪を靡かせ、立ち去った。立ち去ってしまった。
「嫌われてなくて良かったですね」
「……ボクはお前が嫌いだ」
「そんなに想って下さって、嬉しいです」
ボクの怨嗟の声に、何故かご満悦。
初めて見るようなはにかむ笑顔。
それで、全て許せるから不思議だ。
「……さっきのは嘘だ」
「おや?……余計に照れてしまいます」
本当に、この教育係は大した奴だった。




