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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
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58話 再び帝都へ


 きちんと30分後に戻ってきたリュージュはあたしがきちんと荷物を用意しているのを見て満足そうに頷いた。話を聞くとライザ母さんへの挨拶とミレーヌが一緒に行きたがったのを止めるのに苦労したらしい。最終的にはライザ母さんを1人この村に置いておくわけにもいかないので…となったらしい。自分が戻ってすぐにメルフォスをこちらに戻すと言った事も説得の勝因だったらしいけど…


 「ではアサミズ行こうか」


 リュージュがあたしの荷物を持ってこちらを向く。…だけどまだ疑問があるんで


 「あと少し待ってもらえます?」


 にっこり笑ってリュージュに言うと、あたしは側にいたコハルに目を向け話しかけた。


 「転移魔法ってコハルも乗れるの?」

 [主、私は一度魔空間に入って主の気配が落ち着いた時点で合流します。主の魔力があれば迷う事なくどこでも合流出来ますので安心して下さい]


 なるほど。そういえばリュージュのルシェもどこからともなく現れた魔力の渦から出てきてたもんね。


 「そっか。じゃあまた後でね」

 [はい。主も快適な旅を…」


 そういうとコハルは空中に浮かび口を大きく開け魔力の渦を発生させた。その中に飛び込む姿はいかにもファンタジーな感じでちょっと感動した。さて快適な旅が出来るかどうかは今からこの人を説得出来るかにかかってるんだけどね?あたしはコハルが魔力の渦に消えるのを見送った後にいつの間にか背後にいたリュージュに顔を向けた


 「もう済んだな?なら行くぞ」

 「あのぉ…その事なんですけどあたし…転移魔法かけます」

 「何故だ?帝都へは私の方が慣れている」


 ガース国の人ので懲りたんで、絶対他人の転移魔法に乗るのはごめんなんです。ただそんな事を言ったらガース国の使者さんに酷い扱いをされた感じなので、どうにか穏便にあたしが転移魔法をかけたいんですけど…


 「あたしの方が魔力あるから」

 「っ!!」


 …あ、落ち込んだ。だって…ねぇ、ほんとの事だし。使える魔法は少なくても使える物の技術は多分あたしの方が精度高いと思うし。落ち込んでる姿のリュージュを無視しつつ…だって仕方ない事のフォローとか面倒くさい…


 「…そんな感じなんで。これかけて」


 あたしはリュージュに用意していた転移用サングラスを渡す。


 「これは?」

 「まぁ…かけてれば分かるから」


 そう言いながらあたしは自分用のサングラスをかけると、髪に魔法がかかったのがわかる…そういえばそんな追加魔法を組んでたんだ。…すっかり忘れていたけど…目の色とか…コンタクト作るのとかもすっかり忘れてたし…


 「こんな時に何なんだけど…城で魔法実験とかしてもいいの?」

 「…?被害が出るような危険な実験であれば事前に申請がいるが、それ以外であれば大丈夫だ」

 

 シリコンハイドロゲルを合成するのに…爆発はしないと思うけど…。取り扱い間違えたら有毒ガス出る工程が確かあった筈…ただこれは白の加護を使った合成だから、城の資料で他に対処出来そうな物があればそれでもいいかな,瞳の虹彩とか変化出来れば一番簡単で目に負担が無いし…あたしが考え事をしている間にリュージュもサングラスをかけたのであたしはリュージュに向ってにこっと微笑むが、…どうやらリュージュは目を瞑っているようで何のリアクションも帰ってこなかった…


 「…それじゃ行きますか」

 

 と言ってから初めて問題が生じた。あたし他人を転移魔法に乗せた事無いんですけど…よく考えたら自分の身体構造と転移魔法を合成させて転移してたから他人を乗せるなんて出来そうに無いんだけど…


 「あの…リュージュ…」


 あたしが話しかけるとリュージュが目を開けた。


 「…どうした?」


 あんだけ大見得切っといて…今更出来ないとか非常に言いにくいですが、正直に言わないとリュージュにあたしのやり方で無理やり転移魔法に乗せて身体バラバラとか洒落にならないんで…


 「あたしの転移魔法1人乗りかも…」

 「は?」

 「…というか人を乗せたことが無いから、やっぱちょっと怖いわ」


 …だからといってリュージュの転移魔法に乗るのも怖いので…


 「というわけで…現地集合にしませんか?」

 「…何が『というわけで』だ」

 「うぅ…だって…」


 リュージュを乗せれない、リュージュの魔法に乗りたくない…どちらも絶対譲れない。そんなあたしにリュージュは大きい溜息を吐く


 「ならば…私がアサミズの追尾魔法をかける。それでいいか?」

 「…追尾?」

 「いわゆる便乗魔法だ」


 リュージュの説明を簡単にすると、メインの魔法をかける人が居て、そのメインの魔法に便乗が出来るグループ魔法らしい…それなら自分が使えなくても上級魔法に便乗出来るらしい。便利な魔法があるもんだ


 「じゃあ…それで…あたしは普通に魔法かければいいんだよね?」

 「ああ。すぐに行くから転送空間で停止しておいてくれ」

 「わかった」


 そういうとあたしは自分の身体を認識して転送魔法を合成していく。いつものように自分の身体が沈みきったところで目を開ける。するとすぐにその空間に歪みが発生してそこからリュージュの身体が現れた


 「へぇ…転移空間に現れるのってこんな感じなんだ」


 リュージュはあたしの横に着地すると、手を四方に動かし何かを確認している。盲目の人が行なう行動にリュージュが目を瞑っている事がわかる


 「リュージュ…目開けても大丈夫だから」

 「?だが…光が…」

 「いいから開けてみてよ」


 あたしがそう言うとこちらを向いて目を開けようとしているらしいが、サングラスに遮られ開けているのかどうか確認は出来ない


 「これは…」

 

 驚いた口調を聞いてようや目を開けたのだとわかる。辺りをきょろきょろと見渡し、それからまたあたしへ顔の向きを戻す。


 「これのお陰か?」


 そういってリュージュが自身のサングラスに触れる


 「そ、この転移空間の光でも耐えられる魔法かけてるから」

 「驚いた。さすがだな…」


 あたしは褒められた事に素直に照れてしまう。


 「じゃ。スピード上げて行きまーす!」


 そう言ってあたしが乗ってる道の加速を上げると、リュージュがよろめいた。慌てて彼の手を掴むと、安定した後もずっと城に着くまで離してくれなかった。

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