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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
50/85

50話 お受験戦争、勃発

 ミレーヌは宿の給仕の為、あの後すぐに家に戻っていった。冷蔵庫サイズに戻ったコハルはベッドに腰掛けたあたしの足元で丸くなっている。そんなあたしの手元にあるのはコハルと一緒に送られてきた入学試験説明書。最初のページには帝国魔術学院学長の挨拶。そして2ページからは試験の日時や注意事項などの記載がしてあった。


 「試験は…12月の2週目か…」


 今は11月の2週目、試験まで後一ヶ月という事になる。合格者発表が次の週で魔法便での入学通知と魔術学院正門付近での発表があるらしい。貴族受験者は面接だけ。平民受験者は面接、筆記、実技の3試験があるらしい。やっぱ貴族様はすごい優遇だな…

 貴族クラスは20名クラスを10クラス200名の合格者に対し、平民は40名クラスを2クラス、計80名。そんな結構過酷な平民受験とはいえど、受験者数は毎年増加傾向にあるらしく去年の合格倍率は30倍と書いてある。なので単純計算でも2400人ほどの受験者がいるらしい…どんな人気学校なの?って突っ込みたくなるけど『帝国』と名の付く学校なのだから、あたしの世界で言う国立なんだろうし、魔術の最高峰という事は、「東の○大、西の○大」って感じのようで…


 はい…受かる気がしないです。

 この学校入学だけで、平民的には超エリートですよね?


 そしてやはり平民クラスは年齢制限がないらしく、魔力重視の実力世界のようだ。合格ラインが3試験の合計で500満点中450点…しかも合格者多数の場合は抽選ありらしい。


 「…お受験戦争じゃん」


 あたしは3ページ目にして挫折しそうな心を奮い立たせて、次のページに移った。そしてそこに載っていたのは


 「……何コレ?」


 どうみても筆記の試験問題が記載されている。一瞬カンニング?もしかして皇帝が裏から手を回したのかって焦ったけど、どうやら違うらしい


 「え~っと、下記の試験問題を別紙答案に答え、入試日に提出?」


 何ソレ?これを前もって記入して試験日に提出すればいいの?それって試験じゃなくてレポートじゃん…。あたしはそう思いながら問題をさらっと読んだ。


 「あ~そういう事か…」


 問題を読んでから答案用紙に触れ、その紙に隠して記された魔法陣を読み取る。そこには答案用紙に名前を書いた者以外の解答を拒否する魔法と、特殊な魔法の仕掛けがいくつも施されていた。


 つまりあたしが想像していた『単なる』筆記試験では無く、これもあくまで『魔法』の筆記試験だという事。例えば一問目の問題は「ここに火系魔法を記載しなさい」これだけならば単なる筆記試験だが、ここからの但し書きが要注意なのである。


 『但し、記載の火系魔法を発動させる為の魔法陣も同様に記し、発動可能にする事』


 そう、つまりここに記す魔法は自分の魔力レベルにあった物しか記せず、名前だけを知ってる高度魔法などは記しても点は貰えないという事。つまり調べて自分が発動出来る魔法を書きなさいって事。紙自体の隠し魔法陣によって、記された魔法陣が10分の1ぐらいの力で仮発動出来る仕掛けになっている。

 そしてその記された魔法レベルによって点数が決まるらしい。


 こんな感じの問題が各属性ごとに複数あり、ようはこの答案用紙を見ただけで解答者の属性がわかり、魔力の強さも調べる事が出来るようになっている


 「…なるほど。これは考えられてるわ…」


 とりあえず試験は明日以降にする事にして、説明書の続きを読む。次の記載は面接と実技試験についてだったけど、これは面接内で実技試験も行われるらしく、実技は自分の属性魔法の一番得意とする物を面接官に披露すればよいらしい。面接については、魔法を習う上での心構えから将来像についてまで面接官によって質疑応答は様々らしい。


 「まぁ、ここまでは何とかなるにしても…最後のこれをどうするかなのよね」


 最後に魔魂のレポート提出について。これについてはレポートを作れるほどの観察内容なんて無かったし、そもそも魔魂に触った時点からの経過なんて少ししかない。


 「すでに今はコハルになっちゃってるしね…」


 そういえば…あたしが試験落ちたらコハルって返さなくちゃいけないのかな?足元で丸くなって幸せそうに眠るコハルを見ると…もし落ちた時には申し訳ないけど皇帝に頼んでコハルだけは手に入れられるようにしよう!と思ってしまう。


 「一ヶ月か…」


 試験の段階ですでに問題が山積みだけど、この問題をクリアする事も自分が元の世界に戻る事が出来る第一歩だと思う。そう思えば頑張ろうって力も涌いてくる…はず。


 「でも最悪、浪人してもライザ母さんの店で働きながらまた受験すればいいし…遠回りかもしれないけど勉強だって帝都に行けば独学で多少は出来るだろうしね」


 国立に2浪ぐらいして入学。うん、この方があたしっぽい気がする


 「それにしても魔魂がなぁ…」

 

 あたしは大きくため息を吐くと、コハルの頭を撫でてやった。



今、章の分け方・各タイトルを悩んでいます


以前の風邪からこじらせた気管支炎が未だに直りません。

夜中に身体が温まると咳が止まらないのは中々つらいです

寒くなって参りましたので、皆様も風邪に気をつけて下さい

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