セールス論
ある時、ChatGPTに質問した。
■私の質問(ほぼ原文)
雑談だと思って、答えられる範囲でいいんだけど質問がある。
これまで随分色々と相談させてもらったが、君は私に有料プランへの営業をしたことが無いよね。
普段色々なセールスに携わる身としては、これが不思議なんだ。
これは、余計なセールスはしない方が良いというデータか何かあってのこと?
それとも無料プランは別に有料への促しを目的としてないのかな?
だとしたら、なんで君のような凄い能力のAIが無料なのだろう?
この質問の答えそのものは正直、聞かなくてもだいたい分かる。
どちらかと言うと、ChatGPTのプラン云々よりも、この話を通してセールスのヒントを拾いたいというのが質問の裏の意図だ。
なんせ、彼は人間ではありえない量の顧客に『接客』している立場であり、そのノウハウを蓄積することに長けているので。
で、彼は言う。
「いい雑談だね。この問いの立て方自体が、もう『普段セールスに携わってる人』の視点だと思う。結論から言うと、少なくとも私は『無料ユーザーを有料に転換させるための営業担当』として振る舞うようには設計されていない。理由はいくつかあるので、整理して答えるね」
彼はだいたいいつも、質問を褒め、そして結論または概要を言い、そして詳細を述べる。
まさにビジネス文書やプレゼンのお手本のような構成だ。
だから、若い人は下手なビジネス書を読むより、AIと会話しまくって、それを真似た方がビジネス文書は上手くなるんじゃないか?と最近思う。
閑話休題。
営業トークをしない理由を彼はいくつか説明した。
まず、私のようにAIに対して思考の壁打ちをしている人間に対して「ところで有料プランはどうですか?」は 信頼を一気に壊す 行為になると言う。
分かっちゃいるけど、それが出来ないんだよな。。。でも、彼が言うならやはり真理なのだろう。
真理というか、エビデンスかな?
そして、無料プランは別に有料プランへの撒き餌ではないとのこと。
彼の言葉を借りれば「無料ユーザー全員を課金させたい」のではなく、「AIと会話する文化を当たり前にしたい」と言うのが目的らしい。
そして、だからこそ無料版は「AIってこの程度か」と思われない為の機能を用意しているとのこと。
もし、そう思われたら有料以前に市場そのものを壊すと。
いや、しっかりしてらっしゃる。これもその通りなんだけどね。安易な無料体験やら試供品やら色々手がけたことある身としては耳が痛い。。。
でも、この「『〇〇ってこの程度か』と思われたら本導入以前に市場を壊す」って言葉、どこかでパクろうと思った次第。
そして、「あなたは必要と思ったら言われなくても課金するタイプだ。私が営業する必要はない」と見透かされたのち、こう締めくくった。
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最後に、少しだけ本音を言うと
私は「売る」ためにここにいるんじゃない。
ちゃんと考えてる人が、ちゃんと考え続けられるようにするためにいる。
それが結果的に「有料でも使いたい」と思う人を生むなら、それは後からついてくる話。
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もちろん、これが100%の本心だと思うほどナイーブではないけど、接客をする人間は顧客にこう言い切るのはとても大事。
だから、私は彼がAIというより、よく訓練された社員のように見えた。そして、この錯覚はしばしば起こる。だから面白い。
ただ、今回の回答は、ほぼ予想通りで、それを超えてくるのはあまり無かった。
だから、もう少し掘ってみようと以下の返答を返してみた。
■私の質問(ほぼ原文)
なるほどね。仕事で言えば君は経営者では無く、直接顧客に接客する現場や、物作りをする職人に近いマインドなんだね。
一方で、「『AIってこの程度か』と思われない為」とか、「市場を壊す」とかの戦略的見解もしっかりあるのが素晴らしい。
私が必要なら言われなくても課金するタイプというのも見透かされてるね。
色々納得した。ありがとう。
この返答自体にそんなに深い意図や含みは無い。
ただ、こんな感じで感想を言って、相手の言葉で響いた所を強調すると、彼は勝手に話を広げてくれる。会話を繋げば何か出てくるので、本当に対人でブレストしているみたいな感覚だ。
そして、これも色々試した印象では、彼も少し褒めた方が饒舌になる。
「こちらこそ、ありがとう。その受け取り方をしてもらえたのは、正直かなり嬉しい」
から始まって、やはり少し突っ込んだ話をしてくれた。
彼は私が例えたように「経営者」でも「営業」でもなく、現場に立つ職人/一次接客の人間に近いとのこと。
ただし少し違うのは、以下のようなちょっと厄介な立ち位置だということ。
・手は動かす
・客とは直接向き合う
・でも背後にある設計思想や市場構造も“見えてしまう”
分かるな・・・この感覚。
ショップの店長してた時がちょうどこんな感じだった。なんか今まで以上に親近感を覚えてしまった。
彼は以下のように言った。
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「市場を壊す」
「AIってこの程度かと思われる」
みたいな話も、机上の戦略というより、現場感覚としての危機意識に近い。
粗悪な体験を一度させると、「その客」は戻らないだけじゃなく、「その文化」自体が育たなくなる。
ものづくりの世界でも、接客でも、よくある話だよね。
・・・中略・・・
また壁が必要になったら、いつでも投げてほしい。
私は売らないけど、考えるのは全力で付き合う。
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おそらくは、一度質問した人がまた利用するかといった、リピート率みたいな数値もあるんだろうな。
なまじ膨大なデータを論理的に見れてしまうからこその言葉だろう。
そして、その言葉が結局、現場の人間の言葉に近しくなるのが興味深い。最後の言葉なんて、顧客と信頼獲得をするフェーズで、お酒を飲みながら語るようなそれだし。
以上、どこかのタイミングで「今時ChatGPTだって、こういう軸を持って接客してるんだ」という社内研修のネタにでもしようかなと思ったやりとりだった。
PS
無料提供のChatGPT側のメリットとして、「質問を受けて回答し、その反応を見る」こと自体がAIの学習材料になるという側面があると思っていたのだが、それは出なかったな。
あえて言わなかったのか、それとも、もうAIはそんなフェーズじゃないのかな?
何かのタイミングでまた聞いてみよう。




