第9話 『初めてのスカート』 その1
「少し休憩だ」
「ではその間にこれをご覧下さい」
恋文に目を通し終え、一息つく。
ボクと会ったことさえない者達の恋文。
ボクは恋愛とは何かよくわからない。
そんなボクに教育係は漫画を差し出す。
「……漫画か」
「お気に召しませんでしたか?」
「いや、気晴らしには丁度いい」
「それではお茶をお持ちしますね」
如何わしいイラストの表紙を眺める。
今のボクにはこれの良さがわからない。
しかし、ヒントを得ることは出来る。
そう思って読み進める。
「どうぞご賞味ください」
ペタペタと裸足の教育係が茶を淹れた。
はちみつとミルクたっぷりの紅茶。
香りと甘さでつい顔がほころぶ。
恋愛もこんな風に芳しく、甘ければ……
そんな益体もないことをつい考える。
「如何でしょうか?」
「……まあまあだな」
「恐悦至極にございます」
教育係の尋ねに、顰めっ面で答える。
そして微笑みを恥じ入るように、俯く。
ボクはこいつの言う通り天邪鬼だった。
「ごほん。それで、この漫画だが……」
「何か気になる点が?」
「何故こんなにスカートが短いのだ?」
その漫画のキャラの衣装に疑問を抱く。
明らかに気が狂っているスカート丈。
わざわざ覗くまでもなく、丸見えだ。
「それは女心を表しているのです」
「つまり作中の女は皆、痴女だと?」
「いえ、健全な露出欲であります」
健全な露出欲ってなんだ。
字面からして不健全そのものだ。
「例えば、今我々は裸足ですよね?」
「それがどうした」
「開放感があると思いませんか?」
ふむ。言われてみると、確かに。
ひんやりとした床が心地よい。
窮屈さもなく、開放的である。
「なるほど。これがスカートを穿く理由か」
「殿下も穿いてみますか?」
「いや、結構だ」
「まあまあ、そう仰らず」
いつの間にか教育係の手にスカートが。
ボクはもちろん懸命に拒否した。
だけど、気がついたら……
「うぅ……スースーする」
かなり際どいスカートを穿かされていた。




