涙の妖精さん
「もう 大嫌い!」
大好きだった 女の子のお友だちに はっきりと言われてしまった
僕は頭が真っ白になっちゃって ママが 幼稚園に迎えに来てくれたけれど
あんまり 嬉しい気持ちになれなかった
ママは
「大丈夫? 何かあったの?」
と 聞いてくれたけれど
僕は いちいち思い出すのも 説明をするのも嫌で
「何でもない」
と 答えた
お家に帰って来てからも ずっと心がモヤモヤして 変な感じだった
お絵描きをしても 大好きな車のおもちゃで遊んでも 全然すっきりしない
大嫌いだなんて どうしてそんなこと 言っちゃうんだろう
そりゃ 僕だって 悪かったかもしれないけれど
でも だって 他の男の子たちとばっかり 楽しそうに遊んでいて
とても 嫌な気持ちに なっちゃったんだもん
(もう 前みたいに 仲良く遊んでもらえないのかな)
そう思うと 涙が出そうになった
だけど 僕は男の子だから 泣いちゃ駄目だ
そう思って 堪えようとするけれど それでもなぜか 目に涙が込み上げてくる
何とか泣かないようにしよう 我慢しないと 何度も自分に言い聞かせたけれど
ぽたり と 涙がこぼれてしまった
すると 落ちた涙の粒から シュルルルルーッと 一匹の妖精さんが出てきた
「え ええ? 君は誰⁉」
僕はびっくりして 妖精さんに聞いた
「私 涙の妖精なの
泣くことは 良いことなんだよって 君に教えるために
こうして 君の涙を通じて やって来たの」
妖精さんは答えた
僕は 思わず
「泣くのが 良いことだって?
強くてかっこいい男の子は 泣かないのが良いんだよ」
と言った
すると 妖精さんは 優しい口調で僕に言う
「だけど 君
泣かないようにって考えて ずっと 心がモヤモヤしていたでしょ?
一回 思い切って泣いてごらん?
今は 君のママも 別の部屋にいることだし
そうすれば 心がすっきりして どうしたらいいのかが分かるはずだよ」
そう言い終わると シュルルルルーッと 妖精さんは消えてしまった
確かに 今はママもいないから 思いっきり泣いてみた
(他の男の子とばっかり 仲良くしないでよ
僕だって 本当は 皆で仲良くしたいし
皆で 楽しく 遊びたかったんだよう)
僕は はっとした
そうか 僕は 皆で仲良く 楽しく遊びたかったんだ
明日 皆に言おう
僕もいっしょに 遊んでもいい?って
そう考えると 僕はなんだか 気持ちがすっきりして
心のモヤモヤは すっかりどこかへ 飛んで行ってしまったような
そんな気持ちになった




