第20章:マナー違反は異次元送り、そして帝国の「安全第一」への帰順
第20章:マナー違反は異次元送り、そして帝国の「安全第一」への帰順
【不法侵入:マナー違反の末路】
帝国最強の隠密、二つ名『不可視の幽霊カメレオン』は、新設された巨大転移門『盆山大橋』の影に潜んでいた。
彼の任務は、この門をハッキングし、帝国軍を王都のど真ん中へ送り込むための「裏口」を作ることだ。
「……フン、どれほど強力な魔導門だろうと、所詮は人の作ったもの。この『次元の鍵』を使えば……」
カメレオンは、盆ちゃんが設置した『自動改札ゲート』のセンサーに、細工を施した魔導具を近づけた。
その瞬間。改札口の招き猫型端末が、カッと目を見開いた。
『――ピーッ! 警告:不正なデバイスを検知しました。歩きスマホ、および割り込み乗車、ならびに「殺意の持ち込み」は重大なマニュアル違反です』
「なっ、なんだこの音声は……!? ぎゃあああああああ!!!」
次の瞬間、カメレオンの足元に次元の「穴」が開いた。
それは盆ちゃんが設定した**『産廃・不燃ゴミ用次元ポケット』**。
「現場を汚す不純物」と判定されたスパイは、断末魔を上げる暇もなく、二度と戻れぬ虚無の空間へとプレスされ、文字通り「消滅」した。
モニターでその様子を眺めていた盆ちゃんは、首を傾げた。
「おっと、今のエラー音は何だ? ……あぁ、また大きな『ゴキブリ』でもゲートに挟まったかな。ポチ、あとで噴霧器(神域の殺虫剤)撒いといてくれよ」
【和平交渉:という名の「メンテナンス契約」】
数時間後。消滅したスパイの後を追うように、帝国の宰相を筆頭とした特使団が、白旗を掲げて門の前に現れた。
彼らは、自分たちの最強戦力が「エラー音一つ」でこの世から消されたのを遠隔魔法で目撃し、戦意が完全に消失していた。
「……盆山殿。我が帝国は、これまでの無礼を詫び、貴殿の管理する『聖域』、および貴殿が守護する王国に対し、永遠の不戦を誓います」
震える手で差し出されたのは、事実上の**「無条件降伏」と、帝国の全資産を担保にした「管理委託契約書」**だった。
しかし、盆ちゃんの理解は違った。
「え? つまり、帝国の建物やインフラがボロボロだから、俺に『定期メンテナンス』をしてほしいってことですか? まぁ、現場を預かる身としては、安全点検は大事ですからね。いいですよ、下請け(属国)として登録しておきます」
「……ははっ! ありがたき幸せ!!」
宰相は涙を流して地面に額を擦り付けた。
「下請け」という屈辱的な言葉も、彼らの耳には**「神域の保護下に入る」**という至高の救済に聞こえていた。
【天界:神様のザッピング・ウォッチ】
その頃、天界。
最高神レル・アストラは、特大のモニター(天界モニター・400K画質)をザッピングしながら、ハラハラと涙を流していた。
「ああ、盆ちゃん……! またそんなに働いて……。あんな『ただの転移門』を作るのに、わざわざ次元の壁を100層も重ねて補強するなんて。なんて慎重で、なんて健気な職人魂なの……!」
神様レルは、盆ちゃんが「スパイを消した」ことを、「邪悪な因果を剪定し、世界の調律を整えた聖なる儀式」として見ていた。
「いけないわ、盆ちゃんが過労で倒れちゃう! もっとご褒美(加護)を盛らなきゃ。……よし、彼が今作ろうとしている『犬小屋(ポチの家)』に、**『全自動世界再編機能』と『無限魔力供給エンジン』**を内包させておきましょう。これでポチちゃんも、快適に銀河を散歩できるわね!」
レルが指をパチンと鳴らす。
その瞬間、地上で盆ちゃんが適当に組んでいたポチの家の「犬用ベッド(古着の毛布)」が、**「触れるだけで全知全能に至る聖骸布」**へと変貌した。
【地上:ポチの家、着工】
「よし、ポチ。お前の新しい家、せっかくだから見晴らしのいい『空中』に浮かせてみたぞ。名付けて、**『盆山式・現場監督用スカイハイツ』**だ」
盆ちゃんの手のひらの上で、一軒の小さな(と盆ちゃんは思っている)小屋が、ゆっくりと雲を突き抜けて上昇を始めた。
それを見上げる国王、女王、そして帝国の特使たちは、もはや言葉を失っていた。
「……あれは、城……。いや、聖都そのものが浮いている……?」
「師匠、あれ……ポチの家ですよね? なんで主砲(自動迎撃レーザー)が100門も付いてるんですか?」
「あぁ、あれか。カラスよけだよ、アル。現場の衛生管理には欠かせないからな」
ポチは「ガウッ!(またご主人様が『カラスよけ』で魔王軍を殲滅しそうなものを作った……)」と、諦めたような、それでいて誇らしげな声を上げた。




