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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
3/85

3話 平和に暮らしたいんです

 

 いつものようにミレーヌと一緒に彼女の家に朝食を食べに行く。と言っても向かいなのでそんなたいした事じゃないんだけど


 「ミレーヌ。さっきの手配書の事ってメルフォスさんとかライザさんに言った?」

 

 ちなみにメルフォスさんはミレーヌの父親でライザさんが母親。宿は母親のライザさんが経営しててメルフォスさんはこの村の守護兵として働いてらっしゃる。守護兵ってのが日本で言う警察みたいな物で、あたしが3年前、この村の外れに突如現れた時、一番にメルフォスさんに連絡がいき保護されたのがこの一家との付き合いの始まりだったりする。

 あたしにとって命の恩人と言っても過言ではない人達なのだ


 「言ってないよ。お客さんが今朝早く出立の時にテーブルに忘れていった紙を開けてみたらひよが載ってて、慌てて飛び出してきたから」

 「そっか。誓って罪人じゃないから、この件ちょっとだけ内緒にしといてくれない?」


 ミレーヌが言うように忘れ物程度で偶然この村に辿りついた手配書なら都市部に行かない限りは捕まる事は無いと思うし、その間に謝る方法考えて手配書を取り下げて貰えばいい。ただ出来る限り平和に過ごしたいからお尋ね者なんて騒動になりそうな事は極力避けたいと願う


 「罪人?ひよ何言ってんの?」

 「え?」

 「ひよが罪人なわけないじゃん!」

 「え…だって、手配書って…」


 少なくとも日本で手配書って言ったら、前科何犯の指名手配犯とかを連想しちゃうんですけど…違うの?


 「この手配書は人探しの手配書。罪人の手配書は紙自体が赤いし、金額表示も手配書は謝礼金。罪人は懸賞金。ひよのは謝礼金でしょ?つまりひよの手配書は人探しの手配書なの!…しかも皇帝陛下直々の手配書なんてあたし見た事ないよ?」


 ミレーヌの説明に「罪人かもしれない」って不安が無くなった。とにかく罪人扱いじゃなくてよかった…でも説明を聞いても、ややこしい事には変わりなさそうじゃない?

 あの件を罪に問わないんだったら何で手配書とかするかなぁ~。やっぱ罪にはならなくても何で突然あの場にいたのかとかの説明を求められるのかなぁ。そんなの自分でもわかんないんだから説明のしようがないですけど…


 「…手配される身に覚えないんで、やっぱり内緒でお願い」

 「うん。もしかしたら他人の空似かもしれないしね!よく考えたら皇族が3年もこの村にいるなんてありえないしっ!!」


 ミレーヌが単純な子で良かった!そして身に覚えはめちゃめちゃあるけど、嘘ついてゴメン!ってあたしは心の中で手を合わせて謝った


 「さっ!ご飯食べて開店しようっ!!」

 「うんっ!今日も横で見てていい?」

 

 これもこの世界でのいつもの日常。ミレーヌがあたしを起こしに来てくれて二人で朝食を食べてそのままミレーヌはあたしの店を手伝ってくれる。何故かあたしの作業を見ているのが好きらしく、基本は宿のお手伝いなんだけど、日本でいうチェックアウトと食事の時間帯以外は暇なのであたしの店に入り浸ってる。

 キラキラした瞳で作業を見られると照れるけど、嫌な気分じゃない。


 「いつも許可なんていらないのに。それどころかこちらこそいつも手伝ってくれてありがとう」

 

 そうあたしが言葉を返すと真っ赤になったミレーヌが「そんな…」と照れている。ん~美少女のそんな姿を見ると、お姉さんはそのケはないけどときめいてしまうよ?

 

 「今日のご飯何かな~?」

 「今日はグライのスープと母さんのグリュスリーフよ」

 「よしっ!!」

 

 グライとは日本の鶏肉みたいなもので、グリュスリーフはシフォンケーキみたいな感じの物だ。どっちもこの世界にきて初めて食べた物で今ではあたしの一番の好物になってる。ライザさんもそれをわかってくれてるのか2週間に一度はこの献立を出してくれて、ほんとにこの家族はいい人達だ…とあたしの涙腺は潤んでしまうのだった

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