表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
至上最強迷子  作者: 月下部 桜馬
1章 始動編
19/85

19話 色んな意味で逃げれません


 え~っとこの沈黙は返事を求められているんでしょうが、先に内容を聞くわけには…


 ちらりと皇帝を見てみるけど…やっぱりじっと捨て犬の目で見つめられてるだけで


 やばい…やばすぎる。

 このままじゃ普通にわけもわからず何でも頷いてしまいそうな気がする



 …これ暗示魔法か何かですか?



 あたし動物に弱いんです…というかメロメロで…

 えぇそりゃもう!!元の世界の実家には猫が6匹、犬が3匹います。

 全部拾ってきた子達で…あの子達どうしてるでしょうかね?…まぁ全員あたしより何故か弟に嫉妬の炎も燃やしてしまうぐらい懐いてましたから心配ないんですけどね。



 がたんっ!!!



 あたしが目を逸らして意識が外れたのを気づいたのか目の前の皇帝が突然立ち上がった


 

 「うぉっ!!」

 「?」


 いや…人間、突然の出来事だと癖が出るんですよ。

 男兄弟の中で育ったあたしに「きゃっ!!」とか女っぽい事を求めても無駄です


 「背中の封じの紙を取ってあげよう」

 「え?あ…」


 …あ、すっかり忘れてました。

 そういえばあたしそんな物貼られてましたね


 「…苦しかっただろう。魔力保持者は微力ながら魔力を常に使用しているから、それを無理に止められ体内に留められると、身体自体が何倍も重くなる」

 「ど、道理で身体が何か重だるいなぁ~って思ってたんですよ」


 全く元気です。

 むしろ食事美味しかったんでいつもよりがんがんいけそうです!


 立ち上がった皇帝があたしの後ろにまわると背中に貼られていた紙が剥がされた

 

 「………」


 身体軽くなるかなぁって……ちょっと期待したのに。

 やっぱり何の変哲もない…けど、とりあえず肩を回す動作をしておく。


 「気分は悪くないか?」

 「あ…はい」


 後ろの皇帝へと振り向いた瞬間、耳に感じた違和感。



 あっ!


 

 「これが…私からの願いだ」



 とっさに耳に手をやると、そこにはいつも感じる金属の感触が無かった。

 耳を確認した後、ゆっくりとした動作でそのままその手を頭へと移動させる



 …もうひとつ自分に感じた違和感。



 視線だけを移動した手元に向け、その手に握られた黒髪を見た

 あたしの心臓が早鐘を打つ。

 



 げげっ!もしかしてあたしが皇帝より魔法使えそうなのばれました!? 



 「…髪の色が変わってただろう?魔力を封じても変わらないなら何かの媒体を使ってるに違いないと思ってね。身に着けている装飾品はこれだけのようだったからな…」



 そう言って手にしたあたしのピアスを眺めている

  


 「黒髪の方が君には似合う」

 「………」


 よ、よ、よかったぁぁぁぁ!!


 どうやらピアスが魔力込みの魔石だと思われたみたいで、あたしが常に魔力を使ってた事はばれてないみたい…。


 息も詰めてたみたいで、ふぅ~と大きく吐きだした。




 

 ただ…ばれなかったのは良かったけど困った事もある


 取られたピアス…あれ、チタンなんだよね。


 あたし基本的に金属アレルギーだからシルバーとか18金とかあれ以外の金属ピアスつけるとただれて酷い状況になっちゃうんで、よく知らないこの世界の鉱石を身に着ける勇気は無い。だけど身に着けてないとピアス穴塞がっちゃうし。


 「返してもらえますか」


 無駄な気はするけど一応手を皇帝に差し出してみる

 


 …どうして手を握る?



 「約束として預かっておくよ。君が城に戻ってくれば返そう」

 「………」

 「その代わりにこれを…」



 言葉とともに握られた手首に虹色の細いリングのようなものが現れた。



 「……?」

 「これ何ですか?」

 「魔力を結晶化したものだ。これを身に着けていると自然に体内から流れ出る魔力を集める事が出来る。テリサン村からの転送魔法もこれで行えるだろう」


 そんな便利な物があるんですね…

 

 「この髪色だと目立ってしょうがないんですけど…」

 「その方が逃げる事が出来ないだろう?」

 「………に、逃げませんよ」


 テリサン村が思いの他遠かったんで…そのままばっくれようなんて考えてませんよ…。

 うぅ…皇帝の笑顔が怖い。


 「では、ガース国の使者に引き合わせよう」


 握ったままの手を軽くひっぱられ立ち上がるとそのまま腰に手をあてられた



 …こ、これは!!いわゆるエスコートってやつですか!?


 

 思わずびくって身体がなった事は許してほしい。

 だってあたしは根っからの平民ですから!


 皇帝自らエスコートなんて名誉な事なんでしょうけどね…あたしにとってこの状況、羞恥プレイ以外の何でもないんです!!!


 散々城の中をこの状況で歩いて人々の好奇な視線に晒され、挙句の果てには勝手にガース国の使者が控える部屋に乗り込んで…


 「あさみずは私にとって大事な人だ。丁重に頼むぞ」


 んぎゃー!!!

 今からこの人達と行動するのに、これほどの妨害は無いでしょう!?


 使者の人達の恐縮が…萎縮が…入り乱れてる

 ただ一様に皆さん、厄介な頼まれ事を引き受けてしまったって顔に書いてますよ。

 


 …色んな意味で痛い、痛すぎる。


 

 …どうみても、この部屋の中でご機嫌だったのは皇帝だけだった 

毎日たくさんの方に読んで頂けてほんとに嬉しいです


明日のお昼は閑話2話目を更新します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ