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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
26/85

26話 基本を学び?に胸高鳴る

 結構な時間が過ぎてラブラブな二人が落ち着いた後、向かいの家で過ごしていたあたし達を迎えに来て…落ち着いてさらにハートを飛ばし続けていた二人にあたし達は呆れを通り越して尊敬の眼差しを送り、どうにか帝都の家を見に行く事になりました。



 …どうにかって何が?

 


 「なんと言っても10年も空けていた家だったから風通しはもちろんの事、住める状態なのかもわからないからね」

 「そうだねぇ~帝都で店も開きたいし、店舗の下見もしたいね」

 「君の料理なら帝都の看板店になる事間違いないよ」

 「やだよ…あんた…」



 …どうしてくれよう、このメロドラマ。

 家族新入生のあたしにこれの打破は難しいですが…


 「……いちゃつくなら自分の家帰れ」


 予想外なところから打破が入りました。

 ひゅ~って吹雪く絶対零度なミレーヌの一言。

 か、関係ないあたしまで凍りつきそうです


 「…ご、ごめん。ミレーヌ」

 「み、ミレーヌ…あんたって怒ると怖すぎるんだよっ!!」


 ラブラブムードも何処へやら、二人もミレーヌの絶対零度な怒りに凍えてる


 「…ならいちゃつくのは自分のテリトリーだけにしなよ」

 「「…はい」」

 「あ、あ、あ、あの…おおお、お取り込み中申し訳ないんですけど、へ、部屋が…」


 どもっているのは決してこの雰囲気でなっているわけじゃなく…


 普通に寒いんです!!!がちがち唇が震えてます!!

 部屋が凍ってきてるんです……南極状態です。 


 そんな中に薄着一枚でいるってもう自殺な意気じゃないですか?


 しかも何であたしだけが震えてて、当の本人達はケロっとしてるんですか!?



 「「「……あ」」」


 視線が一気にあたしに集中する。


 「やだっ!!どうしよう!!!」

 

 ミレーヌはパニック状態になったのか部屋の凍化が一気に進んでいく。


 …やっぱりこれ、ミレーヌの魔力だったのか。

 

 ミレーヌの瞳は青いけど、白がかなり混じった淡い色。つまり氷属性で…

 

 美女に氷って…雪女じゃん…。


 しかし、このままじゃやばいなぁ。

 …頭の中で「眠るなー!」って定番の台詞が聞こえてくるし、寒くて思考力がどんどん奪われてくし…うぅー


 「ミレーヌは落ち着きなさい!ひよりは自分の周りに壁を張るんだ」

 「…かかか?」


 メルフォスさんに言われるけど、そんな魔法使った事ないし要領がわからない

 寒さで言葉がまともに出てこなくなってきたので、手を顔の前で横に振って出来ない事を伝えるとライザ母さんがあたしを抱きこんでくれる

 すると今までの寒さが嘘みたいに、普通の状態に戻った


 「…ら、ら、ら、ライザ母さんって、魔法使えたんですか?」

 「まさかっ!あたしじゃないよっ」


 …ということは?


 ライザ母さんの後ろを見るとメルフォスさんがライザ母さんに触れていて全部まとめて壁というものをかけているらしい


 …身体が暖かくなると思考力も戻ってきた。

 ずっとライザ母さんに抱えられ、このままというわけにもいかないので…


 寒さを緩和させるには…確か空気の流れを止めるだけで熱伝導率が下がって断熱効果があったはず…

 

 「えっと…こうすれば」

 

 自分の身体から5cm離れた部分の空気を固定するように魔法を発動させる。


 …上手くいったかな?


 恐々とライザ母さんの身体から離れてみても、凍えるような寒さを感じる事は無かった


 「おぉ!成功した」

 「ひよ!!ごめんね」


 あたしが耐寒魔法を考えている間にメルフォスさんに説得されたのかミレーヌは落ち着いたようで申し訳なさそうに部屋の隅でちっちゃくなっている。それと同時に部屋の氷も無くなって元の状態に戻った。

 

 「びっくりした。魔力って魔法形態にしなくても発動するんだ…」

 

 ミレーヌがさっきの時点で魔法を発動した形跡は無いし、怒りの感情が抜けるとすぐに凍化が解除された事も驚きだった

 そんなあたしの疑問に答えてくれたのはやっぱりメルフォスさん


 「魔力っていうのは属性エネルギーの塊だからね。感情に左右される部分も大きいよ。ミレーヌは魔力が人並み以上だけどまだ扱い方が稚拙で感情に左右されやすい」


 メルフォスさんから言われてさらにしゅんとなってしまうミレーヌ


 つまりは説明を聞くと魔力は石油状態のようでそれだけで十分なエネルギー資源にもなりうるって事で、魔法は石油を精製してガソリンや石油製品にしているような物でより純粋なエネルギーを得る事が出来る…らしい。

 

 そんな説明は「はじめてのまほうのつかいかた」には載ってなかったし…


 …という事はあたしが最初にこの世界に来た時に発動した転送魔法は実は魔法じゃなくて属性魔力のせいだったりする?

 だって、この世界に来てすぐなんて魔力が自分にあるなんて事も知らなかったわけだし……だけど殺されそうになって感情爆発は確かにあった。



 …でも属性力が転移って…あたしどんな属性なのさ?

 黒の加護の謎がますます深まっていく。


 その辺りにあの『ぶよよん壁』をすり抜けるヒントがあるのかもしれない


 何て考え事をしていたら、解除し忘れてたあたしの耐寒魔法をメルフォスさんが調べていたみたいで…


 「……ひよりは魔力が凄くてもそれの扱い方が独特すぎる。基礎を知っておく事も大事だと思うから、やっぱり二人とも魔術学院に行く事は必須のようだね」


 魔法基礎はもちろん大事だし、文字の習得もありがたい。

 もし、黒の属性がこの世界に存在しない属性だとしても、その事自体を研究しやすいのも魔術学院だろうと思う

 魔術学院!興味がわいてきた!!!


 「……研究。ふふ…研究」


 社会人になって久しく感じていなかった高揚感があたしを包む


 ふふ…これでもあたし大学で研究者としては優秀だったんだよね〜楽しみぃ〜!!


 日夜、顕微鏡に向かっていた日々を思い出しながら思わず口元がにんまりとする

 

 「ミレーヌ!頑張ろうね!!」

 「う、うん」


 …自分が学院で12歳扱いという事はすっぱり頭から抜けさっていた。

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