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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
53/85

53話 初めての戦闘…そして

後半、R15的残酷な文章があります。

ご注意下さい


 途切れる事のない大音量の咆哮は周辺の大気を震わせ、こちらには大きな音の波となって押し寄せた。あたしはとっさに断熱壁を絶縁膜の外側に築き、空気を固定する事によって音の波を受け止めたが、咆哮と同時に積乱雲から次々と襲ってくる雷撃に断熱壁が弾け飛ぶ。何度も断熱壁を繰り返し作り出して対応するが、内側の絶縁膜も少しずつだが確実に削られていく。そんな中、コハルが口の中に炎を溜める姿が視界に入って慌てた


 「コハル、マテッ!!」


 あたしの叫びにコハルの動きがぴたっと止まる。


 [主?]


 あたしは詠唱を続けながら、コハルに叫ぶ。


 「炎は駄目!!とにかく羽根を広げずにあたしの足場を保つよう努力!!」

 [わかりました]


 属性攻撃を止められたコハルは、なるべくあたしが揺れないように空中停止に近い状態を保つように意識を集中する。積乱雲に対して部分的に炎の攻撃をすると周りの空気が暖められてしまい、その熱によって上昇気流が生まれればさらに急激に積乱雲を成長させてしまう可能性がある。だからといって積乱雲を全て消し去る様な炎の攻撃は周辺への影響が大きすぎてとても指示出来る事じゃない。


 「…少なくとも炎と積乱雲って相性最悪だわ」

 [主…]

 

 …まだまだあたしの魔力は余裕そうだし壁を作り続ける事は出来そうだけど、このままじゃ同じ事の繰り返しなだけで解決には至らない。逃げる事も考えたけど、この雷撃はあたし達を逃がすつもりなんてなさそうだし…という事は問題は積乱雲よりそれに隠れて攻撃してくる雷獣なわけで…


 「ねぇコハル。積乱雲の中の雷獣の位置ってわかる?」

 [はっきりとした位置は難しいですが、咆哮が放たれてる先ならばおおよそ…]

 「ならそこに思いっきり風ぶち込んで」


 隠れてばっかいないで、いい加減姿を見せなっての。一瞬でも姿が見えれば捕まえる…そして引きずり出す。


 [主…いきます!]


 言葉と同時にコハルの尻尾が大きく揺れ、そこから生まれた突風が積乱雲へと渦になって向かう。風が突き抜けた先に見えたのは頭に鋭い角がある白く輝く馬がこちらへ金の瞳を向けていた。


 「ユ…ユニコーン」


 あたしは伝説上の動物が目の前に現れた事に少なからず動揺した。積乱雲に守られたように立つ姿は神秘的で一瞬今が戦闘中である事を忘れさせられた。


 [主っ!!雷獣のチャームに惑わされないで下さいっ!!]

 「チャー…あっ!!」 


 コハルの言葉にハッと自分を取り戻すとあたしは慌てて雷獣に対して空間固定の魔法をかける。これでユニコーンは動けなくなったはず…、しかし予想に反してユニコーンは前脚でその魔法を叩き割った。


 「ぃやぁっ!!」


 力技で無理に破られた魔法の衝撃は術者に返ってくるらしく、あたしの体が衝撃に悲鳴を上げる。


 [主っ!!!]


 コハルがあたしに気を取られてる隙に、また積乱雲の中に隠れられると思ったらユニコーンは雲から飛び出しこちらに一目散に駆けてくる。かなり離れた位置にいたはずのユニコーンはあっという間に近距離まで近づくと先程と同じ様にあたしの魔法壁を叩き割ろうと前脚を高く掲げた。


 [主!!しっかり掴まってて下さいっ!!]

 「コハル!魔法壁消すから、どこでもいいから避けてっ!!」


 あたしは衝撃を受けない為に魔法壁を消しさり、ユニコーンの衝撃に備える。ユニコーンの前脚の攻撃はコハルが旋回する事によって避けられたが、その反動であたしはコハルの背中から落下してしまった


 「いやぁぁぁ!!」

 [主ぃ!!]


 コハルが助ける為にこちらへ向かってくるのが見えるが、それよりも早いスピードで雷獣があたしに向かってくる。



 ドクンッ…



 『魔式、2型発動「空間制圧 フリーフォール」』



 前回と同じく頭の中に声が響き、その途端体が魔力に包まれ降下が止まる。しかし止まったが故にユニコーンが鋭い角をあたしに向け一直線に向かってくる。後から追いかける状態なので前方にあたしもいる為、コハルは炎などの攻撃を繰り出す事が出来ない。


 串刺しになりそうな予感に今度はただ無意識に魔法式が自分の中に組み立てられる。周辺大気を自分の手に纏わせ湿度を凍らせ槍化させ、そしてそれをそのまま真っ直ぐ向かってくるユニコーンに向けた。当然勢いを付けてこちらに向かうユニコーンがそれに対応出来るわけがなく

 

 手に伝わる肉を断つ感触。初めてのその感触は、想像を絶するぐらいに生々しくあたしに衝撃を与える。


 「あ……」


 あたしのその言葉と一緒にユニコーンの断末魔が響き渡り、白く流れ出る体液が氷の槍を伝ってあたしの腕へと流れる。


 「……いやぁっ!!」


 あたしはそれを氷の槍ごとユニコーンを自分から振り払った。ユニコーンの体はあたしの横を力を無くし落下していく。それを側に来たコハルが炎に包む光景を見ていた。


 [主…大丈夫ですか?]

 「コハル……」


 優しくあたしを包み込んでくれるコハルの暖かさに張りつめた何かが切れ、コハルの背に降りた途端にあたしは意識を失った。

私的にはエグイ表現方法だったのですが…大丈夫でしょうか?

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