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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
75/85

75話 ちんたら帰宅?

 どうしようもないぐらいの倦怠感が身体を覆ってる…。魔力の消費っていうよりは、頭を使いすぎて痛い。コハルの背中に乗ってると気持ちよすぎて次々と睡魔が襲ってくる、だけどここで負けてなるものか…。あたしには果たさなくてはならない使命があるのだ。そんなあたしにウトウトしてるのがばれたのかコハルが心配そうにこちらを振り返って言葉をかけてくれる。


 [主…どうぞお眠りになって下さい。お部屋まできちんとお届けいたしますから…]

 「うん…でも一度寝たらもう起きれそうにない…『ご飯は』絶対食べたい」

 [………]


 そう…何と言ってもこの辛い受験生活の中で唯一の楽しみ。ライザ母さんの腕には劣るものの城の食事は前菜からデザートまで凝っているのにふと素朴な味がしてなかなか旨い。それに朝食でさえ一度食卓に上がった料理は二度と出て来ない。つまり毎回違う料理なので一回食べ逃すと二度と同じ料理に巡り合えないのだ。何て恐ろしい


 「…大丈夫。あたしの食への欲求は睡眠に勝るから…」


 あたしは一度両手で大きく頬を叩いた。ビターンという音が空に響く。前をいくシーも何事かとこちらを振り返るけど大きく手を左右に振って「大丈夫」と意思表示をしておく


 [あ、主っ!?]


 痛い…派手な音がしたものは痛くないっていうけど、普通に痛いし…だけどおかげでちょっと目が覚めた。


 「ふふ…今日の夕食は何かしら?」

 [………]


 そりゃ頭の回線もおかしくなるさ…この二日の疲れとは全然違うハンパない疲労感だもの…。…だからこそ!ここで寝るわけにはいかないっ!!何としても夕食の席につかなくてはならないのだ!


 [わかりました。なるべく早く城につけるようにしましょう]


 あたしの気持ちを汲み取ってくれたのか、コハルは一気にスピードを上げ前を行くシーの左側に追いついた。


 [シー様。主の疲労が激しいので先に戻らせて頂いて宜しいでしょうか?]

 「あ…魔空間使うの?」

 [はい。それが一番早いので…]


 …魔空間?はて?それって確か聖獣が戻る場所じゃなかったっけ?…それって人が入っても大丈夫なんですか?


 「そぉねぇ。確かにちんたら帰るの面倒くさいし、それならあたしは転移魔法で帰る事にするわ」


 う…あたしも!と言いそうになるけど、さすがに転移魔法使える気力は残ってないし、シーと言えど他人の転移魔法に乗るのは嫌だ…。


 [では、ここで…]

 「は〜い。一応無事戻ったら母さんづてに連絡くれる?」

 [了解しました]


 コハルの返事を聞くとシーは「よろしくぅ」と言いながら空中に魔法陣を描き、その身を沈めていった。残されたグロアはしばらくコハルと並行して飛んでいたがこちらに向かって会釈をすると翼をひろげ、右に大きく旋回するとその中心に現れた魔力の渦に消えていった。コハルもグロアの会釈を受けると大きく口を開けた。あ…これって魔力の渦を発生させるやつだよね…でもねっ散々あたしを無視してくれちゃってるけど…確認したい事があるんだけどさっ!!というわけで、口を開けた状態のコハルの頭頂部辺りの毛を思いっきり引っ張る


 [んがっ!……主、痛いです。ヒドいです]

 「…ねぇコハル一つ質問。魔空間って人が入っても大丈夫なの?」

 [魔空間は全ての魔力が存在する場ですので、普通の人間であれば魔空間の気の流れがわからず、対極の属性魔力の流れに触れたりして気を違えてしまいますが、主は体内に全ての属性を宿してらっしゃるので大丈夫だと思います]

 「…うん?」


 …思いますって言ったよね?つまり確信は無いって事だよね?しかも気が違えるって何?恐ろしい事を軽く言いすぎでしょ。


 [では…主、いきます]

 「えっ!ちょっ、ちょっと!!!」


 あたしの疑問形の『うん』をどうやら聞き間違ったらしいコハルは、口を大きく開け魔力を発せると、迷いなくそこへ飛びこんだ。もちろんあたしの叫びは魔空間の中に響き渡るのだった

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