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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
35/85

35話 期待を裏切らない存在


 風の刃があたしを傷つける為に向ってくる。

 それが眼前まで迫った時、相当な痛みを覚悟した


 『魔式、3型発動「制圧領域 オールセーフティ」』


 頭の中で勝手に鳴り響く声がする。

 …そして自分の顔を通り抜けたのは心地良い風だった。


 「…え?」


 驚いてるのはフロなんとかも同じみたいで、その場の時が止まったみたいだった


 「…アサミズちゃん。何したの?俺結構本気で君殺す気だったんだけど…やっぱり『黒の加護者』って君の事なのかな?」


 そんなの聞かれてもあたしが一番わからないし、逆にこっちが聞きたいわっ!!


 「アサミズちゃん。殺すの止めたげるから…俺と一緒に来る?」

 「…謹んでお断りします」


 あたしを捕獲しようと、段々近寄ってくるフロなんとかに『ワルピー』ぶつけて見るけど、そもそもこの魔法は奇襲攻撃だから効き目が絶大なだけで、特に風属性の人にはいとも簡単に弾き飛ばされてしまう


 「くくっ君って面白いね。是非ともその頭、研究したい」


 …それって結局殺される気が多々とするんですけど。


 「大丈夫。痛くしないから」


 …信用なりません。


 「さっき助けてあげたじゃん」

 

 えぇ…そしてその後、殺されかけましたからね。 

 

 「さっきの事は忘れてよ」

 「忘れられるかっ!!!」


 何て会話をしてる間にすぐ側までフロなんとかが来てて、あたしの頭の上で何か詠唱し始める。逃げようと思ってもさっきの攻撃で腰が抜けたらしく…いや殺されそうになったら普通抜けるでしょ?


 とにかく動けない。


 「ごめんね。暴れられると困るから、ちょっと縛らせてね」

 「にゃぁ〜っ!!!」


 縛りとかこいつが言うと卑猥な言葉に変換されるんですけどっ!!

 しかも何かにぎゅっと縛られてる感じがするのは捕縛魔法ですか!?


 あ〜連れてかれるの決定だな。

 メルフォスさん…捜してくれるかな…。


 ってあたしを城内音声で呼び出したのって結局誰だったんだろ?


 あたしの身体が宙に浮いたと思ったら派手な音を立てて落ちた

 えぇもちろんお尻を強打しましたよ?


 「っっいぃった!!!」

 「……ぐっ」


 フロなんとかに文句を言ってやろうと顔を向けて更にびっくり。

 一瞬でフロなんとかが傷だらけになっている。


 「…あれ?」

 「…よくもアサミズに刃を向けたな」

 

 自分の背後から聞こえてきた声は、地を這う様な声であたしに向けられたものじゃなくても全身に鳥肌が立った。


 怖々と後を振り向くとそこに立っていたのは皇帝と……赤毛を爆発させたお姉さんで

 皇帝の手はフロなんとかに向けられ、そこから水の刃が飛んでいく。横の赤毛のお姉さんはあたしに近づいてきて「大丈夫?」と声をかけてくれ、身体の束縛を解いてくれた。

 腰が抜けたのも直ったみたいで、動ける感じがする



 急展開すぎて頭がついていきません

 

 え〜っと…あたしさっきまで死にかけて、連れてかれようとしてたよね?

 で、宙に浮いて落ちたら皇帝がいた


 なんて考えてたらフロなんとかの叫び声に思考をぶったきられた。


 「ぐはぅっ!!」


 …おぉ〜い。と、吐血してますけど

 し、死んじゃいませんか?このままじゃ… 

 しかも攻撃の手を緩めそうにない皇帝の手に、あたしは思わず飛び込んでしまった


 「ススス、スト〜〜〜〜ップ!!!し、死んじゃうからっ!!」

 「…止めるな。アサミズ」

 「止めるでしょうっ!!普通!!」


 目の前で殺人とかありえないし!


 …いやあたしも殺されかかったんだけどさ…まぁそれは死ななかったからいいじゃないって感じで…

 でも目の前で他人が殺されるのとかマジ勘弁してっ!!



 あたしは平和な国の日本人なんですっ!!


 「止めなくても大丈夫よ」


 いやいやお姉さんっ!!

 貴方は何故ここにいるんですか?

 この人のストッパーじゃないんですか!?


 「違うわよ。貴方が怪我を負ってるかもしれないから付いてきたの」


 何故か心の声を読まれて返事される。


 「怪我してるのあたしじゃなくてあたし以外の人なんですけど」


 あたしは無傷。本人一番びっくりしてるけど無傷!

 ちょっと今の落下でお尻が痛いだけだし…


 「あなたじゃないならきちんと医療部の順番守らせるわよ」


 えぇ〜〜〜!?

 壁に激突して頭から血を流してる人と、意識不明者と、吐血者ですけど!?

 結構みんな重傷者だと思うんですけど!?


 「…それにうちの治療はいらなさそうよ?」


 赤毛のお姉さん微笑を浮かべてますけど…美人さんなのに頭の爆発でかなり損してるよね。いや、そんな事は今はどうでもよくて…


 お姉さんの視線を辿るとさっきまで笑みを浮かべていたフロなんとかが苦しそうに、口の血を拭ってる。


 「へぇ〜もぅ表、制圧してきたんだ…。無駄に能力値高すぎ」


 フロなんとかが皇帝に話しかけるけど、皇帝はそれに答える事なく、あたしを手にぶら下げたまま鋭い視線をフロなんとかに向け続けてる


 「何故、アサミズを狙う」

 「そんなの、貴方が一番よくわかってるでしょう?」

 「…知らんな」


 あたしの事を話題にされてるけど、さっぱり意味不明ですけどね

 しかも「知らんな」までの一拍の間って知ってるっていってるようなもんじゃないですか?でも二人ともそんなやり取りはどうでもよさそうで…



 わけもわからず気になってるのはあたしだけかっ!!!



 「さすがに一人で皇帝と筆頭医相手って…ちょっとしんどい」


 フロなんとかはそう言うと宙へ自分の身体を浮かべ、最後にニタリと笑う


 「迎えに来るから、また会おうね。アサミズちゃん」


 何て悪役真っ青な捨て台詞を残して来た時と同じ様に風に乗って消えた。皇帝も赤毛のお姉さんも深追いするつもりは無いのかそのまま見送った


 「アサミズ…大丈夫か?」


 手にぶら下がったままのあたしに皇帝が心配そうな眼差しを向けてくれる。


 「いや…ほんとにあたしは平気なんだけど……って、あぁ〜〜〜〜っあの二人!!」


 あたしは皇帝の手から降りて、慌てて自分を連れてきた悪者二人を確認する。

 案の定ジョゼはフロなんとかが連れて行ったみたいで、壁に血だけを残して消えていた。


 …キッシュは気を失ったままその場にいた。



 「…あいつに聞いても何も出てこなさそうよね」

 「………」


 赤毛のお姉さんに激しく同意してしまう



 キッシュ…貴方ってほんとに期待を裏切らない見事な捨て駒ぶりだわ。

更新遅れましたが、ちょっとだけ長くなってます

次回には色んな理由が書けるといいなと思ってます

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