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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
37/85

37話 疑問、質問、回答、解放?

 現在もうお馴染みとなった皇帝の私室には魔法壁が張られ、会話や空間自体が切り離された存在となっている。前には居た宰相の姿もない。

 もちろんその魔障壁を張ったのは皇帝で、あたしを前回座ったソファに下ろすと、すぐにこれらの作業を行った。


 そして作業が完成するとゆっくりとした動作であたしの前のソファに座った


 「さて…これで他人に話しを聞かれる心配は無い」


 …あたしと貴方も他人だと思うんですけど、なんて突っ込みは飲み込む


 「その色眼鏡も外して大丈夫だ」

 「あ…はい」


 特に外すつもりも無かったのだけど、突っ込まれてしまうとかけておく理由もないので外すしかない。


 サングラスを外すと、髪の色も元の黒髪に戻る。


 「色眼鏡に魔法式を組み込んでいたのか?」

 「えぇ。ここに魔石をはめ込んでるんで」


 あたしはそう返事をしながら、サングラスの魔石を指差す


 「なるほど耳飾の魔法式も自分で組んだ物だったのだな」

 「…えぇ」


 皇帝はあたしからサングラスを受け取ると、興味深げに色々触っている。

 

 ただあたし的にはそんな小道具の事はどうでもいいんで、早く自分のモヤモヤを何とかしたいんですけど…

 

 …しばらくは待ってみた…が、話が始まる気配すらない。

 さて、どうする?

 

 どうするも何も。始まらないなら、こちらから始めるしかないでしょう。


 「…そんなに黒の加護ってやばい物なんですか?」

 「いや…『黒の加護』自体は魔法を扱う人間にはそれなりに知られている物だ。城の書庫にも関連書物がたくさんあるぐらいにな。……だが、それを受ける人物が実在する事は絶対に知られてはいけない筈だった」

 「え~…それってもしかしてもしかしなくても、あたしの事なんですかね」

 

 皇帝に勘違いであって欲しいと期待の眼差しを向けるが、生暖かい目で返された。


 しかし、帝都で手配書とか絶対に知られてはいけないなんて言ってる割にはやってる事が無茶苦茶なんですけど… 


 あたしの若干引いた様子に皇帝が苦笑する


 「…言いたい事はわかる。だが、アサミズの身柄を確保し保護する事が最優先だった」

 「…さっきみたいに身の危険があるからって事ですか?」


 確かに実際、さっき殺されかけたんだし保護対象なのはわかる。

 

 で、次の疑問が浮かぶ。


 「なら、何であの時、事情話してくれなかったんですか?それにどうして素直にあたしをテリサン村に帰してくれたんですか?…あたしの変装解きましたよね?…これっておかしくないですか?」


 どんどん溢れてくる疑問をそのまま皇帝にぶつける。


 だってどう考えても皇帝の行動はあたしにとってはおかしい事ばかりだ


 「事情をあの時話さなかったのは、君を混乱させない為だ。それでなくても手配書の件で犯罪者や何だと混乱していただろう。あの時に君は命の危険に晒されているなど正直に話して、不安を持たせたくなかった。テリサン村へ帰したのは君に冷静になってもらう為だ。すぐに迎えに行くつもりだったんだが、さっきも話した通り、ここ最近急激に帝都の治安が悪化して動く事が出来なかったんだ」

 「………」

 「後は…変装か…。アサミズは魔法使いは全て瞳の色で属性が決まる、という事は知っているか?」 


 あ~はいはい。メルフォスさんから聞いたやつね。

 あたしは肯定の意味で、何度か頷いた


 「ならば今のアサミズの瞳が黒の加護を表す物だという事はわかるな」


 これまた頷いて了解する


 「その瞳を誤魔化すのに黒髪は最良だ」


 …なぜに黒髪で目の黒さが誤魔化せるの?

 頭に疑問符をたくさん浮かべると皇帝が続きを説明してくれる


 「黒髪はこの国ではかなり珍しいが。居ないわけじゃない。存在するが希少な物は人の視線が集まりやすい。それに比べて黒い瞳の人間は少なくともこの国には存在しない。人の意識で存在しない物は別の何かに摩り替えられる事が多い。黒髪と比べるとアサミズの瞳は日の光に当たると茶色に見える、ならば人は地の属性だと思いこむだろう。それが茶色の髪になると瞳の黒は強調される」


 つまり、木を隠すには森の中って事ですか…


 「テリサン村では普通にそれで生活してても…怪しまれませんでしたけど?」

 「テリサン村はこの国の中でも辺境地だ。魔法を使える物も少なければ、知識がある者も少なかっただろう?」

 「でも…ガース国の旅人とか…」

 「…運がよかったとしか言いようが無いな。まぁ…何か問題があったとしても、メルフォスが解決していた筈だ」


 …つまりは危険はいつでもすぐ側にあったわけですか。

 平々凡々と暮らしていたと思ってた生活が、実は危険と隣り合わせだったなんて…



 何てはた迷惑な力を持ってあたしはこの世界にきてしまったのだろう



 「…黒の加護って一体、何なんですか?」

 「それについては、まず私の体に触れて欲しい」


 そう言うと、皇帝が上着をどんどん脱いでいく。




 …え?

 何で自分を解放しちゃってんの!?


 

 全く意味がわかんないんですけどぉっ!?

36話かなり訂正をいれました。

話の筋は変わってませんが、内容は2倍の長さになってます。


ちょっとずつ黒の加護の事を解き明かします


今回はヒヨリの疑問、解決編でした。

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