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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
40/85

40話 使えないハイスペック


 犬の夏生からの説明を受け、あたしの元の世界と今居る世界が同時に存在していて、つまり本の中とか、まるっきりファンタジーなぶっとんだ世界に来た事で無い事はわかったけど…


 『それにしてもさぁ、本来ならこの二つの世界を行き来する事は不可能な筈なんだよね。どうして君はこっちに来ちゃったのかな?』

 「…はぃ?」


 …それをあたしに聞きますか?

 

 『黒と白の加護を手にした超ハイスペックな人間なんてどの世界探しても君しかいないし』


 犬に前脚で指されながらウィンクされても意味不明だし…しかもあたし珍獣決定?

 

 『君自身で壁を越えたとしか思えないんだよね』


 誰がわざと異世界に行きたいなんて願うかっ!!


 あたしはちょっと怒り口調で返事した。


 「じゃあ…あたしのそのハイスペックな能力使って元の世界に戻れますかね?」

 『あ、それは現状、無理な感じ』


 はい即答。

 だったらそんなハイスペックいらね〜!!!


 『だから君がどうやってこの世界に来たか聞いてるんだよ。君が世界渡った原因が解らない事には解決も出来ない。つまり黒の支柱の僕だけの域を越えてる』

 「……使えない」

 『うわっ!さっき助けてあげたのに!』

 「…?」

 

 夏生が怒りながらさっきあたしがフロなんとかに風魔法で殺されかけた所を助けた説明をしてくれる。その説明を自棄半分で聞きながら、夏生の尻尾を見て


 犬が怒る時って尻尾がぴんって立つんだよね〜見た目を借りてるだけでもそれは一緒なのか…


 なんて関係の無い事を考えてしまう事自体すでに自棄半分どころか完全なる現実逃避…

 

 「でも黒の支柱の世界でどうして黒の加護を使える人間がいないんですか?」

 『あのね…大きい力というのは受入れるのにそれなりの器が必要なの。僕と同じかそれ以上のね』

 「…居ないんですか?そういう人」

 『居たら黒の加護を持つ人間がもっといるんじゃない?』


 …つまり居ないって事ね


 『ちなみに白の加護と同時に黒の加護も、とかって僕も無理だから』

 「………」


 …その先は考えたくない、考えないぞぉ〜!!


 『とにかく君って前例も0だし、全てにおいて未知数なわけ』

 

 どんだけ規格外なのさ…


 『で、こっからは僕の推測で、君はこちらの世界の魔力も半端ないほど持ってるけど、今はこの世界の魔法や黒の加護をきちんと使えてない。だからもしかして黒の加護をきちんと扱える様になったら、白の加護と連動させて向こうの世界に帰れるかもしれない』

 「つまり『魔式、3型発動「制圧領域 オールセーフティ」』を扱えるようになれって事?」

 『…黒の加護がそれだけしか無いみたいな言い方止めてくれる?』

 

 魔式を単調なリズムで言うと夏生が片方の口角だけ上げて返事する。そんな引きつりながら返事するのを見て、ほんとの夏生には無かった人間のような感情表現が面白い。


 おっと大事な先生になる人を怒らせるのは得策では無いし…


 あたしはへへっと笑って誤摩化す


 『後は君がこの世界に来た原因を解明する事かな』

 

 …それが解ったら苦労しないし。何か結局この夏生の話聞いてもあたしがこの世界に居る理由とかわかんないし、珍獣扱いだし…

 

 『とにかく黒の紋章の元で、魔法の基礎を習っておいで。後の話はそれからだ』

 「えぇ〜!!!何かぱぱっと教えてくれる魔法とかないの!?」

 『あのね…この世界の人間は皆、生まれついた加護を持っていてもそれを扱える様にきちんと勉強と訓練を重ねる。君も才能があってもちゃんと手順を踏むしかない』


 やっぱり…魔術学院に通わなきゃならないんですね…


 がっくり落ち込んでいる所にさらに夏生が爆弾を投下する


 『ところでさ、ありえないぐらい随分サバを読んだり嘘ついたみたいだけど…』

 「うっ……」


 何故そんな痛いところをつくのだろうこの犬は。

 …今更絡まった誤解をどうやってほぐせと言うんだ


 『別に魔術学院に年齢制限ないんだし、色々早めに訂正しておいた方がいいと思うよ?』

 「…そうなの?」

 『黒の加護を持つ者は利用価値が高いし、さっきみたいに命狙われたりするかもしれないからね』

 「だ、大丈夫。そこんとこは、ばれないように隠すから」


 カラコン入れて、髪の色変えればなんとかなるでしょう!

 カラコン作らないと駄目だけど…それは白の加護でなんとかなりそうな気がするし…


 『まぁ…それならいいけどさ。さて…そろそろ黒の紋章使いの魔力が切れる。それじゃあ、勉強頑張って!』

 「…よくわかんなかったけど…またね夏生」



 そういうと目の前の視界がぐらりと揺れて、無数の光に襲われ目を閉じる。



 そして起きたら皇帝が目の前にいた。

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