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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
30/85

30話 イベントはトラブルがいっぱい


 転送サングラスを装着し、あたしはどこぞの族?って感じで転送ロードをかっ飛ばした。帝都であたしは皇帝の手配書のせいで有名人になってしまっているので、もしも何かあった時の為にとりあえず髪の色を変える魔法式をサングラスの魔石に追加する。


 「ったく…また転移魔法で帝都に行くはめになるなんて…」


 一度通った道は加速度も倍で、前回より早く魔障壁まで辿りついた。


 「…あれ何で?」


 魔障壁があるにはあるけど、前回開けた穴も目印もそのままの状態で…


 「…?あんなに慌てて補修するように言ってたのにまだ直してないの?」


 ま…あたし的にはわざわざ面倒な魔障壁を処理しなくてラッキーだけど


 あたしはそのまま前回と同じようにゲートと化した場所を通過する。通過する際に認証システムの履歴を見てみると、何だかすさまじい人数が通過してるのを確認して顔が引きつってしまった…


 …ここが悪用されてるとかないよね?


 そして通過が完了した瞬間、強制的に転送ロードから引きずり出される感覚に思わず身を硬くする。


 「なっ!?」


 手が先に地上についてくれ、危うく無様に顔から落ちかけたのを助けてくれた。


 …あ、あぶな。


 バクバクする心臓を押さえながら、とりあえず辺りの様子を伺う。

 どうやら排出された所は何だか庭のようなところらしく…落下場所にはたくさんの人が居てその瞳が一気にあたしに注がれる。


 「…え?」


 パンパカパーン!!!


 突然鳴り響くファンファーレに身体がびくっと反応する。そしてその驚きが収まらないうちに次々と鳴らされるクラッカーにあたしは紙の雨をもろに受ける


 「なっ…何?」

 「おめでとうございます!!貴方がファンシーゲートを通過された100万人目のお客様です!」


 …何ですと?

 ふぁ、ファンシーゲート?


 「記念品の贈呈。そして簡単な式をご用意していますのでこちらにどうぞ!!」

 「いや…」


 全然理解出来てないし、そもそもファンシーゲートって何!?

 

 そのまま自分の落ちてきたところを見ると、そこにあったのはでっかいクマのぬいぐるみで…


 「…確かにファンシー」


 じゃなくて…もしかしてあたしがつけた目印の形がこうなったの!?

 どうせすぐに撤去されるから適当にアップリケをつけちゃえ!って感じの魔法式だったのに…どうしてだかクマ飛び出しちゃってますよ?

 どうみても周りにいるのは城に勤める人というより観光客風な人達ばかりで…


 「……か、観光スポット?」

 「はいっ!今帝都で噂のスポット、ファンシーゲートです!このまま城内の見学コースが一般的となっております」


 さっきからあたしに話しかけてくれるのは、赤髪のとても綺麗なお姉さんで…


 あぁ…適当に作った魔法式がありえない数の人の目に晒されている。


 …さっきこのお姉さん100万人とか言わなかった?


 自分の魔法がいつのまにか観光スポットになっているなんて、これほど気まずい物は無い。

 

 こんな事になるならもっとちゃんとした魔法式組むんだった…


 もちろん後悔先に立たずで、今更どうしようも無いのはわかっている。

 ただやっぱり式をちょっと修正されてるらしく、あたしがされたような強制排出なんて式はなかった筈なので…


 「…お客様。魔法に酔われましたか?」

 「あっ…」


 ずっと黙ったままでいると心配してか、赤髪のお姉さんがしゃがんであたしの顔を覗き込んでくる。

 サングラスのおかげで瞳の色を見られる事はないけど、あまりに近くに顔があったので飛び離れた。


 「だっ大丈夫です!あ…あの、記念とか結構なんで…」

 

 …自分が作った物に対してキリバンを踏んでしまうのは…そんなつもりはなくても詐欺っぽくて嫌だ。

 

 あたしは近くにいた老夫婦の手を取ると、赤髪のお姉さんの前に突き出す


 「こちらのご夫婦に移譲します」

 「「おっお嬢さん!?」」

 「よければここの記念に受け取って下さい」

 「よろしいんですか?」

 

 赤髪のお姉さんの問いかけににっこり微笑むとあたしはようやく立ち上がり、しきりにお礼をしてくれる老夫婦に見送られながらその場を後にした。


 「……さて、どうしよう?」


 ここは観光客も出入り出来るような区域らしいので、もちろん簡単に皇帝に会いに行くなんて出来ないだろう。

 かといってこんなに人の多い場所で転移魔法を使うと人を巻き込む可能性も出てくる


 「てっきり、また皇帝の寝室に出ると思ってた。考えが甘すぎるなあたし…」


 とりあえず人の流れに沿って進む。

 情報収集が大事なので周りの人の話に耳を傾けると、いつも庭園などは一般開放されているが、どうやら今日は1年に2度ある城内の開放日のようで、場所はかなり限定されているが一般人が城内に入れる日らしい。


 「どうりでこの人数…」 


 まるで元の世界での有名な遊園地並みの混雑で、さっきから少しずつしか列が進まないし、警備員のような人が「きちんと列で並んで下さい」と声を何かで拡張して叫び続けている


 そんな時、城内に音声が響き渡る


 『迷子のご案内です。グエンタ地区よりお越しのザイファス様。お子様をこちらでお預かりしています。1階正面玄関受付までお越しください』


 …迷子アナウンス。

 

 一瞬自分の名前をアナウンスしてもらう事を考える。宰相あたりが来てくれると嬉しいんだけど…迷子は恥ずかしすぎる。

 

 思考が葛藤している中、また音声が響き渡る


 『迷子のご案内です。テリサン村からお越しのアサミズヒヨリ様、お連れ様が医療部にてお待ちです。至急お近くの警備員にご連絡ください』



 …はい。あたし城でも迷子らしいです

土日はどうしても更新が遅れてしまいすみません。


閑話は明日かあさっての昼に更新します

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