プロローグ
『空飛ぶ車』ともてはやされた、「F」という名の最初の「陸空両用型自家乗用車」が発売され、空を飛ぶ車の普及が始まってから178年。
少し予想より遅れ開発が完成した、「劣性遺伝子」の改良により、不老不死が実現してから114年。
ある男により、飛躍的に技術力と科学力が発達し、「転送装置」や、「時空間移動システム」などが造り上げられ、世界中が一変してから93年。
今から、265年後。
およそ700万年前生まれ、栄えた、「人類」が築いた巨大な文明は―――――――
滅んだ。
プロローグ
「ふぁ~、よく寝た」
私は、頭の中で乱雑になっていた本などを一気にしまった。と、同時に時計が見え、それがとんでもない時刻を示しているのに気づき、咄嗟に布団から飛び出す。
八時。それは私から考えれば絶望の表示だった。転校してきてからすぐに本を読むかして構築した、「近寄んなオーラ」とかそういうのが、遅刻してきたということにより一気に崩れてしまう。遅刻なんてしたらさすがにまずい。早く学校に行かなければ――――――と、そう思って着替え終わった服を丁寧にたたんで、ドアに手をかけたその時だった。
何の音も聞こえない。
正確には、外から何の音も聞こえない。
おかしい
絶対におかしい。
私は急に怖くなって、勢いよくドアを開け放った。
誰も居なかった。