第0話 プロローグ 『出会い』
初めまして。戦乃作為と申します。
なにぶん初投稿作品なので、生暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
「誰だ貴様は」
「私は殿下の教育係でございます」
そいつはある日突然現れた。
誰何すると教育係と名乗った。
しかし、俄かには信じ難い。
教育係にしては、余りに若過ぎた。
「貴様がボクの教育係?」
「左様でございます」
教育係はとても若かった。
年の頃は10代半ばといったところか。
他にも数学やら国語やら歴史やらを教える教育係は沢山居るが、これほど若い教育係などいなかった。
皆、大人だ。
「冗談はやめろ。まだガキではないか」
だから鼻で笑ってやった。
すると教育係は下げていた頭を上げた。
御前であるのに、許可も得ずに。
しかし、それを咎めることは出来ない。
呼吸すら忘れて、見惚れる。
さらりと艶のある黒髪が流れ、その相貌が露わになる。切れ長の眼もまた漆黒。
有り体に言って、美しかった。
しかし、同時に、怖かった。
「私が、『ガキ』……ですか?」
その如何にも気の強そうな、誇り高そうな瞳に、はっきりと怒りが宿っている。
教育係は怒っていた。短気だった。
そしてこの日、初めて……
「私より年下の殿下が何を仰るかっ!」
ボクは教育係に叱られた。
それが、ボクと教育係との出会いだった。
読んで下さってありがとうございます。
どうかこれからもお暇な時に読んで頂けたら嬉しいです。