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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
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5話 愛読書は「はじめてのまほうのつかいかた」です


 どうしよう…多分、いや絶対ピンチです。



 いや、魔石は全然楽勝だったんだけどね。だってあたしの愛読書『はじめてのまほうのつかいかた。ちいさなこへ』で立派な物が作れましたから!



 え?そんなちゃちい本でいいのかって?



 ごほんっ!何事も基本なのですよ?変に上級編の本なんて読むとその著者のくせが出まくりで碌な事ないんですからっ!!決して読めないからって負け惜しみ言ってるわけじゃないですからっ!!


 …えぇ。どうせ、幼児レベルしか読み書き出来ませんよ。

 何か問題ですか!!?


 


 生活出来ればいいんですっ!!

 



 大人なのに…と自暴自棄で泣いた過去は見なかった事にして下さい。だいたいこの世界の文字の数が多すぎるでしょ?

 何なんですか?子供と大人で使用する文字が違うって?

 しかも貴族と平民でまた使用文字が違うって何?

 それ以外にも事細かに文字が分けられてて意味がわからない!!

 


 文字とは本来、人に伝達する為のものだろうがぁっ!!!

 せめてひらがな・カタカナ・漢字レベルで抑えとけよっ!!



 という、あたしの過去3年のジレンマ…もとい、誰にぶつければいいかわからない怒りはいいとして…


 

 そうっ!ピンチなんです!!



 あれは作業場に戻ってすぐの事。

 

 魔石の修正はすぐ終わりそうだったんで、あまり早く戻るのも宜しくないと思って、たまたまさっきの手配書に手を伸ばしたのがまずかった。

 手配書に触れた途端、さっきは感じなかった違和感を感じて思わず凝視しちゃったんです。よく見ればあたしの似顔絵部分に変な魔法が織り込まれちゃってるのを発見してしまったんですよね。


 普通気になりますよね?

 自分の顔に何の細工がされちゃってるの?とか

 

 …もし、これで似顔絵が年をとったら凄いっ!!とかって思っちゃったんですよね~


 ……えぇ安直でした。今猛烈に反省してます。


 何故ならその不思議な魔法に触れた途端に手配書が鳥となって羽ばたいていってしまいましたから。



 …あの魔法は何だったんでしょうかね?



 十中八九『追跡魔法』だと言う自分の脳ミソに蓋をして、現実逃避に愛読書を読みました。あ、これも元の世界のくせの一つなんですよ!現実逃避に本に逃げるっていうの!まぁ、読める本は幼児レベルしかないですけど…ふふっ

 


 でもおかげで立派な魔石の修正が出来ました!



 残る問題はやっぱりさっきの手配書で…


 「まずい…まず過ぎる…」


 これなら下手したら罪人の方が罪がはっきりしてる分気持ち的には楽かもしれないと思う。何だかよくわからない追跡ほど気持ち悪い物はない。公開ストーカーに追いかけられてる気分だ。


 「…逃げる」


 何処に…。

 この世界でこの村と皇帝の寝室しか知らないあたしに何処に行けと?

 次に行く村なり街がいい所だという保障は無いのだから…


 「あぁ~~!!!どうしてあたしが追い込まれなきゃ駄目なのさっ!?」


 悪い事なんてしてないのに…。

 あ、寝室に無断侵入はしましたけどね…


 「駄目だっ!!こんなモヤモヤ気持ち悪くて仕方ないっ!!すぱっと謝ってこよう!」


 よしっ!!

 ウダウダ相手の出方を待つより、こっちから謝る方法を考える方が建設的な気がするし、そうしようっ!!


 「謝罪するにしても、手紙はいつ届くかわからないし…まず貴族文字なんて書けないし…直接行くにしても、こっから城まで確か徒歩だと半年かかるとか言われたよね?転移魔法…?」


 しかしこの転移魔法には自分の記憶の場所にしか行けないという問題がある。

 何度も言うようにあたしは皇帝の寝室しか知らない。次にまた夜伽乱入などになったら今度こそその場で殺されてしまうと思うんですけど…


 「ん?夜伽?……夜?そっかっ!!!」


 夜伽は夜なんだから昼に転送魔法使えばいいんじゃんっ!!

 あぁ…こんな事もすぐに思い浮かばないなんて…かなりこの村のの~んびり空気に感化されてしまってる。いや…別に悪い事ではないけど、こんななりでも元の世界ではやり手の営業だったからちょっとショックだっただけですよ。


 この村に来て一番勉強して練習した魔法だから、転移魔法は得意中の得意!


 だって元の世界に帰れそうな一番の魔法が転移魔法だったから…

 何度も自分の家をイメージして魔法を発動したけど、その度によくわからない大きなぼよ~んとした壁に跳ね返されてしまう。世界間を越えるには転移魔法の他にも何か魔法が必要みたいであたしは普通に生活する反面、その研究に没頭してる。


 なのでまぁ城に防壁が張られてても何とかなるでしょう!


 「そうと決まれば…すぐにでも行動しないと、あの追跡魔法が相手に届く前に」


 鳥の形の追跡魔法って事は伝達レベルは低いはず、その分大量に施せそうだけど…自分の手配書がたくさんあるのを想像して背筋が寒くなった。


 「う~トリハダっ!!!」


 あ~早く処理してしまいたい。そしてこの不気味な感じから解放されたいっ!!


 「よしっ!思ったら即決行しよう!」


 あたしはそう決めると、簡単な事情を説明しに修復した魔石を持ってミレーヌの宿に向かったのだった。

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