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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
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81話 金曜 歴史・地理

 その昔、この世界は黒と白の支柱に支えられ栄華を誇っていた。しかしある時を境に白の支柱は消え去り、黒の支柱だけが世界を支える術となった。

 黒の支柱の四大魔力とされる『天・火・地・水』によって人は生かされ、その魔力の恩恵で冨を得ていた。しかし人々はいつしかそんな黒の支柱の恩恵を忘れ冨だけを信じ、魔力を湯水のように無造作に使い続けた。

 そんな日々を五千年ほど続けたある日。突然黒の支柱の全ての魔力の流れが途絶え、枯渇したと思われた時期があった。人々の不安は増大し、魔石などによって残されていた魔力を求め争いが起こった。その戦いは第一次魔力大戦と呼ばれ、それによって幾つもの大国が滅ぶ事になる。

 そんな戦の中、数ある大国の中でもレンガード帝国の魔石保有量は群を抜いており、余所より侵攻される事はあっても戦いに負ける事はなかった。

 それどころか戦いを重ねる毎に技術革新が進み、魔石の魔力消費を抑えて同じ力を発揮させるなどの新たな技術を開発する事によって、気がつくとレンガード帝国はこの世界で一番の大国となっていた。

 大戦の終わり頃には大国と呼ばれる国はレンガード帝国・リムリードニア共和国・ロアンダリスカ連邦国家の三国しか残っていなかった。

 この三国間の条約によって500年もの長い間続いた戦いはついに終結した。

 だが帝国と同じ大国として残ったとはいえ、いかなる戦いにも中立的立場をとったので生き残っただけのリムリードニア、連邦国家とは名ばかりの敗戦国の集まりだったロアンダリスカ、この二国とレンガード帝国との国力の差は明らかで結果的にはレンガード帝国の独裁世界となったのだった。





 しかし大きくなった国には必ず膿がたまる。



 外敵のいなくなったレンガード帝国はまず皇帝の私利私欲に塗れた堕落から事が始まっていく。酒や女に溺れた皇帝は政に一切関心を示さなくなり、自分の欲望の対象である後宮などに公的なお金をどんどんとつぎ込んでいく。

 するとそれによって政治が横領や収賄、賄賂などの汚職によって腐敗し、次には領主達の悪政によって民達が思い税に苦しめられた。それによってまずは地方での反乱などが度々起こり、それがどんどん帝都へと近づいていく。


 そして帝都で暴動が起きた時歴史が動く事となる。すでに軍隊などを保持出来る統制はとれていなかったレンガード帝国はその一度の暴動によって滅亡へと追いやられてしまったのだった。


 その時に暴動を指揮していたのは、一人の女性と騎士だった。


 その女性は黒い髪と黒い瞳を持った魔導師で、枯渇した筈の魔力を途切れる事無く使い次々と自分の倍もあるならず者達をなぎ倒していった。そしてその傍らには常に寄り添う様に騎士が立ち、彼女に剣を向ける者を次々と屍としていく。


 戦いが終わり、蓋を開けてみると各地の反乱も計画的にこの二人が起こし、帝都に僅かに残っていた戦力も分散させていたのだった。


 斬首刑となる前にレンガード帝国皇帝はその魔導師に問うたという


 「なぜ枯渇した魔力をそのように無限に使える…しかも属性など関係のないお前は一体何者なのだ?」

 「私は黒の加護者…黒の支柱の名により魔力を授かりし者…」

 「黒の加護…者だと…?そのような者聞いた事もないわっ!!」

 

 その質問の答えを聞く事無く、皇帝の首は刎ねられた。

 彼女が浴びる筈の血は側にいた騎士が前に立つ事によって、彼がその返り血を浴びる。鎧について乾いた血は黒く固まったが彼はその血を拭う事無くつけたまま、魔導師の彼女の足下にヒザをつく。


 「---様。これからどうなさいますか?」

 「ジェイライト…。私はこれからこの世界の魔力の流れを戻す為、黒の支柱の元に参ります」

 「私も共にっ!!」


 縋るような騎士の一言を聞き、魔導師は俯く騎士の頭に手を乗せ軽く撫でる。だがその口から出てきた言葉に騎士は項垂れたのだった


 「なりません。あなたはこの国に残り皇帝となってこの国の指針となりなさい」

 「---様…」

 「そして貴方には大きな役割を与えましょう。私はこの世界と同化する事になると思いますが、黒の加護者は必ずこの世界に戻ります。その時には守護者として、加護者に仕える事を許しましょう。これがその証です」


 そう言って魔導師が手をかざした騎士の手には守護者の紋章が浮かび上がった。


 「では、ジェイライト…守護者としての仕事です。私を黒の支柱の元へ送って下さい」

 「はい…。---様、私はいつまでも貴方と共に…」


 にっこり微笑んだ魔導師はジェイライトの魔法によって姿を消したのだった。そして残ったジェイライトはレンガード国土を基盤とし、ガルフェルド帝国を建国した。初代ガルフェルド皇帝ジェイライト・ガルフェルドの誕生である。


 それからはレンガード国が滅んだ事を知ったロアンダリスカ連邦国家がガルフェルド帝国に侵略を初め、第二次魔力大戦の開戦となる。常にジェイライト皇帝は最前線の戦場に現れ、戦いが拡大する前に相手が戦意を喪失するような大きな魔力を見せつける。それによりどちらの国にも大きな被害を出す事なく短期間でこの戦いは終結する事となった


 第一次大戦と違い、ロアンダリスカ連邦国家と和睦を結んだガルフェルド帝国に対して連邦国家が二度と牙を向ける事はなかった。


 賢帝ジェイライトと呼ばれる所以となった戦いであった。


 そして彼が人々の前に姿を表す時、常に左の手を胸にあてて現れる事からガルフェルド国では左の手を胸にあてる事が最大の礼とされるようになった


****


 なんて話をかれこれ5時間ほどぶっ通しで目の前のおじいちゃんに語られている。聞いてるあたしでさえちょっとふらついてるのに、この白い髭をはやしたおじいちゃんは休み無く興奮して話し続けているんだけど…大丈夫なのだろうか?


 「つまり我が国は黒の支柱の加護に護られているんですよ!!いつか現れる黒の加護者の為にね!!」


 …うん。とにかく興奮して話してるけど…目の前のあたしが黒の加護者だって知ったらきっとこのおじいちゃん頭の血管切れて死んじゃうな。


 「…あの、ちょっと休憩しませんか?」

 「そうですね…私もちょっと興奮してしゃべり……」


 そう言うとおじいちゃんがふぅ〜っと倒れた。


 「えぇっ!?おっおじいちゃんっ!!!だ、誰かぁぁぁぁ!!!先生が倒れた!!!」


 あれだけ喋れば本望でしょうけど…お願いだからこのままぽっくりとかは止めて下さい!!!どかどかと慌てておじいちゃんを連れて行く従者達に向かって「お願いします」と手を合わせたけど、考えたらこの姿が「南〜無〜」に見えると思って慌ててやめた。

とうとう毎日更新が途絶えてしまいました。

最近ちょっと産み出すのに苦労してます(汗)

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