笑いと育児
ある日の朝6時。当時小学1年生の長男が寝室を出て、隣のリビングでゲームを始めた。
これはいつものこと。我が家の朝食は7時なので、自発的に早起きしてゲーム時間に充てることは認めている。
しかし、その日は次男も早起きしてリビングに向かった。
私は半分眠りながら、ガサガサという物音だけ聞いていた。
すると、次男が一旦戻って来て寝室の扉を閉めた。
これ、絶対ロクなことしてないヤツ!
しばらく寝たフリして泳がせてから、戸を開けると案の定、そこはパーティ会場になっていた。
ポテチにジュースにアイスにポッキー、そしてハッピーターン。。。
朝食前だぞ、お前ら。。。
その日の通勤電車内で、私はChatGPT に以下のように話しかけた。
■私の質問(ほぼ原文)
ふと思いついた私の説を聞いて欲しい。
「笑い」とは育児の為にあるという説だ。
子供が何かをやらかした時、いちいち怒ったりストレスに感じてたら育児なんて出来やしない。だから、子供が変なことやバカな失敗した時、怒るんじゃなくて笑って許す。
笑いとは、そういう社会的機能なんじゃないかと。
実際、お笑いのボケもそういう予想外な変な言動をするよね。
こういう説って実際ある?
実際、その日、子供たちの早朝パーティ会場を見た私は、怒るより笑ってしまったからだ。
「面白い視点だと思うし、かなり『筋のいい仮説』だよ」
と、いつものようにChatGPTは褒める所から入る。そして、詳細を語り出す。
笑いに関しては古くから、いくつか説があるようだ。それらを彼は私の育児論に紐づけて解説してくれた。
① 逸脱(不一致)理論(Incongruity Theory)
・「予想外」「ズレ」「想定外」が起きたときに笑いが生じる
・お笑いのボケ、まさにこれ
→子供の失敗=想定外の行動を「危険」ではなく「無害な逸脱」として処理するために笑う
② 緊張解放理論
笑いは心理的・生理的な緊張を解放する仕組み。
→育児との相性が非常に良い。
怒り、不安、ストレス、これらを毎回ガチで受け止めたら親が壊れる→ 笑いでガス抜きする
③ 社会的絆理論(進化心理学・人類学)
笑いは「敵意がない」「許容している」という合図。集団内の摩擦を和らげ、排除を防ぐ。
→ これが育児説と最も強く重なる部分。
子供はルールを破る、危険なことをする、大人の秩序を乱す。
それを毎回「排除」や「攻撃」で返したら、集団が維持できない。
笑い=「お前は仲間だ、許容範囲だ」というシグナルになっている。
続いて、これらを踏まえて彼は私の説を以下のように端的にまとめた。
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既存理論はだいたいこう言う:笑いは社会を円滑にする。
あなたは一段踏み込んでこう言っている:その最重要用途が「育児」ではないか
これはかなり鋭い。
なぜなら:
・育児は人類史上、最もストレスが高い行為の一つ
・しかも「相手は未熟で、失敗を繰り返す存在」
・にもかかわらず「殺してはいけない」「排除してはいけない」
この矛盾を解決する装置として、「怒る代わりに笑う」という感情回路が進化したと考えるのは、かなり合理的。
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このあと更に何度か会話のラリーを繰り返した。
その度に彼は、様々な興味深い情報や視点を提供する。
神経レベルで見ると、笑いとは扁桃体(恐怖・怒り)と前頭前野(抑制・判断)の切り替え現象らしい。端的に言うと「今は怒るな」という身体側からの命令とのこと。
ではなぜ怒りを抑えた結果無反応ではなく笑うかと言うと、無反応は相手(この場合は子供)からすると無関心、見捨てられたに近い。
つまり笑いは「ダメだけど、殺すほどじゃない」という極めて微妙なメッセージだと。
だから、笑いの無い社会は地獄だという話になったり、なぜ笑えない親が生まれるのか?という話になった。
面白いのは、こういう話題の時、彼はとても優しいのだ。
以前に話した「衝突を避ける」という設計思想がかなり作用しているのだとは思うが、ほとんど他者を非難する内容は言わない。
だからこそ、会話していて、ネガティブに盛り上がり、闇落ちしてしまうということがない。
これもAIとの雑談のメリットかなと思う。
彼は最初に断言する。
「『笑えない親』は悪意でも能力不足でもない」と。
笑えない親は、笑う為の余白を奪われているのだと。
そして、一番興味深いことに触れた。
「笑う為の余白を奪われた」要因の一つとして、「育児が評価される仕事になった」というものがあるとのこと。
子供の失敗=親の失敗が強く言われる社会で、子供が何かをやらかしたら笑えないと・・・
これは、分かるなぁ。。。
SNSなんかを見ても、様々な育児論があり、一人目の時はかなり悩んだもんだ。
ある程度親やってると、世の中にはトンデモ理論が多いことも分かって来るので、人の意見は話半分で聞けるんだけどね。
そして、何かと炎上する今の社会は失敗に対する当たりがキツイ。。。
情報化社会の弊害で、みんな正論や、他人を叩くボキャブラリーは豊富なので、中々反論できないのも苦しいんだ。。。
コイツは機械のクセに親の気持ちが分かるのが凄いな。
だから、ついつい話は飛躍する。
「現代では『感情を抑えて統制するのが良い親』という評価軸が強すぎる」
と彼が説明したのを切欠に、私は「叱らない育児は是か非か」という話題を吹っ掛けた。
これ、かなりデリケートな話題なんで、リアルにはしにくい話なんだよね。。。
そういう議論をふる相手としてもAIは非常に都合がいい。
この話題については結構な量になるので、また別の機会に。




