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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
25/85

25話 平民12歳と貴族12歳の間は『スッピン25歳』でした

 簡単に引っ越しが決まってしまい、宿は最後のお客さんが旅立たれてから臨時休業になった。もう再開する気もないようなんだけど、この宿を村の他の人に譲るみたいで、その人がすぐに営業出来るように配慮して『臨時』をつけたらしい。

 ライザさん…もといライザ母さんとミレーヌは近所の挨拶周りの事を相談していて、あたしはメルフォスさんと雑談をしている状況で…



 …あの城での深刻さは何だったんだろうって感じ。



 そんなメルフォスさんとの雑談の中で話題と言えばやっぱり城での事になる


 「あの…あたしが12歳とかやっぱり無理があると思うんですけど…」

 「あ〜そうでもないよ。城とか魔術学院って貴族のお嬢ちゃんが多いから。みんな10歳ぐらいで社交界デビューしてる子達がほとんどだし、作法・マナーは完璧で化粧とかもバッチリだからね。一般の12歳だと考えると逆に驚くと思うよ」


 そういえばあたし…この世界に来た時はさすがに出勤モードだったから多少のメイクはしてたけど、次の日からは見事なまでのスッピンでした。

 12歳の子供でも化粧をバッチリこなす世界…つまり、スッピンなあたしは12歳で十分通用するって事ですか?


 …いや、あたしもメイクが面倒くさいとか…そんな事は無いですよ?


 ただ社会的常識とかが無い世界だと、別にスッピンでいても何ら不便でもなかったんで…そもそも皮膚が弱いし、この三年ファンデーションと無縁の生活でお手入れだけをしてたら何だかお肌のハリも少し戻った気もします。


 「…そんな状況の中にあたしが入ったら逆に凄く浮いちゃうんじゃないんですかね?」

 「ミレーヌもいるから」


 …ミレーヌはスッピンでも、絵のような美しさだから多分化粧とか関係ない気がします


 「それに少数だけど受験組の子は平民の子が多いから、その子達はきっとひよに近い感じだと思うよ?」


 …でもきっとその子達よりは確実におばさんですよね?

 どちらにしてもえらく不思議な存在になる事は間違いなく…


 「これで実年齢バレたら魔術学院通わなくていいとかにならないですかね?」

 「きっと即、城入りだと思うけど」

 

 う〜ですよね〜〜〜〜。

 つまりどんなに浮いていようと12歳を貫かなくてはならない訳で…



 精神的にキツい…



 「ただ城でも信用出来る人には全てとは言わないけど、本当の事を話した方がいいかもしれないね」

 「…信用出来る人?」

 「例えば宰相のシュビとか…、筆頭医術長のシーとかね?」


 …宰相ってそんな名前だったっけ?

 後、筆頭医術長の人は会ってないからよくわからないけど……


 

 …今、会話の内容よりもすっごく疑問が浮かんできたんですけど…


 「あの…メルフォスさんって、何でそんなに城の事とか詳しいんですか?」


 だって黒呪なんて話は宰相からも全くされなかったし、という事は宰相自身が知らないか外部に洩らせない内容な可能性が高いのにこの人は知っていたし…


 「あれ?言わなかったっけ?僕、元々城で働いてたんだよ」

 

 …聞いてないです!!

 こんな側に手配書を何とかしてくれそうな人がいたなんて!!!

 こんな事なら素直にメルフォスさんに手配書を渡した方がややこしい状況にならずに済んだんじゃ…


 あたしはちょっとした事実に茫然としながらも…済んでしまった事は仕方ないと諦める

 こういう切り替えは昔から早かったのだ。


 「…ちなみに、どんなお仕事をされてたんですか?」

 「そんな大した事してないよ」


 苦笑の表情を浮かべて言うメルフォスさんの横からライザ母さんの呆れた声が重なる


 「筆頭団長だったくせに、よく言うよ…」


 …団長?


 『フレー!フレー!』とか………なわけないですよね?


 「き、騎士だったんですか?」

 「あ〜昔の話だから」

 「格好良かったんだよ。白の鎧が似合う団長なんて後にも先にもこの人だけだからね」


 はい…そこには激しく同意します

 

 「皇帝の黒の鎧と、団長の白の鎧が対になっててね。ほんと絵みたいな光景だったよ。…まぁ、それを辞めさせたのはあたしなんだけどね」


 少し暗くなったライザ母さんを凄い勢いでメルフォスさんが抱きしめる


 「…ライザ。そんな事まだ気にしてるの?」

 「………」

 

 え〜…抱き合う二人を見て、両親のラブシーンに立ち会った気まずさを今感じてます。

 このままラブラブ一直線な二人を前にどうしようか迷っていると、その状態はあたしだけじゃないみたいで、呆れた目で二人を見るミレーヌと目が合った


 お互い同時に視線で店の外を指した時には思わず二人ともぷっと吹き出してしまったが、ラブラブの二人はそれに気付く事もなく、あたし達は静かに店の外に出たのだった


 

 笑いながら外に出ると、身体を伸ばしながらミレーヌがあたしに話しかけてくる

 

 「あ〜!!やっぱひよがお姉ちゃんで嬉しい!」

 「?」

 「だって両親があの状態でもあたしの状況わかってくれる人居なかったんだもん。今まではあたしを忘れてる両親にちょっとムカついたけど、ひよが居てくれて今日初めて純粋に両親の仲が良くてよかった!って思える」


 お互いしか見えてない両親に対して…確かに一人であの状況はちょっと辛いかもね。

 あたしの元の世界の両親もあんな風に仲が良かったけど、兄弟が居たから別になんともなかったんだって今ちょっと思った


 「役に立って良かったよ」

 「……ほんとにひよがお姉ちゃんで嬉しい」


 あたしの目下の悩みは……この子に実は同い年で学院に通う事をどうやって説明すればいいのかという事に切り替わったのだった

またまた出てきた12歳疑惑ですが。


この世界の12歳の外見年齢が上だと思って頂ければと思ってます


最近ちょくちょくメッセージを頂けて嬉しいです

ダイレクトに感想を頂けるというの何か別の感動ですね


ほんとうにありがとうございます

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