13 火曜日と病院
おさらい。本屋に訪れた俺は、そこでバイトをしていた綾香と遭遇した。綾香は多分、漫画オタクであり、ものすごく楽しそうに語っていた。そして、俺は本屋で漫画を買い、家に帰った。
「これ、面白いな...」
1ページめくるごとに、意外な展開などがあり、作品の中に引き込まれそうになる。ネタバレされたとはいえ、面白い。
「今度また本屋行くか...いや、主人公がかっこいいな...」
誰もいない自分の部屋で俺は、独り言をぶつぶつ言い始める。特に、主人公の『俺はお前らを幸せにする自負がある!』というセリフ。ものすごく自信家で無茶な発言だと思ってしまうが、俺は自分に自信がある人に憧れる。俺には自信という字すらも無いから。
「いまの時間は...」
俺は背伸びをしながら時計を見る。午後10時半...そろそろ寝た方がいいと思い、俺は漫画を机に置く。
「この袋は...明日鞄から出そうっと...」
俺は鞄の中身を整理した後、部屋を出る。そして俺はキッチンに向かいコップを用意する。
「竜司、明日は病院ね」
「え、いつ帰ってきてた...?」
俺は夢中で漫画を読んでいたせいか、お母さんが帰ってきたことに気づいていなかったらしい。俺は薬を口の中に含み、水で流す。
「病院...精神科?」
「そうよ」
「わかった」
「すいません、今日は病院に行くので遅刻します」
俺はスマホを耳から離して、車に乗る。俺は窓から動く風景を見るが、特に何も思わない。
「はぁ...」
溜め息が漏れてしまう。前までは、風景とか見ていると『綺麗』とか思う感情があったはずだが...あいつらといたら...。
「住田さん、次どうぞー」
「はい」
精神科に受診するのも、今回で3回目だ。最初は何もかも話すのは怖かったけれど、先生は頷いたりと最後まで俺の話を聞いてくれて、話しやすい。俺は立ち上がって診察室に向かう。その間は、お母さんは待ちだ。
「最近は何かありました?」
「最近は転校して...幼馴染4人と再会して...」
「幼馴染なら話しやすいですねー同性ですか?」
「いや、異性ですけど...僕の転校した学校が元々女子高らしくて...」
俺は転校してからこの日まで、隅から隅まで話した。
「眠りやすい薬入りますか?」
「はい。お願いします」
俺は診察室から出て、お母さんと交代。待ってる間は無心で時計を見つめていただけだったが。今の時刻は9時、早めに終わってもおそらく10時、2限目だろう。
「疲れた...」
「おはようございます」
「あら、おはよう住田君」
俺はドアを開けて挨拶をした後、教室に入る。俺は大量の視線を浴びながら、自分の机に向かう。とても恥ずかしく、俺は俯き気味になってしまう。
「どうしたんだろうね住田君」
「何かあったのかなー」
「病院とか行ってたんじゃないのかな?」
「そうなのかな?」
「はい静かにー」
コソコソ話が多くなって、教室が賑やかになってしまう。そして先生は教卓に両手を着いて、注意をする。その間に俺は鞄から教科書やノートを取り出す。というか、俺は何でこの学校生活に慣れているんだろ。男子1人なのに。しかも授業に集中できるようになってきた。
「はっ...」
レジ袋を家に置いていくのを忘れており、俺は小声で声を出してしまった。いや、別に関係ないだろう。この中にあっても怒られない...はず。
「じゃあ今日も一日お疲れ様でしたー」
「きりーつ、礼」
「「「さよならー」」」
やっと終わったと思いながら、俺は鞄を持って教室を出る。沢山の女子生徒の視線が痛い。学校生活は慣れたが...助けてほしい。この学校に雪緒呼ぼうかな...。
「あ、たつー」
「たっつだ」
「たっくんだ!」
「...」
「よし、帰るか...」
俺は疲れすぎていたせいか、声が聞こえていたにもかかわらず、素通り(実質無視)をしてしまう。そして俺は靴箱から靴を取り出そうとしていたところ...。
「聞けやコラ」
「あばば!?」
後ろから襟を掴まれてしまう。おそらく掴んだのは詩織。声からしても確定した。あと引っ張る力が強すぎる。
「ご、ごめん」
「ま、いいわよ」
「たつー、一緒に帰ろ」
「じゃあ行こー!」
「...うん」
「既視感か...」
校門から出て歩き始める俺たち。俺の横では4人が楽しく会話をしている。というか、詩織はいつからツンデレになっていたんだろう?昔は素直だったのだが...。
「最近全然授業わかんないんだけどー?」
「心寧は授業集中してないじゃん」
「消しゴムで遊んでない?」
「結希ちゃんも綾香ちゃんもうるさいなーもう!いいじゃん別に!じゃあたっくん教えて!」
「なんでだよ...」
「詩織は集中出来てるの?」
「え...まぁ、結希は集中してるし...私も...ね」
「それ、絶対出来てな...」
「うっさいわねー!」
「ごめんな」
俺も会話の輪に加わって、その場は賑やかになる。ずっとこんな時間が続けばいいと思っていた。でも現実は...上手くいかない。
「あれー?こんなとこに逃げた野郎がー女子と話しながらーww」
「きっもww」
「かっわいそーww」
会話が途切れ、同時に4人は俺を見る。俺はというと、両手と口が震え始め、額から大量の汗が地面へ落ち、何も言いだすことが出来なくなっていた。
主な登場人物
住田竜司:主人公。紫陽花高校1年1組。
福留結希:紫陽花高校1年2組。
水月心寧:紫陽花高校1年2組。
一ノ瀬綾香:紫陽花高校1年2組。
桃瀬詩織:紫陽花高校1年2組。




