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雨降る心の滞り  作者: Ry77


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23 金曜日と進む時間

おさらい。SM診断で終わった。

例えば、風邪などの病気になると時間の流れが、ゆっくりになってしまう感覚に襲われる時が誰でもあると思う。俺も...今もこの感覚だ。

俺はアラームを止めてベッドから起き上がり、カレンダーを見つめた。


「まだ15日か...」


7月4日から紫陽花高校に転校して、()()約2週間しか経っていない。それでも...いや...


「あいつらってあんなに距離近かったか...?」


俺にとってこの2週間は、頭の中に鮮明に残っていた。数えきれない出来事が、俺を襲った。何度も漫画で見た、恋愛のような展開が起こった。...分からない。分からないけれど...変な感情が生まれている気がした。うつ病になって穴の空いた心に、何かが少しずつ埋まっていっていた。


「恋は、病気に勝つことが出来るのか...?」


誰も居ない部屋で、俺は無意識に呟いていた。俺はハッと我に返り、目覚まし時計を見た。


「7時...15分...」


俺は目覚まし時計を確認したのち、ゆっくりと準備を始めた。




「はぁ...今日はだるいな...」


俺は歩きながらも俯いて、溜め息をついた。昨日は何もなかったのに...いや、厳密にいえばSM診断を行ったのだが、楽しかった...気がするし...原因が分からない。とても、体が重い。校門を通り抜け、靴箱に向かう為に歩く。その時だった。


「あ、おはよ...」

「おはよう...」


横から現れて挨拶をした綾香に、俺は小さく挨拶を返した。


「どうしたの...?」

「いや...なんでも...」


何かに気づいた綾香は、俯き気味に歩いている俺の前に来て、立ち止まった。綾香に道を塞がれた俺は、足を止めた。


「何かあった...?」


綾香は俺の顔を覗き込んで言った。それに対し、俺は顔を上げる。


「いや本当に何もなくて...」

「ホントに...?」

「俺...情緒不安定だからさ...今日はちょっとアレで...」


俺の言い訳のように発される曖昧な言葉に、綾香は違和感を抱いたように眉をひそめた。


「たまには休憩も大事だよ...?」

「いや...大丈夫だって」


綾香はそう言って俺の右手をそっと握った。


「...え」


俺は戸惑って何をすればいいか分からず、一歩後ずさろうとしたが、すぐに引き寄せられた。数秒間の沈黙が襲った後、綾香がようやく口を開いた。


「...サボらない?」

「...は?」


突然、綾香から発せられた言葉に、俺は唖然とした。絶対にそんなことは言わないと思っていた綾香が、言った。しかも、ハッキリと。


「リラックスは重要だよ...ほら...」

「ち、ちょっと待て...!!学校...!!」


そのまま綾香に引っ張られ、一度通った校門を通り抜ける。俺はただ引っ張られ、綾香の背中を見ながら何をするのかを、ただ見守るしかなかった。




「お...おい...本当に大丈夫なのかよ...?」

「大丈夫でしょ...多分...」


数分して、俺たちは大通りに出ていた。周りを見渡すと車が沢山通り、人が歩道で歩いている。まず、2人でサボって制服の状態でこの場に居ることがおかしい。


「たまにはリラックスも大事だよ...最近忙しかったでしょ...」

「いや全然そんなことは無くて...それより学校...」


綾香は「はぁ...」と溜め息をつくと、俺の右手を、また握った。今度はさっきの様じゃない。時々よく見る。()()()()だ。


「はっ...!?」

「ちんたらしてないで行くよ...たっつ...」

「くっ...」


綾香は俺から顔を逸らした。俺は違和感を抱きながらも、綾香に視線を移すが、ここから見える頬は薄っすらと赤みを帯びていた。

ゆっくりと流れる時間の中、この瞬間、少しだけ時が止まったような気がした。

主な登場人物

住田竜司(すみだたつじ):主人公。紫陽花高校1年1組。

福留結希(ふくどめゆき):紫陽花高校1年2組。

水月心寧(みずきここね):紫陽花高校1年2組。

一ノ瀬綾香(いちのせあやか):紫陽花高校1年2組。

桃瀬詩織(ももせしおり):紫陽花高校1年2組。


Ry77「今はほのぼのしてるかもしれないけど...」

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