第28章:心霊トンネルのLED化工事(物理的除霊)
これまでの流れを踏まえつつ、**盆ちゃんの“安全第一による物理的除霊”**が炸裂する回として仕上げています。(AI談
第37章:心霊トンネルのLED化工事(物理的除霊)
1. トンネルは今日も“暗いだけ”
大陸中央部。王都から魔導都市ナギへ向かう街道の途中に、古くから「幽霊が出る」と噂される山岳トンネルがあった。
昼でも薄暗く、馬車の車輪が軋む音が反響し、旅人たちは皆、息を潜めて通り抜ける。
壁には黒い手形、天井からは水滴が落ち、時折、白い影が横切るという。
だが盆山茂は、入口に立った瞬間にこう言った。
「……暗いから不審者が出るだけだな。照明が足りてない」
弟子たちが震え上がる中、盆ちゃんはヘルメットのライトを点け、トンネルへずかずかと入っていく。
「ひ、ひとまず退避を……! ここ、王都でも“七不思議”の一つなんですよ!?」
「七つもあるのか。管理が行き届いてないなあ」
弟子アルフレッドの悲鳴は、盆ちゃんの耳には届かない。
2. 白い影、現る
トンネルの奥で、ひゅう、と冷たい風が吹いた。
次の瞬間、白い影がふわりと浮かび上がり、盆ちゃんの背後に立つ。
「う、うしろ……! 盆山殿、うしろです!」
「ん? ああ、作業員か?」
振り向いた盆ちゃんの目に映ったのは、半透明の女性の霊。
髪は乱れ、顔は青白く、足は地面に触れていない。
「……あの、わたし……ここで……」
「おう、危ないからそこ立つな。作業エリアに入るならヘルメット着用な」
幽霊はぽかんと口を開けた。
「え……あの……わたし、死んで……」
「死んでても関係ない。現場は安全第一だ」
幽霊は、死後初めて叱られたらしく、しゅんと肩を落とした。
3. 原因は“湿気”と“照度不足”
盆ちゃんは壁を指でなぞり、湿った黒カビを見てうなずく。
「なるほどな。湿気が溜まってる。換気が悪いんだ」
「幽霊の原因が……湿気……?」
「だいたいこういうのは環境が悪いから出るんだよ。暗い、じめじめ、寒い。そりゃ出るわ」
弟子たちは震えながらも、盆ちゃんの“理屈”に妙な説得力を感じてしまう。
盆ちゃんは腰の工具袋からレーザー距離計を取り出し、天井の高さを測り始めた。
「よし、LED照明を等間隔で設置する。湿気対策に換気ダクトも追加だ」
幽霊が恐る恐る尋ねる。
「……あの、わたしは……どうなるんでしょう……?」
「明るくなったら自然と消えるだろ。暗いから出てきちゃうんだよ」
幽霊は「そんな理由……?」と困惑したが、盆ちゃんはすでに脚立を展開していた。
4. 物理的除霊、開始
盆ちゃんがLEDライトを天井に取り付けるたび、トンネル内がぱっと明るくなる。
光が広がると同時に、壁に浮かんでいた黒い手形が煙のように消え、白い影たちが「まぶしっ……!」と目を押さえて後退する。
「ほらな。照度が足りてなかったんだ」
「ま、まさか……光量で霊が……!?」
「暗いと不審者も霊も出る。明るくすれば解決だ」
盆ちゃんは淡々と作業を続け、弟子たちは震えながらも工具を渡す。
幽霊たちは、光に照らされるたびに輪郭が薄くなり、ついには「成仏……?」と呟きながら消えていった。
最後に残った女性の霊が、盆ちゃんに向かって深く頭を下げる。
「……ありがとうございました。こんな形で……救われるなんて……」
「いや、ただの照明工事だよ。次は明るいところに行けよ」
幽霊は微笑み、光の粒となって消えた。
5. トンネル、観光地化
工事が終わると、トンネルは昼間のように明るくなり、湿気も消え、空気が軽くなった。
弟子たちは感動して言った。
「盆山殿……ここ、もう全然怖くありません!」
「そりゃそうだ。安全で明るい現場に幽霊は出ない」
王都の役人たちが視察に来て、驚愕する。
「こ、これは……! “幽霊トンネル”が……“光の回廊”に……!」
「観光地にするなら、非常口と案内板も付けとけよ」
こうして、かつての心霊スポットは、
**「世界一安全な光のトンネル」**として人気観光地になった。
6. 次なる現場へ
盆ちゃんは工具を片付けながら、遠くの山脈を見上げた。
「さて……次はあっちの“鳴動する峡谷”か。あれもたぶん、地盤が緩んでるだけだな」
弟子たちは青ざめた。
「ま、また……何か出るんですか……?」
「出るのは“問題”だよ。直せばいい」
盆ちゃんは軽トラ(盆山号)に乗り込み、次の現場へ向かう。
世界の怪異は、今日もまた“物理的に”解決されていく。




