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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
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6話 光の道。転送ドライブへゴー!

 オーブンの修理は魔石をオーブンに戻すだけだったのですぐに終わった。さて、これからの事をミレーヌにどうやって説明しようか?いきなり皇帝の寝室に乗り込みますとか言ったらどう思われるかわからないし…3年の間に遠出とかした事ないからちょっと隣町までとかも無理。


 「あの~ミレーヌ、今日一日店番お願いしていいかな?」

 「ひよどっか行くの?」

 「あ~の、ちょっと魔石の原材料を採取しに…」


 はは…魔石の原料なんて普段は村からちょっと行った川の石コロでしてるくせに…


 この世界、魔法を溜められる石なんてゴロゴロしてるからその辺のでもいいんだけど、川の石は水の流れで角が取れて綺麗になってるから気に入ってあたしは愛用してるのだ。


 「?いつもの川?」

 「ん~もうちょっと遠くまで行ってみようかなって思って、ついでにそこから家まで戻って転送魔法の練習もしたいし…」

 「了解!店番しとく」


 ミレーヌの笑顔に自分の腹黒さが浄化して昇天させられそうになる。あう…今のお姉さんにその笑顔は毒です…はい。


 「じゃあ、…よろしくね」

 「うん。行ってらっしゃい!」


 帰ったら何かミレーヌの好きな物を作ってプレゼントしよう。

 あたしは宿の外で笑顔のミレーヌに見送られながら、そう心に決めたのだった



 ***



 歩いて10分ぐらいでいつも魔石を採取している川の辺りまで来る。

 一応自分の魔法に人を巻き込まないように周りに人が居ないか確かめる。転送空間は目を開けられないぐらいの光の世界なのでポケットからサングラスを出して装着するのを忘れない。一番初めに何も装着せずに転送魔法を使った時にはあまりの光に目をやられて、しばらく頭痛が引かなかった。もちろん普通のサングラスでは無理なので、特殊な魔法フィルターをつけた物を自前で作ってみた。なので蝶番部分には魔石が組み込まれてる。


 「人の気配なし!オッケー。…んじゃあ、行きますか?」


 目を瞑って意識を体の中心に集める。身体の設計図を認識して、それに皇帝の寝室への転送魔法を合成していく。自分の体が沈み込んでいく感覚に転送空間に入った事を認識した。目を開けるとそこは全て光の世界でサングラスが無ければ、やはり目を瞑らなければ耐えられない世界だった。一筋の道が自分の立つ場所から伸びており、自分で歩かなくても意識するだけでその道に沿って立った場所自体が猛スピードで動く。


 「初めはこれに振り落とされるかと思って気が気じゃなかったんだよねぇ…」


 としみじみ呟いてみるが、もちろん周りには誰も居ない。今ではどんなにスピードを出しても大丈夫だとわかっているので出来る限り最速で場を動かす。


 そうしてしばらくそのままでいると、前方に大きな壁が見えてきた。


 「お~ビンゴ。魔法障壁見っけ~」


 壁の手前で場を止めると、とりあえずその壁を見渡してみる。その壁は道を分断するように建っていて左右を見てもどこまでもその壁が続いていた。


 「さて…と」


 あたしは右手をその壁にくっつけ、再び目を閉じた。すると、頭の中で壁が魔法の網に変わる。こうなればもうこっちのもんで、網の綻びを探す。どんなに優れた魔法使いが作った物でも完璧な物などなく、必ず小さな綻びは存在する。小さな綻びさえ見つければ後はそこから服の解れを解くように穴を開ければいいだけの事なんだけど、ただこれが意外と気を使う作業だったりする。


 ここで重要なのが、服と同じく無理に解くと後で修繕が大変になってしまうので、修繕する人が簡単に済むようにきちんと一人分だけを解いて、他を傷つける事はしない。


 う~ん。やっぱり、国の中枢部分だけあって魔法が緻密だしめんどくさいわ…。出来れば帰りは障壁の外から転送魔法を使いたい。こんなの一日に二回も作業したら肩がガキゴキになってしまう。


 「あ、わかり易く目印つけとこうか…」


 修繕する人の為にあたしは自分が通れる穴だけを開けると、そこに全く関係の無い物理魔法をかけておく。簡単に言うと待針を刺したみたいなもの。


 「よしっ!じゃあ乗り込みますかっ!!」


 場を再び動かすとすぐに道が途絶えた場所についた。そしてそこに立つと自分の体が再び沈み込み始め、無事目的の場所に着いた事にちょっと安心した。


 

 どうか余計な人が居ませんように…



 出来れば謝罪文を残すだけで帰れますように…



 この世界の神様お願いします!



 沈むのが収まり、目を開けるとそこには見覚えのある景色が広がっていたが、前回見た光景が広がっていなくて安心する。やはり昼なので人の気配もない。そこまでは予想通りだったが…

 

 「……何でまた転送先がベッドの上なのよ」


 自分が座ってしまって出来たであろう皺を戻しながら、何故か自分の道徳観に文句を言いたくなった。

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