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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
27/85

27話 不幸の手紙が届きました

 メルフォスさんが家の様子を見る為に帝都に旅立って早1ヶ月。

 最初はあたしの転送魔法で送っていこうと思ったのだけど、あたしの転送魔法の行き先が城内だけだと知ると、露骨に嫌そうに断られましたよ。


 …一体メルフォスさんとお城ってどういう関係なのか…まぁ同じ立場だったらあたしでもきっと嫌な顔すると思うけど…


 なので地道?よりは早い転送魔法を連続して使用する方法で帝都へ向かわれた。魔力の予備があった方がいいらしく、10個ほどあたしの魔石も持っていかれました


 で、あたしの生活はあの日が嘘の様に特には変わってなかった。毎日ライザ母さんの御飯も美味しい。

 臨時休業中のライザ母さんの宿はすぐに引き継いでくれる人が見つかって、今は料理なんかの引き継ぎをしてる。あたしの道具屋も閉店したけど、ミレーヌと一緒に作業場と化してるのは変わらない。


 だけど、今までと一つだけ違う事がある


 「ねぇミレーヌ、精霊石の作り方って精霊取っ捕まえて何魔法だっけ?」

 「え?…ちょっと待って…精霊取っ捕まえたら怒って作ってくれないって…」

 「…え?じゃあ…取っ捕まえるのは?」

 「それは使役魔法」


 作業場の真ん中にどーんとでっかい机を置いて、その上は難しい本が積み上げられ、色々な言語の辞書が開かれたまま置かれ、紙が散乱し、溢れてる。…もちろんそんな中にある「はじめてのまほうのつかいかた」はかなり浮いている


 もちろんそんな紙媒体に埋もれた状態のあたし達がしているのは『受験勉強』である


 「ねえ、ひよ。製鉄って何だっけ?」

 「鉄鉱石から不純物取り除く事」


 あたしの頭はすでに臨海状態となっていて、記憶容量の空きなどすでに無い。元の知識で応用出来る事もあれば、全く一から覚えなくてはいけない事も山のようにある


 「…駄目だ。あたし限界だ」


 …使ってなかった脳みそは硬化がかなり進んでるらしい。


 そんな限界状態のあたしが突っ伏した机に突然、魔力の渦が現れた


 「…げ、何コレ?」

 「あ…魔法便」

 「まほうびん?…お湯が出るの?危なくない?」

 「ち・が・う。魔法で送る手紙の事!さっき覚えたじゃん!!」


 …駄目だ。もう1分前の事も記憶にございません

 でも『まほうびん』と口で言われると『魔法瓶』変換なのはしょうがないと思うんだよ


 「魔法の手紙ねぇ…」


 そのやり取りをしている間に渦が小さくなったかと思うと、渦の真ん中から細長い筒が飛び出てきた。


 「うぉっ!」

 「…誰からだろ?パパかな?」


 ミレーヌもかなり受験勉強で疲れているのか、あたしが驚いてるのは完璧スルーで出てきた筒を調べている


 「あれ…ひよにだ…。リュージニアス…誰これ…」

 「………」


 ……リュージニアス…どっかで聞いた事あるような?

 

 とりあえずミレーヌから受け取った筒を開けてみると巻物状態の紙が出てきた


 「よかった…読める」


 書かれている文字が見慣れた文字だったのでちょっと安心した。


「え〜っと…何々


 あさみずへ


 あさみずが帝都を後にして、早1ヶ月が経とうとしている。

 今日、手配書の伝達鳥が戻り君の現在地がようやく特定出来た。

 一向に戻る気配のない君に、私はすぐにでも迎えを送りたい

 転送魔力が足りないのであれば、すぐに言ってくれ。それなりの者を送ろう


 ガルフェルド皇帝

 リュージニアス・クロムレス・レイ・ジェイライト・ローダスタ・ガルフェルド」


 ちなみにあたしの語学力は上記を全てひらがなに変換したような文章だと思って頂きたい。

 っていうかあの伝達鳥って今着いたの?どんだけの性能なのさ。

 すっかり忘れてましたよ…あの時の追跡魔法の存在なんて…

 

 すっかり忘れていたと言えば…そういえば皇帝ってそんな名前だったっけ?


 「皇帝からだったよ」

 「こここ、『こうてい』!?『こうてい』ってあの皇帝!?」


 ミレーヌは思いっきり動揺してるのか、今にも椅子から落ちそうな勢いだ


 「ミレーヌ危ないって…」

 「何で皇帝がひよ迎えに来るの!?」


 あ……ミレーヌに事情を話すのもすっかり忘れてましたよ


 「あ〜…」

 「…あの日に何かあったのね」

 

 ミレーヌの言ってる『あの日』とはもちろんあたしが『帝都に行った日』の事を指してるに違いなく…あの時の気分の悪さの理由は転移魔法だと説明はしたんだけど、その他の事は何だか流れで、説明しなくても引っ越し喜んでるし…とか思っちゃったんだよねぇ…

 これはちょっぴり帝都に行ってきて皇帝と仲良くなっちゃった!とかで誤摩化せる事なのか…

 

 「あはっ」

 「……あたしが知らない事あるんだね」

 「あはは……はぁ」


 どこから説明したものか…

 あたしは『黒呪』や『異世界の存在』というものを省いて出来る限りの事は話した。


 「というわけで、皇帝とも知り合ったわけで…」


 ミレーヌの目が爛々と輝いてるのに気付いたのは全部話し終わった後だった


 「凄いっ!ラブね!ひよ、皇帝陛下に愛されてるのね!!」


 ………え?


 「ひよはすごく愛されてるのね。たかが1ヶ月も離れていられないぐらいなんて、ひよにずっと側に居て欲しいのね。だから城に住めだなんて…物語みたいっ!!」

 「いや…ち、違う」


 …何だか違う盛り上がり方してませんか?お嬢さん!!

 あ、あたしの話し方どこが間違った!?


 「…何が違うの?この文面から見ても陛下はひよに会いたくて仕方ないんじゃない!」


 あぁ…黒呪の事を話せないのがもどかしい。


 「いや…だからね」

 「あぁ!早速返事書かないとね!!ひよ魔法便の送り方わからないでしょう?あたしが代わりに送ってあげる!速便にしよう!すぐに迎えに来て下さい!!でいいよね?」

 「やっ…ちょっ!!!」

 「大丈夫!あたし魔法便は得意だからっ!!任せて!!」


 違う〜〜〜〜!!!という訂正は一切聞いてもらえず、

 速便で「迎えに来て」と皇帝に返信されてしまった


 

 やばい……迎えがやってくる

100万PVを越えました。

お気に入り登録ももうすぐ3000件に達しそうです


心より感謝いたします。

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