イベントが近づいてきたようです。
あー、ほんっとにりゅう兄は昔から変わらない。
「あーーっもういいっ!結びながら学校行くから!!」
りゅう兄に頭をぐちゃぐちゃにされた私はため息をつきながら歩き出す。
りゅう兄に構ってたら遅刻だよ、本当
「あ!ちとせ!!ちとせ!!」
「だーっ!なに?!」
まだなにか?!と私が振り返ると、りゅう兄は満面の笑みで
「いってらっしゃい。」
と、言った。
「………いってきます。」
バカだけど、本当に呆れるほどアホだけど
うん。
別に、りゅう兄の事は嫌いじゃない。
きーんこーん
ざわざわざわ
「あ、ちとせ!おはよー」
ざわざわ
「おはよう美咲ちゃん。…あの、なぜ今日はこんなにも教室が賑やかなの?」
この子は須加 美咲ちゃん。私の友達、黒いサラサラストレートの髪が特徴の可愛い子です。
「え?やだなーちとせちゃん、だってもうあと1週間位しかないのよ?」
「え?なにが??」
テスト…な訳ないし。えー、なんかあったっけ??
「バレンタインよ!バレンタインー!!」
「あぁ…。」
そーいえば、あったなぁそんな行事。
「今年はえーと…なんだっけ、チョコのホールケーキ?だっけ。作り方わかんない…。」
「ん?ちとせちゃん誰かにあげるの??」
「うん。近所のあほでバカな人に。」
もちろんりゅう兄である。
「へえぇー!あ、もしかして本命だったりするの?!」
きゃーと美咲ちゃんが喜ぶ。
えーと…そんな喜ばれるといいづらないなぁ。
「えと…本命では…ないんだ。」
「え?そーなの??義理…でチョコケーキは沢山作るの大変じゃない??」
「んー?作るのは一つでいーの。りゅう兄にしかどーせあげないし。」
「え?…本命じゃないんだよね?」
「え?本命じゃないよ?」
「その人しかあげないの?」
「え、う…うん」
え、なになにこの会話。私なんか変な事言った??
美咲ちゃんの目がなんだか複雑だった。




