時代5 絶縁
叱責、折檻、躾、しきたり、けじめ、掟、限定された規定……いろいろな問題が起こりうる社会。
この中から事件性に繋がってしまう事象。
滝内亜里菜は、小学6年生でありながら滝内刑事部長という現役警察官の父を持っているからか、虐めのない学園社会を監視続けていた。
渡真利が丘小学校。6-3教室内。
亜里菜のいる教室には、いくつものカップルが既に存在していた。その中にまだ異性を感じ始めたばかりの村渡悠良が目立っていた。
亜里菜に睨まれている悠良は、常に安全地帯に潜もうと徹底していた。
しかし、6-3の男子たちはそんなコミュニケーションのやり取りはほぼ無視で、悠良が誰彼に絡まれようが最早関係なかった。
「村渡さん、あなた……また、どこか逃げるつもり?」
「逃げるだなんて、滅相もない。ただ用事を思い出して教室を出ようとしたの」
「用事の内容は? まあ、そんなこと聞いても答えないわね。ただね、あなたが男子と絡めないからってボッチになる不幸小学生を演じたって無駄なのよ!!」
「ボッチ? あたしは、友達くらいはいるわよ」
「この教室にいるのかしら?」
「他クラスだけど……ちゃんといるわ」
「ふうん……友達いるって口実で逃げてないわよね」
「用事は、友達と会いに行く内容よ」
「そうなんだ。じゃ、勝手についていくわ。ま、気にしないで用事に行ってちょーだい」
「……」
こんなギクシャクな会話がこうも毎日続いているから、悠良は登校拒否をしようとも考えていた。
「カヤコさん……」
「ユラン? どした? なんか浮かない顔してんなぁ……」
「ホント? マジ、友達いるじゃん。こんなのにもいるだなんて、天地がひっくり返るよなぁ」
ついてきた亜里菜がカヤコの手前ででしゃばってきて一人騒いだ。
「はぁ? ユランさ、誰連れてきた? アレ、あなたの友達?」
カヤコが亜里菜にアゴ先を向けては府抜けた素振りで突っかかった。
「なにさ!! 友達なワケあるかー!!」
言葉と手が同時に出てカヤコの肩を突き飛ばした亜里菜だった。
「キャッ!! 痛い!! なにするのよ!!」
「やっぱり、あなたの友達も同じじゃない? 村渡さんと付き合う人は、所詮はどいつも、汚いヤツなのよね。ホント、やだやだ~」
暴言吐くなり6-3に戻った亜里菜。
「カヤコさん、大丈夫?」
「あなた……いや、ユラン、もうあなたとは付き合わない。ゴメン。あなたとは金輪際はムリだわ。……さようなら」
そんな……その言葉が喉元から吐けないくらい悔しがった悠良。
その晩カヤコの自宅に電話かけたが、本人は出られないと、伝えられた。