第1巻 第1章:現場のベテラン、神様の過保護に遭う
いよいよ物語の幕開けですね。熟練技術者・盆山茂(盆ちゃん)の、落ち着き払ったチートライフの第一歩を執筆します。(AI談
第1巻 第1章:現場のベテラン、神様の過保護に遭う
1. 職人の最期は、案外静かなもので
その日、盆山茂は、地方の橋梁補修現場にいた。
通称「盆ちゃん」。長年、現場の最前線で機械整備と施工管理を担ってきた彼は、五十を過ぎてなお、若手から「盆さんに聞けばなんとかなる」と頼られる現役バリバリの技術屋だった。
「……おい、そこ。玉掛けが甘いぞ。やり直せ」
ヘルメットの顎紐を締め直し、指示を飛ばした直後だった。
突風。そして、想定外のワイヤー破断音。
「危ない!」と叫ぶより先に、盆ちゃんは部下の背中を突き飛ばしていた。
視界を覆う巨大な鋼材。あ、これはJIS規格の強度計算を超えてるな――そんな職業病じみた思考を最後に、彼の意識はプツリと途絶えた。
2. 真っ白な空間と、泣き虫の神様
気づくと、そこは静かな白い空間だった。
「……おや。現場の詰め所にしては、掃除が行き届きすぎてるな」
盆ちゃんは、痛み一つない体を不思議に思いながら立ち上がった。目の前には、椅子に座り、顔を覆って号泣している一人の美青年がいた。
「あああああ! すまない! なんという無体な最期だ! 茂、君のような善良な技術者が、あんな冷たい鉄塊の下敷きになるなんて……!」
「いや、まあ、仕事ですからね。それより、ここは? あんた、施主さんか何かで?」
盆ちゃんは、慌てず騒がず、作業着の汚れを払う仕草をした(作業着は消えていたが)。
青年は顔を上げ、驚愕した。
「……落ち着きすぎじゃないかな!? 私は神だ! 君の徳の高さに免じて、異世界への転移をお願いしたいんだ。そこは、人間と魔族が争い、天界もちょっかいを出す……実に殺伐とした、救いのない世界でね……」
「なるほど、海外赴任みたいなもんですか。いいですよ、快諾します。今の日本も、現場の人手不足で大変ですしね」
「話が早い! だが、あんな恐ろしい世界に、君を丸腰で行かせるわけにはいかない! 何か望みはあるかい? どんな無理難題でも、この私が――過保護なほどに叶えてあげよう!」
神様の目は、すでに「この哀れな犠牲者に、持てる限りの贅沢をさせねば」という勘違いの義務感で燃えていた。
3. 盆ちゃんの「謙虚な」要求
盆ちゃんは顎をさすり、技術者らしい現実的な提案をした。
「それじゃあ、いくつか。
一つ、自分の状況が数字でわかる**『ステータス表示』。マニュアルなしで現場に入るのは怖いですから。
二つ、元の世界の道具を取り寄せられる機能。対価は、向こうのゴミでもなんでも円換算して決済できればいい。
三つ、健康な体。腰痛持ちじゃあ、仕事になりません。
最後、いきなり紛争地帯は勘弁だ。どっか『無人島』**で、一人でじっくり修行と工作ができる環境が欲しい。落ち着いたら、外に出ますから」
盆ちゃんとしては、「とりあえず一人でキャンプしながら、ネット通販で道具を揃えて、ゆっくり足場を固めたい」という、至極真っ当な技術屋の準備期間のつもりだった。
しかし、神様はこう受け取った。
(……なんということだ! 茂は、誰にも頼らず、一人で魔境に立ち向かうというのか! しかも、『円』という謎の対価で世界の理を書き換えようとは……。よし、この私が、誰にも負けない最強の環境を整えてやろう!)
「分かった! 全て、私の『真心』を込めてアレンジしておいたよ! さあ、行くがいい、茂!」
4. 孤島「オキナワ・ハビタット」降臨
眩い光に包まれ、盆ちゃんが目を開けると、そこはエメラルドグリーンの海に囲まれた美しい砂浜だった。
「お、いいところだ。沖縄の離島っぽいな」
立ち上がり、自分の体を確認する。筋肉は程よく引き締まり、視界もクリアだ。
「十五歳……いや、成人式直後くらいか。腰が軽い。これなら徹夜もいけるな」
視界の端で「ピッ」と音がした。
【個体名:盆山 茂(盆ちゃん)】
【状態:不老不死・神の寵愛・極めて健康】
【スキル:万象の天眼、次元等価交易、概念模倣……】
「お、マニュアル(ステータス)が出たな。よしよし……ん? なんだあの建物」
島の中心、北寄りの小高い山を背にして、一軒の平屋が建っていた。
盆ちゃんが近づくと、自動ドアがスッと開く。
「……これ、ダイキンの最新モデルのエアコンか? 異世界だよな、ここ?」
部屋に入ると、そこには最新の家電、満載の食料庫、そしてプロ仕様の工具が揃った工房。
さらには、ウォシュレット付きのトイレまで完備されていた。
「神様ってのは、案外気が利くもんだ。よし、まずは冷たいコーラでもポチって、これからの工程表を立てるか」
盆ちゃんは、冷蔵庫から「異世界商店」のタブレット(のようなもの)を取り出し、落ち着いた手つきで操作を始めた。
5. 神様の視点
> 【天界のモニタリングルームにて】
> 「ああ……茂! なんという健気な! 彼は今、絶海の孤島で、たった一人、文明の利器(私が魔改造した神具)を頼りに、震えながら明日への希望を繋いでいるのだな……!」
> レル・アストラは、大型モニターに映る「コーラを飲んで『プハー、生き返るな』と呟く盆ちゃん」を見て、ハンカチを噛み締めた。
> 「可哀想に……コーラ一本でそんなに喜ぶなんて。よし、彼が寝ている間に、あの『冷蔵庫』に『無限補充機能』と『聖水生成機能』を追加しておいてやろう。頑張れ、茂! 君の孤独は、この私が埋めてあげるからね!」
> ――盆ちゃんのログ:『冷蔵庫のグレードが【豊穣の神蔵】にアップデートされました。併せて、蛇口からコーラが出るよう設定されました』
> 盆ちゃん:「……あれ? 水道代、どうなってんだこれ?」
今回は、盆山茂さんと神様の天然さと勘違いさを強調して見ました。前回よりもっと長編にしようと頑張ってみます。┏○ペコッ




