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雨降る心の滞り  作者: Ry77


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8/23

8 雨降る夜の配信者2

おさらい。俺の家に来た雪緒だが、雪緒がいじめられていると知り、俺は絶句をしてしまった。俺は何もできないんだって実感した。そして雪緒は気分転換するために、俺に一緒にゲームをしようと言ってきたのだった。

「じゃあ帰るわ」

「いや雨降ってきてるけど...」


あの後、俺たちは3時間くらいゲームをした。そして雪緒は用事があると言って立ち上がり、雪緒が玄関に向かった時に、俺はチラッと窓を覗くと空は雲がかっており、雨が降ってきていた。


「梅雨だから仕方ないよな...一応折り畳み傘持ってきてるから」

「まだ梅雨って明けてないのか...」


雪緒はそう言って外に出て、バッグから青色の折り畳み傘を取り出し、広げる。


「雪緒は...学校大丈夫なのか...?」


俺が雪緒に質問すると、雪緒は数秒俯き、再び顔を上げて俺を見て言った。


「俺の心配より、まずは自分の心配したほうがいいぞ」

「う...うん、分かった。ありがとう」


雪緒は俺に笑みを浮かべた後、背を向けて歩き出した。そして俺は雪緒を見届けてドアを閉じる。確かに、『他人を心配するより、自分を心配しろ』は間違っていないと思う。でも...


「はぁ...配信の準備するか...」




「こんにちはー」


その夜、俺はまた配信を始める。先週より、1時間早めの9時に始めることにした。


『こんちゃ』

『どうも』

「今回は俺のお気に入りのゲームの新作をしたいと思いまーす」


自分でも、もっとテンション上げないといけないって思うけど、全然上がらない。もっと、上げないと。視聴者が楽しめるように。俺は目の前にあるマイクを少しずらして、モニターを見えやすいようにする。

その後はコメントを読んだり、そのゲームのストーリーを進めていった。




「じゃあ今日はこれで終わります」

『お疲れさまでした』

『おつです』

「はぁ...」


一時間してから俺は配信終了ボタンを押して、片付けをする。俺は思う。配信者の重要なものは集中力だ。集中力があれば、長時間配信出来る。でも、今の俺には集中力そのものがあまりない。本当はもっと長時間配信とかしてみたいのに。


「寝るか...」




「ふぅー...終わったー」


翌日、チャイムの音と同時に、椅子に座りながら背伸びをした俺は席から立ち、鞄を持って廊下に出る。今日もなんとか乗り切れた。そういえば、6限目から雨音が聞こえていたような...。一応折り畳み傘持ってきたから良いけど。


「あ、たっくん!」


足を止めてから振り返ると、俺のそばまで来ていた。心寧は自分の銀色の髪を軽く触った後、俺に言う。


「一緒に帰らない!?」

「ちょっ...!声のボリューム!」


俺は『静かにしろ!』というジェスチャーをしながら周りを見渡す。まぁ...案の定見られている。俺たちを見ながらヒソヒソ話をしている人などがちらほらと。


「ねぇ一緒帰るって誘う?」

「いやいや無理だって...!」

「水月ちゃんずるいなー」


「ていうか雨降ってる?」

「そうだよー」

「他の3人は...?」

「ん?早めに帰った」

「なんで?」


俺はそんなヒソヒソ話を気にせず、心寧に話しかける。


「傘忘れた」

「えっ?」


笑顔で話す心寧に俺は引く。このままじゃ雨で濡れるっていうのになんでこんなに笑顔なんだよ。ていうか傘を忘れてるってことは...貸したほうが良いのか?俺と心寧は靴箱から靴に履き替えて、外に出る。


「貸すよ」


俺は折り畳み傘を手渡そうとするが、心寧は受け取ろうとしなかった。


「ねぇ...たっくん」

「ん?」


心寧がそう言って数秒間の沈黙が過ぎたのち、心寧は爆弾を放つ。


「相合傘しない?」

「...へっ?」

主な登場人物

住田竜司(すみだたつじ):主人公。紫陽花高校1年1組。

福留結希(ふくどめゆき):紫陽花高校1年2組。

水月心寧(みずきここね):紫陽花高校1年2組。

一ノ瀬綾香(いちのせあやか):紫陽花高校1年2組。

桃瀬詩織(ももせしおり):紫陽花高校1年2組。


島崎雪緒(しまざきゆきお):千日高校1年。

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