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至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
24/85

24話 『ママ』ハードルを飛び越えろ


 ライザさん宿にたどり着いたはいいけれど、あたしは今非常に困っていた

 メルフォスさんとライザさんも固まっていて、その視線の先にあるのはあたしじゃなく…あたしの腰にへばりついてるもので…


 「あの…こんにちは…」


 ずるずると引きずるように店に入ったら、固まっていた二人がはっとなった


 「何やってるんだいミレーヌ!!離れなっ!!」

 「やだっ!!」

 「………」


 どうやら昨日のあたしの姿はかなりミレーヌに衝撃を与えてしまったらしく、先ほど浴室から出た瞬間にミレーヌに腰アタックをされ、そこから一切離れなくなってしまった

 

 …こんなに怯えさせるなんて、あたしどんだけ酷い面してたんだ?

 

 メルフォスさんも苦笑を浮かべながらミレーヌに手を差し出すが娘にきっと睨まれ、差し出した手をゆっくり下ろした。


 「…み、ミレーヌ、ひよりが困っているよ?」

 「…うっ。だってパパとママは昨日ひよりが起きてから話したじゃないっ!!!あたしだけお留守番だった!!」


 あ~…そういえば昨夜はどこまでミレーヌに聞かせられる内容かわからなかったからメルフォスさんとライザさんと三人だけで話したからね…

 思えば帰ってきて一番最初に顔見たのミレーヌだし、けたたましい叫び声を上げてた様な覚えがあるから。


 …ミレーヌもかなり心配してくれてたんだよね…ちょっと反省。


 あたしは張り付いたミレーヌの手をそっと腰から剥がしぎゅっと握りながら、前に立たせて辛うじて高い身長を少しだけ屈めて、ミレーヌの目をまっすぐ見て謝った


 「ミレーヌ、心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」

 「うぅ……だって…ひより…すぐ近くに行くっていったのに、全然帰ってこないし…帰ってきたらあんなんで……死んじゃうかと…思ったんだもん…」

 「うん…ごめん。ごめんなさい」


 このミレーヌの姿を見て不謹慎だと思うけど、親家族以外からこんなに愛されてて凄く嬉しい。そう思うと自然と顔も緩んでしまう


 「………何で笑ってるの?」

 「ん?ミレーヌがこんなに心配してくれて嬉しいなぁって………ほんとの家族みたいだなぁって思って」

 「ひよりっ!!ほんとの家族『みたい』だなんて…まだそんな事言ってるのかい!?あんた達は正真正銘あたしの娘だっ!!」


 ライザさんに怒りながら言われたけど、くすぐったくってやっぱり笑みしか出なかった


 「ありがとう…ライザさん」

 「ママとお呼びっ!」

 「はいっ!!」


 あまりのライザさんの勢いに思わず直立姿勢になった…敬礼をしなかったのを褒めて欲しい。


 …ただママってライザさん、肝っ玉母さん風なんでどう考えても…おか……ま、まぁそれは置いといて、色んな物を差し引いても、あたし自身その言い方慣れてないんで、非常に抵抗があるんですけど…


 「マ…」


 ライザさんがじっとこっちを見てる


 「ま……お母さん」


 すいません。

 このライン限界です。

 25歳の今から『ママ』呼びは色々キツいです。


 ライザさんは片眉を上げたものの納得顔だったから…ひとまずクリアという事で…



 …横のメルフォスさんが期待を込めてこちらを見ているのは気のせいですよね?



 「え〜っと…」


 色々思案の結果、スルーで!


 メルフォスさん、ごめんなさい。

 「お父さん」のハードルは「ママ」より高そうです。

 元の世界でも、このお年頃って父親に対してって色々あるんですよ… 

 

 がっくり項垂れる美形…しかし美形は何しても絵になる。

 横で「ひよがお姉さんになった!!」と喜んでるミレーヌと会わせると「喜びと悲しみ」ってタイトルで絵が描けそうだし、確実に売れるね。


 …そんな輪の中に自分が居れる幸せ。 


 いつかは元の世界に帰りたいからと思っていても…やっぱり一人は寂しかった。

 だからふとした事で一人ぼっちだと感じるこの世界で、メルフォスさん一家はあたしが勝手に心の底から安心出来る唯一の場所だと思ってた。

 


 こっちが勝手に伸ばしていた手を…しっかり掴んでくれる嬉しさは言葉に出来ない



 でも、今から自分が言おうとしている言葉が…せっかく手に入れたものを手放す事になるんじゃないかって怖い。


 「…ひよ?どうしたの?」

 

 急に深刻そうな顔で黙り込んだあたしにミレーヌが声をかけてくる


 「あたし…」

 「さぁミレーヌ!これから少し忙しくなるぞっ!」


 あたしの声をかき消すようにメルフォスさんがミレーヌに笑いかける


 「え?どうして?」

 「ひよは来年から魔術学院に通う事になったんだ。だから皆で帝都に引っ越すぞ!」

 「…そんなっ!!あたし一人で」


 あたしの為だけに今までの物を捨てて帝都に行かせるなんて…


 「馬鹿をお言いでないよっ!!帝都なんてこっから遠い物騒な所に可愛い娘を一人で行かせられるわけないだろうが!」

 「だって…ここから3ヶ月もかかる遠い所なのに…全寮制だって聞いたし、あたしだったら転移魔法で一気に帰って来れるから…」

 「いいんだよひより。もぅそろそろ戻ろうかってライザとも話してたところだからね」


 …戻る?


 「あぁ、ひよりには言ってなかったけど、あたしも旦那も元は帝都出身の人間なんだ。…ちょっと事情があってね。ミレーヌが産まれてからこっちに引っ越してきたんだよ」


 …事情?


 「帝都に家もあるんだけど、今まで面倒で戻らなかっただけだからね」

 「…家の状態を確かめに行かなくちゃいけないねぇ」

 

 …帝都に家?


 「…あたしもひよと一緒に魔術学院行ける?」

 「…え!?」


 じっと考え込んでいたミレーヌが口にした言葉にあたしはぎょっとする

 いやいや!!ミレーヌ!あんなところ行くもんじゃないよ…


 「そうだな…ひよりも通う事だし、ミレーヌにも魔力あるし…受験してみるか?」

 「うんっ!!」


 え〜〜〜!!!!!


 あたしの脳みそは急展開についていけず、その間にメルフォス一家のお引っ越し話はどんどん進行していった

一日のユニークが9000を越えました


自分の話をたくさんの人が見て下さっているのが信じられないです


ほんとにありがとうございます

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