10話 多重人格ですか??
皇帝の言った言葉に固まったのも一瞬ですぐにフル回転で頭が働き出す。
…保護って何?
あの…生活保護とかそういう感じの物ですか?
それなら生活はやっていけてるし血税の恵みはいりませんけど…
ただ…何だかあたしの考えと皇帝の考えが違う様な気がする。
聞くのは怖いけど聞かないと話が終わらないので…頑張る。
「あの…保護って…」
「『あさみず』が両親が見つかるまで、この城に住むといい」
…え?
…城に住む?
「転移魔法が使えるという事は魔力もあるようだから、帝国魔術学院に通うといい。も
ちろん後見人には私がなろう」
…後見…人?…学校?
「それでは…すぐに部屋を用意」
「ストォォォォップ!!!!!」
危ない!危なすぎる!!
皇帝の言ってる事を聞き取るだけで精一杯で思いっきり流されていきそうになった。
「い、いりませんっ!!保護いりませんっ!!」
「『あさみず』を一人で生活などさせられない。私の近くにいればいい」
…あたしの今までの生活を丸無視ってどういう事!?
しかもあたしには毒でしかない満面の笑みで「私の近くにいればいい」とか言うなぁ!!!
「ひ、一人じゃないから大丈夫ですっ!!」
ひぃ~っ!!!い、息苦しい…。
何か突然部屋の空気が減ったぁ!!
「…一人じゃ…ない?だが、両親は別れたままだと…言わなかったか?」
こ、こ、コワイィィィ!!!
な、何で急にこの人怒っちゃってんの!?
あたし変な事言った覚えないんですけど!!
「…もう一度聞こう。…今は一人だな?」
何で断定?と思ったけど、恐怖で思わずコクコクと頷いてしまう。
…だって怖いんだもんっ!!
「ならば…一人じゃないというのはどういう事だ?」
「こ、皇帝の寝室からとある村に飛びまして、そ、そこで大変お世話になった人がおりますっ!!」
「…男か?」
何でそんなに地を這うような声出すんですか…。
び、美形が凄むと凡人の3割増しだって知ってます!?
「夫婦でぇすっ!!!」
「声出せぇぇぇ!」みたいな感じで『で』が思わず声裏っちゃったじゃないか…。
…これ何の訓練ですか?
「夫婦?」
あぁ…ちょっと空気が戻ってきた
…何だったの今のやりとりは…死ぬかと思ったわ。
「夫婦というのは?…拾われたのか?養子にでもなったのか?」
こ、この人さっきから質問多くないですか?
せめてちょっとあたしにも息継ぎの時間を下さいっ!!!
って、もぉ~超メンドクサイ…ほっといて下さいって逃げるのは無しですか?
ちっ、しまった。手配書で所在地ばれてるじゃん…。
でも、何でたまたま寝室に転送してきた子供…にこんなに手をかけようとするの?まぁ…ほんとは子供じゃないけど…。
初めての寝室で見た事が無かったら完全に「…え?この人ロリコン?」って疑惑が浮かぶ行為だよ?
まぁ…そうじゃないにしても、迷子の子供を保護するってどれだけ子供好きなの!ってちょっと心配になってくるわ…。
自分で言うのもなんだけど、一つの国ともなればあたしみたいなストリートチルドレンがたくさんいるわけでしょ?それを全部保護してたら国潰れるよ?
そんな事を考えてたら皇帝が全然的外れな事を言った
「転送魔法で何処かにいこうとしても無駄だぞ。きっちり全て話してもらうからな」
「え?…どうして」
魔法の事なんて頭の中からスパッと消えてたけど、皇帝に言われて思い出した。それにしても無駄ってどういう事?
この部屋特殊結界でも張ってんの?そんな感じしないけど…
「『あさみず』の背中には魔法封じの術がかかってる。私より魔力が優れていない限り、無効には出来ない」
あの最初に貼られた紙!!
でも…よかった。お馬鹿とか書かれてなくて…
んでもさ…こんな事言うのもなんだけど…、多分、多分だよ?
あたし今でも普通に魔法使えそうですけど…
閑話集を別で投稿しました
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10話に1話ずつぐらい書けたらと思います