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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
2章 魔術学院入試編
46/85

46話 怪しい入学願書


 皇帝、もといリュージュと無事和解?をして、メルフォスさんの無事も確認して帝都から村に戻って1週間後その通知は自宅に魔法便で届いた。


 「あ…来た」


 魔力の渦からでかい箱が出てくる。

 やたらめったら豪華な箱に入ったそれは、待ちわびていないようで待ちわびたもの[帝国魔術学院 入学願書]と箱の上部に記載されてる。必死にメルフォスさん一家も説得して、平民として願書を出す事に納得してもらってようやく手に入れたもの。実はミレーヌにはまだ内緒だったりするけれど…


 「…にしてもでかいな」


 願書って…紙なんじゃないの?何でこんなでかいの?なんて考えたけど…このままにしててもしょうがないし、とりあえず開けてみる事にした。ゆっくり開いた箱の中身を見て思わず一度閉じてしまった。


 「……?」


 あたしの目がおかしいの?だけどどう見ても箱の中に入ってたのは…確認する為にもう一度箱を開いてみる。やっぱり箱の殆どを占めてるのは真っ白な卵。きちんとスタンド見たいな物に支えられてるから転倒はしなさそうだけど…何故、願書に卵?


 「え〜…っと?」


 卵の横に申し訳なさそうに封筒が挟まれていて、多分この卵の説明もそれに書いてありそうなんだけど、取ろうとしたらどうやっても卵に手があたってしまう。


 「とりあえず…卵を避難させちゃおうか…」


 資料の確認はその後でもいいわけで、卵も試験に関わる物なんだろうし…傷つければそれだけで試験に落ちてしまう可能性もあるのだから。あたしは慎重に手を卵に伸ばしてそっとそれに触れた。卵に見えたそれの感触は想像していた物と全然違って、まるで柔らかいゴムのような感触だった。そして触れた途端、その部分から魔力が掃除機のように大量に吸収されていく


 「うひゃぁっ!!!」


 慌てて手を離そうとしたけど全く離れず、まるで触れた部分が吸盤のようになってる。無理をすれば簡単に壊れそうなそれに為す術もなくただ魔力が流れ込んでいくのを見守るしかなかった…


 「…ん〜どうする?」


 このまま魔力吸い取られて死んじゃう?…なんて考えたりもしたんだけど、悲しいかなあたしの魔力は無尽蔵にあるらしく…身体は全然平気。中腰という無力な体勢のまま、卵の方から離れてくれるのを待つしか無い。


 そのまま5分経過。


 「……どうしろっての?コレ…さすがに腰が辛い」


 白い卵が何だかグレーに色付いてきたのは気のせい?

 説明を記載されてるであろう願書を取ろうにも両手が吸着された状態ではそれも叶わず

ただ時間だけが10分・30分・1時間と過ぎていく。腰が悲鳴を上げ始めた頃、卵にはっきりとした変化が出始め、ほのかな色合いだったグレーはいつの間にか銀の卵と化してる。


 …魔力を使って鉱物を作る卵?


 卵が鈍く光って硬度が増してきてる気がするし、これが実技試験と言われるとなるほどと思う。思うけどさ!せめて触れないように卵を覆うとかして送ろうよっ!と相手はいないけど文句を言いたくなる。


 「…誰かぁ〜せめて椅子を下さ〜い」


 あたしのわずかな願いは空を舞い、腰が限界を越え一歩も動けない状況になった段階でようやく卵が手から離れた。時間にして3時間半。今や輝かしく硬い銀の卵となった物体が目の前に鎮座している。とりあえず箱から出して机に置いてみたけど意外と重さもあった。


 「………」


 もしかして実技試験で目の前で錬成しなきゃならない物だったら、あたしすでに失格?


 「と、とにかく説明書…」


 あたしは箱に残った封筒を開けると、とりあえず流し見で卵の説明が書かれた物を探した。


 「[同封の魔魂について]…これかな?」


 『魔魂』って、また物騒な名前だし…と心の中でビビりつつ、説明書を開く。そして書かれた内容に目が点になった。


 『魔魂の取り扱い方』


 魔魂は魔力を持った者の魔を吸い取りそれを聖獣化するものである。学院での授業に聖獣を使役する授業があります。聖獣化するには膨大な魔力を必要とする為、魔魂への魔力の注入作業は日々行って下さい。柔らかい表皮が魔力によって硬化していく様子をレポートにて提出。課題とします。一日の魔力注入量は魔魂自体が注入者の体調によって調整しますので魔力を吸いつくされる事はありません


 注意)万が一にも聖獣化する事は無いと思われますが、硬度が金属程度になると孵化が始まります。


 主な聖獣化例 主に鳥型、猫型、鼠型が多い。魔力によって大型が生まれる場合もあるが、めったにない特異例である


 「硬度が…金属?」


 あたしは恐る恐る目の前にある卵を側にあった金属棒で軽く叩いてみる。響く音は正しく『カーンカーン』という高い金属音。


 「…まさかね?だって万が一にも無いって書いてあるし…」



 …ただこういう時、頭に過るのは自分の『無駄』なハイスペック。



 目の前の金属が揺れ始めたのは…誰も居ないけれど誰かが机を揺らしたのだと思いたい

この話から第二章の扱いになります。


第二章は魔術学院編です


よろしくお願いします

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