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06・ヘリオスオーブの金属

Side・ミーナ


「ワシはリチャード・アルベルトという。この度はフィールを救ってくれて、本当にありがとう。感謝するぞい」


 私達は今、リチャードさん宅の広間でリチャードさんとエドワードさんに深く頭を下げられています。いえ、私にではなく大和さんとプリムさんにですけど。グリーン・ファングの件は私達騎士団だけではなく、街の人達にとっても大きな問題でしたから、お気持ちはよくわかります。


「まさかグリーン・ファングだけじゃなくて、ブラック・フェンリルまでいたとはなぁ。結界を抜けられる可能性があるって考えると、マジでヤバかったんだな。本当に助かったぜ。ああ、俺はリチャードの孫でエドワードだ」


 街や村を覆っている結界は、全ての魔物を排除してくれるわけではありません。私も詳しいことはわからないんですが、人間に敵意を持っていると弾かれるようです。ですから魔物に追われたハンターや商人が結界の中に入ると、魔物はそこから先に進めなくなるんです。

 ところがその人間に敵意を持っている、というのが曲者で、敵意がなければ結界の中を歩くこともできますし、餌付けされる魔物もいますから絶対に安全というわけではありません。


 なので街によっては大きな壁で周囲を囲んでいることもあります。王都はその典型で、壁を三重にしています。それでも壁は、魔法で補強してあるとはいえ普通の石壁ですから、異常種や災害種を防ぎきれるかと聞かれれば難しいとしか言えないんですけど。

 その壁も結界があることを前提に建造されていますから、結界が破られてしまったら時間稼ぎになるかどうかも怪しいです。


 何しろ災害種は同種族以外に、敵意ではなく破壊衝動を持っているとされていますから、敵意に反応する結界もほとんど素通りしてしまうそうです。ですから町に入ってこられてしまえば、目につくもの全てを破壊することになるんです。


 20年程前にリベルター連邦で、何の種族だったか忘れてしまいましたが災害種が生まれてしまい、国が傾いたことがあるそうです。そのため大規模な討伐隊が組まれ、私の父も参加したそうですし、ソレムネ帝国とレティセンシア皇国以外の国からも多くの騎士や戦士、ハンターが参加したと聞いた覚えがあります。

 討伐にこそ成功したものの被害は甚大、戦いに参加した方も戦場となってしまった当時の首都に住んでいた方も多くが亡くなり、結果首都を放棄せざるをえなかったそうです。


 ちなみにソレムネ帝国が討伐隊に参加しなかった理由は、その10年前に国内で魔物の大氾濫が起こり、その爪痕から復興できていなかったためです。ですから当時の国々も無理をさせようとはしなかったと聞いています。まあ復興してからは、あちこちの国に兵を派遣しているろくでなしで恩知らずの国ですが。


 そしてレティセンシア皇国ですが、その年は凶作による飢饉で国内が荒れていたそうですが、それを災害種に受けた被害のせいとしてリベルター連邦に抗議をしたため、国際的な信用を失い孤立してしまいました。詳しくは覚えていませんが、当時リベルター連邦に多額の賠償金を要求したとかで各国から支援を行ってもらうことができず、さらに経済制裁まで受けたとか。それは今でも尾を引いており、レティセンシア皇国は徐々に衰退してきているそうです。


 それほど大きな被害を出すために災害種と呼ばれていますが、その災害種であるブラック・フェンリルを、大和さんお一人で倒してしまったそうですからとんでもありません。プリムさんは一人じゃ無理だと仰っていましたが、それでもグリーン・ファングを単独討伐されていますから、私達からすればお二人とも常識外れの強さの持ち主です。


「なるほど、アーキライト子爵の依頼か。そういうことならば引き受けよう。いや、是非ワシにやらせてくれ。フィールを救ってくれた恩人のためじゃ、ワシの全てをかけて武器を打たせてもらう」


 私が考え事をしている間に大和さんとプリムさんがアーキライト子爵の依頼内容をお話しして、リチャードさんもエドワードさんも乗り気になっていました。


「だけどよ、エビル・ドレイクを相手にするとなると、店の武器じゃちょいと心許なくないか?」

「それはワシも思っておった。もちろん全ての武器は丹精込めて打っておるが、フェザー・ドレイクならいざ知らず、エビル・ドレイクともなればドラゴンに近い硬さの鱗と羽毛を持っておるじゃろう。二人の魔力があればオリハルコン並に強化することは可能じゃろうが、それでも武器が持つとは思えん」

「そうなんですか?」

「ああ。そもそもGランクともなれば、魔銀ミスリルじゃ色々と不都合が出てくるらしいからな。だから晶銀クリスタイトを使って魔力伝達率を高めることで補ってるんだが、それでも元々の強度が不足してるから寿命も短くなる」


 それは知りませんでした。そういえば王都のGランクハンターは金剛鋼アダマンタイトの武器を使っていますが、それが理由だったんですね。


「確かにGランクハンターは金剛鋼アダマンタイトの武器を使うことが多い。じゃが重い上に魔力伝達率が低すぎることもあって、魔銀ミスリル製とは別の意味で寿命が短いんじゃよ」

「だから神金オリハルコンの武器が最適だと思うんだが、確かほとんど全てがアバリシアでしか採れないって話だな」


 神金オリハルコンの噂は私も聞いたことがあります。金剛鋼アダマンタイト以上の強度を持ち、ミスリル並の魔力伝達率を誇る金属で、それで作られた武器は伝説の武器になることもあるとか。


「ようするに無い物ねだりってことか」

「そうみたいね。だけど武器がないと話にならないのは間違いないから、何本か予備を買っていくしかないわね」


 思ったより深刻な問題みたいですね。普通武器は魔力強化することで劣化を防ぎながら使いますから、使い捨てになることは滅多にありません。もちろん強力な魔物と戦ったりすれば早く壊れてしまいますが、普通はそんなすぐに壊れたりはしません。

 ですが大和さんとプリムさんは、魔力が強すぎるために武器の方がもたないという、思ってもいなかった問題があるみたいです。そういえば父さんも、よく武器を変えていたような……。


「申し訳ないがそうしてもらうことになるじゃろう。幸い晶銀クリスタイトを使った剣と槍なら一振りずつある。今日はそれを渡しておくから、明日の今頃にまた来てくれ。それまでにあと何本か用意しておく」

「すいません、お手数おかけします」

「何を言う。異常種討伐に向かってくれるハンターに、下手な武器など渡せん。まあ今回は時間がないこともあるから、店にある物に無理やり晶銀クリスタイトを付けることになってしまうが」

「それでも助かります。申し訳ないですがよろしくお願いします」

「わかっておる。エド、店の方に案内してくれ。防具も必要じゃろうから、そっちはお前に任せるぞ」

「わかってるよ。ついてきてくれ」

「ええ、お願いね」


Side・大和


 参ったな。まさか魔銀ミスリルにそんな問題があったとは。


 聞いた話からの推測でしかないが、魔力強度、硬度、魔力伝達率を、鉄をオール5と仮定して10段階で表せば、魔銀ミスリルは6、5、8、金剛鋼アダマンタイトが8、8、3、神金オリハルコンが9、7、7ってとこか。


 魔力強度は魔力を流した際による耐久力、硬度は物理的な硬さ、魔力伝達率は魔力を通しやすいかを表しているから、高い数字でまとまっている神金オリハルコンがいかに優れているかがよくわかる。


 だけどその神金オリハルコン、アバリシア神国っていうお隣の大陸が主な産地ってことだし、その国はヘリオスオーブ統一を掲げてる覇権国家らしいから、どこの国ともほとんど貿易はしてないそうだ。

 ここフィリアス大陸だとソレムネ帝国が似たようなことを考えて軍備を整えてるらしいが、そんなことして何の意味があるんだかな。


 それにしても困ったぞ。魔銀ミスリルにしても金剛鋼アダマンタイトにしても一長一短だし、どっちにしても寿命が短い可能性が高いときたもんだ。さらに魔銀ミスリルは鉄の半分ぐらいの重さだが、金剛鋼アダマンタイトは鉄の三倍は重いらしいから、選んだ方の金属を使うことがほぼ決定してしまう。

 せめて魔銀ミスリルに近い軽さと魔力伝達率、金剛鋼アダマンタイトに匹敵する強度と硬度の金属があれば、ってそれが神金オリハルコンなんだよな。かといって神金オリハルコンの入手はほとんど不可能だし、魔銀ミスリル金剛鋼アダマンタイトはどっちつかずの性能だしな……。


 ……待てよ。どっちつかず、一長一短ってことなら、魔銀ミスリル金剛鋼アダマンタイトの合金を作ればいいんじゃないか?確かプリムがザックで買ったアイアンスピアは鉄製だが、鉄にしては強度が高かったな。俺のアイアンソードと同じ鉄でできてるとは思えなかったからてっきり鋼製だと思ってたんだが、それをプリムに聞いたら「鋼って何?」って逆に聞き返されたぞ。


 つまりヘリオスオーブには、合金はないって考えてもいいはずだ。問題があるとすれば、俺が客人まれびとだってことをエドワードやリチャードさんには黙っておきたいってことか。二人にならいいかもしれないが、今はあまり迂闊なことはしない方がいいだろうしな。

 そうだな、こんなことはできないかって感じで提案してみるか。


「ほら、これが晶銀クリスタイトが付いてるミスリルブレードとミスリルハルバードだ」


 おっと、まずはこっちが先だな。

 俺が受け取ったミスリルブレードは片刃の直剣で、プリムの方はハルバードっていう、斧と槍の特性を持ったポールアームだった。


「大和は片刃の直剣を欲しがってたし、あたしも振り回したりするからこっちの方がありがたいんだけど、なんでこんなに都合のいい武器が残ってるの?」


 プリムの疑問はもっともだが、エドワードの答えで納得してしまった。


「簡単な話だ。片刃直剣にしてもハルバードにしても扱いが難しいから、好んで買う奴が少ないんだよ。しかも今フィールにいるハンターはそこまでの技量はないから、誰も目もくれねえ。しかも晶銀クリスタイトが付いてるから魔銀ミスリル製の武器より高い。だからずっと倉庫にしまってあったってわけだ」


 片刃直剣に関しては言う程難しくはないが、ハルバードは斧と槍両方の特性を持ってるわけだから、使いこなすのが難しいって話は聞いたことがある。しかもこのミスリルハルバードは穂先も大きいが斧刃も斧並みに大きく、反対側の鉤爪も2本ある。軽い魔銀ミスリルだから大きくしたんだろうが、バランス的にも使うのが難しいのが一目でわかるぞ。


「なるほどね」

「もちろん予備で買った奴はいるけど、使い勝手が悪いって返品してきやがったからな。しかもすげえ刃毀れして使い物にならなくなったやつを。断ったらハンターズマスターが来やがったから、それ以来ハンターは店の敷居を跨がせてないんだが、お前らなら話は別だ」


 ホントにロクなことしてねえな、ハンターズマスター。それに便乗してるハンターもハンターだが、マジで早めに何とかしないとアミスターとの関係がぶっ壊れるぞ。


「気になったんだけどな、俺達がブラック・フェンリルとグリーン・ファングを狩ったわけだから、近いうちにこの状況は改善されるだろ?そうなったらハンターズマスターはもちろん、ハンターどもがフィールでやってた悪行もバレるし、情報を握りつぶしてたんだから確実に処罰される。あいつら、それを理解してるのか?」

「知らねえよ。まあ全員よそ者だし、フィールから逃げ出すんじゃねえのか?ライナスさんがいるから、どこの町に行っても白い目で見られるだろうけどな」


 つまり何も考えてないってことか。本気で頭悪いんだな。まあ知ったことじゃねえけど。


「別にバカどものことはどうでもいいわよ。それより防具って何があるの?」


 確かにそっちの方が重要だな。なにせプリムは鉄の胸当や肩当がついたバトルドレスに手甲、足甲も装備してはいるが、俺はいまだに制服のままなんだよ。色々な刻印術が刻印化されてる制服だってこともあって夏服や冬服の区別はなくなってるんだが、それでも何日も着続けたいとは思わない。ちなみに制服はグレーのズボンに白で縁取られた瑠璃色のジャケット、それに緑系のネクタイだ。学年によってネクタイの色が違うから、好みじゃないけど仕方がないんだよなぁ。


魔銀ミスリルの胸当に手甲、足甲は基本だな。需要はないけどプレートアーマーやハーフプレートもあるぜ。あとはさすがに金属鎧に比べたら落ちるけど、魔物の皮鎧がいくつかだな」


 なるほどな。手甲、足甲は買うとして、問題は鎧か。さすがにプレートアーマー系はいくら魔銀ミスリル製でも重いし動きが鈍るから論外だから、皮鎧に魔銀ミスリルの胸当てってのが無難な気がする。


「あたしはこのバトルドレスの装甲を魔銀ミスリルに交換してもらいたいんだけど、それってできる?」

「いいぜ。さすがに今日は無理だから明日の朝来てくれれば……そうだな、3時間ぐらいもらえればやってやるよ」

「じゃあそれでお願い。あとは手甲と足甲も魔銀ミスリル製の物をもらうわ」


 やっぱりプリムは、今の装備のバージョンアップか。まあ他のにする意味もないから当然だが。


「はいよ。大和はどうする?」

「魔物の皮鎧って、どんな魔物を使ってるんだ?」

「グラス・ボアにグラバーン、珍しいとこじゃフェザー・ドレイクだな」


 グラス・ボアはともかく、グラバーンの皮使ってるのかよ。

 聞けば大人しくて人懐っこいグラバーンだが、全ての個体がそういうわけではない。だから人を襲ったグラバーンは討伐されるのが普通で、狩られた後は素材という、他の魔物と同じ運命を辿るんだそうだ。他にも売れ残っていて年を取ったグラバーンなんかも素材になることがあるそうだ。確かに全部が全部売れるわけじゃないから、わからない話じゃないか。

 だが俺としては、フェザー・ドレイクの鎧が気になるな。


「フェザー・ドレイクの鎧があるの?見せてよ」

「おう、ちょっと待ってくれ。確かここに……あった、これだ」


 プリムも興味があるみたいだけど、それはよくわかる話だ。

 実際エドワードが奥から引っ張り出してきた皮鎧は、羽毛で覆われた紺碧色の皮鎧だったからな。けっこう綺麗だぞ。


「綺麗な色ね」

「だろ。魔力を流せば魔銀ミスリルに匹敵する硬さになる。これに魔銀ミスリルの胸当や肩当で補強することになるから、防御力はこの店の中でも一番高い。ま、だから売れないんだけどな」


 高すぎるってわけか。まあフェザー・ドレイクはBランクだし、マイライトの森から滅多に出てこないらしいから狩るのも大変だろうしな。


「それじゃそれで頼む。後はプリムと同じく魔銀ミスリルの手甲と足甲だな」

「わかった。これも渡すのは明日になるがいいか?」

「もちろんだ。今日は武器だけ持って帰ることにするよ」

「悪いな」


 こっちのセリフだ。っと、そういや値段聞いてなかったな。


「それで、全部でいくらになるんだ?」

「そうだな、ミスリルブレードが3,000エル、ミスリルハルバードが4,500エル、フェザー・ドレイクの皮鎧に魔銀ミスリルのプレートがセットで7,300エル、バトルドレスに換装する魔銀ミスリルの胸当と肩当が4,000エル、手甲が2,400エル、足甲が2,800エルで、これらは二人分ってことになるから……いくらだ?」


 暗算苦手なんだがな。えーっと……


「全部で29,400エルだな」

「お前、計算早いな」

「そうでもない。というかエドワードもこんな商売してんだから、もう少し早く計算できるようにならないとマズくないか?」

「痛いとこ突くな。じいちゃんやマリーナにもいつも言われてんだよ」


 自覚あったのか。マリーナっていうのはエドワードの幼馴染でミーナの友人だ。元々ミーナはマリーナっていう子を通してアルベルト工房を紹介してくれるつもりだったから、今回の依頼はある意味じゃ渡りに船だろう。

 そのマリーナ、フェアリーハーフ・ドラゴニュートで、水竜系なんだそうだ。エドワードもフェアリーハーフ・ドワーフだから、同じフェアリーハーフ同士ってことで昔から仲が良く、よく一緒に遊んだりアルベルト工房で物を作ったりしてたそうだ。


「ま、今回は2万エルでいいぞ。本当は恩人から金なんてとりたくないんだが、こっちも生活があるからな」


 それは当然だ。ただでさえハンターズマスターやハンターのせいで武器が売れにくくなってるし、他の街や村から封鎖に近い状態だったんだから生活だって楽じゃなかっただろう。というか値切るつもりもないから普通に払うぞ。


「こっちの事情を理解してくれるのはありがたいけどな、それでも譲れないモンがあるんだよ」


 職人の矜持とか意地ってやつか。だけど1万エル近くも引かれるとこっちとしても簡単には頷けないぞ。


「なら25,000エルでどうだ?正直、俺としては最初の買い物でそんなに値切られると、この後が怖くなる。感謝してくれるのはわかるが、俺達からすればただの遭遇戦だったんだからな」


 プリムも大きく頷いている。

 エドワードやミーナ、騎士団、ハンターズギルドの職員、領代とみんな俺達に感謝してくれているが、俺達としてはブラック・フェンリルもグリーン・ファングも倒す予定はなかった。たまたま進路上に出てきたのがそいつらだったってだけで、俺達からすれば降りかかる火の粉を払ったにすぎない。まあ火の粉というには大きすぎるが、言ってしまえば偶然だ。


「たまたまだろうと何だろうと、俺達からすればいなくなったっていう事実が大事なんだよ。しかもこの後エビル・ドレイクの討伐に行くってんだから、俺達としても出来る限りの協力したいってのが本音だ。フェザー・ドレイクが山から降りてくることはほとんどないとはいえ、皆無ってわけじゃないんだからな。ってわけで21,000エルだ」


 実際俺が買ったフェザー・ドレイクの皮鎧は、そういった個体を狩ってるそうだからな。


「一応フィールを拠点にするつもりでいるけど、だからって街の人の生活を圧迫させたいわけじゃないんだよ。24,000エル」

「礼って意味もあるんだよ。それにミスリルブレードにしろミスリルハルバードにしろフェザー・ドレイクの皮鎧にしろ、ずっと売れ残ってたモンなんだよ。だから捨て値でも売れるんならそれに越したことはないんだよ。21,500」

「あっ!そんな上げ方しやがるのかよ!なら23,900だ!」

「100単位はきたねえだろ!21,550!」

「傍から見たら値切るための交渉なんだけど、なんで買う側が値段を釣り上げて売る側が下げてるのよ?」

「普通、逆ですよね」

「完全に子供のケンカと化してるわよねぇ」


 プリムとミーナが呆れているが、俺としても譲れない。ここまできたらもう意地だ。絶対に高値で売ってもらうぞ。それはエドワードも同様で、意地でも安く売りつけようとしている。引いてたまるか。引いたら飲み込まれる!

 なおこの交渉の結果、22.346エルという非常に中途半端な金額での取引が成立し、俺とエドは互いに親友と認め合うことになった。


 自分で言うのもなんだが、何やってんだかな。

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