2 雨降る心の孤独感
前回のおさらいといこう。俺こと竜司は配信者であり、転校先の紫陽花高校の生徒になった。しかし紫陽花高校に男子が俺しかいない...。挙げ句の果てに幼馴染との再会...。こんな度重なる奇跡があるのかよ...?あとトイレが遠いから男子用のトイレ作って。
「で、お前らは早く教室に行かなくて大丈夫なの?」
その途端に焦ったのか目を丸くしながら急いで俺を後にし、4人は急いで走っていく。
「ごめん!たっくん!昼休みで!」
「あ、おけ...」
4人が急いで教室に向かうのを見つめた後振り返り、トイレに向かって俺は歩き始める。
「多分怒られるなあれ...」
トイレを済ませた後、手を洗いハンカチを取ろうと右ポケットに手を突っ込んだ瞬間、俺は頭が激しく揺れるような感覚に陥る。
「ううっ...!」
突然のフラッシュバックに俺は多量の汗を流しながら、急いで左ポケットから薬を取り出し、そのまま口に運んで水で流す。
「はぁっ...!はぁ...!」
そのまま俺は壁に寄りかかり、そのまま座って自分を落ち着かせようとする。俺がいじめを受けていなかったらこんなことにはならなかった筈なのに...。俺がなぜこの紫陽花学校に来たのか。そして配信活動をはじめた理由...
それは2ヶ月前の4月頃からだった。俺が登校してくると笑いながら罵声を飛ばすことが当たり前になっていた。他の生徒も見て見ぬふり。そんなことが日常茶飯事だった。
「また来たよあの馬鹿w」
「早く消えろよなw」
「くさいし近づいただけでも生理的に無理だわw」
時々ほかの奴らが行っていたコソコソ話も、逆に俺に聞こえるくらいの声量で話していたり、机に落書きや上履きがなくなっていたり...。そんなことが毎日起きていた。ちなみに、俺の左手首の内側には多数の線が入っているが、そこはどうでもいい。
俺は見返そうと成績を上げた結果、逆にトリガーに触れてしまったらしく、エスカレートしていった。
「成績上げて主人公気取りかよw」
「まじおもんねぇw」
「なんで俺ばっかり...」
でも俺には友達がいる。島崎雪緒っていう奴だ。中学生時代からの俺の友達でよくゲームをしたり色んな場所に行ったりしていた。
「竜司お前このゲーム上手いな!」
「それはお前もだろ」
あの時までは楽しかった。高校では別クラスになってしまいあまり話せなかったし、転校することも言えなかったが、時々通話をして会話をしている。
「最近元気か?」
「一応1ヶ月家に籠って良くなってると思う...」
「くそ...俺がお前と一緒のクラスだったらいじめを止めれてたのに...!」
「お前は悪くないから...」
配信者になったことも、やり返すためだ。自分でやり返すんじゃなくて、インターネットという恐ろしい武器でやり返してやる。そんなことを思い出しながら、大分落ち着いた俺は左手首の線を見ながら立ち上がる。
「次は、数学か...」
平然を装いながら俺はトイレから出て教室に戻る。教室に戻った俺は椅子に座り、授業の準備をして待機し、チャイムと同時に授業が始まる。授業は俺が前にいた高校よりはレベルが少し低いが、分かりやすいのでそこは良いところだと思う。
そして昼休みになった。俺は鞄から弁当箱を取り出す。...の前に女子が話しかけてくることを予測し、弁当箱を持ちながら屋上に向かう。自意識過剰すぎるかもしれないが...。そして、屋上のドアを開けた俺は、唖然とその場に立ち尽くすことになる。
「は...?」
「たつーじゃん?」
これから自分の固定スポットになると思った場所が先手を取られていた...!しかもよりによってこいつらに...!よし、見なかったことにしよう。俺は戻ってゆっくりドアを閉めようとする。
「これは見なかったことに...」
「ストーップ!」
閉まりかけたドアに足を挟んだ心寧が俺を引っ張り出す。ってやばい弁当箱が!
「おい!?ちょっと待っ...!」
放り出された俺は、弁当箱を守りながら4人を見上げる。見上げた先には4人が俺を睨んでいる構図。これは多分この高校に来た理由を説明しないといけないだろうな...。
「「「「で?なんでこの高校に来たの?」」」」
「すべて話します...」