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71話 次代秘書育成計画、始動

第3部:秘書研修編『未来を継ぐ者たち』START

■ セレン/ユーリ/ラッカ(未来の秘書候補たち)

セレン:冷静沈着な書記官見習い。ミカを徹底的に模倣しようとする努力家。

ユーリ:外交志望の少年。人懐っこく感情に敏感だが議論は苦手。

ラッカ:元孤児。街づくりや生活改善に興味あり。文才・発想力あり。


→この3名の中から未来の秘書が選ばれる予定。いずれもミカの思想や知識を継承していく。



セレン=アリステリア(Selen Aristeria)

肩書:魔王城・行政庁書記官見習い

年齢:16歳前後

種族:人間(王都出身)

性格:冷静沈着/理論派/完璧主義/控えめな努力家

外見:銀灰色の髪、知的な切れ長の瞳。常に記録帳と羽ペンを携帯。

特徴:

・魔王城内で実務訓練を受けていた孤高の秀才。

・ミカに心酔しており、「すべてを記録し分析する」スタイルを忠実に踏襲。

・会議記録、情報整理、報告書の草案など、ミカの書類業務を一部代行できるほどの水準。

・表情や感情表現が乏しく、周囲と距離を取っているが、内心は不器用な優しさを持つ。


ミカとの関係性:

・初対面時から強い尊敬を抱いており、自分の感情すら記録するほど忠実。

・ミカからは「才能はあるが、もっと人間らしくていい」と言われ、自分らしさを探し始める。


将来の可能性:

・論理と記録を重んじる“官僚型秘書”として完成されつつある。

・他候補にない「冷徹さと正確性」は大きな武器だが、他人と協働する「温かみ」が課題。

・将来的には「秘書長官」的立場に成長し、政策の実行監督を担う器。


ユーリ=マルケス(Yuri Marques)

肩書:外交志望の見習い交渉官/魔王城国際部研修生

年齢:17歳

種族:エルフと人間の混血

性格:社交的/感情豊か/やや感傷的/根が善良

外見:明るい金髪・快活な瞳。衣服も華やかで清潔感がある。

特徴:

・外交交渉官を志す若者で、言葉や空気を読むのが得意。

・戦争孤児だったが、魔王軍に拾われ、教育を受けた過去がある。

・笑顔と共感力でどんな種族とも打ち解けるため、周囲の緊張を和らげる場面多数。

・文章構成よりも会話重視で、記録業務よりフィールドワーク型。


ミカとの関係性:

・「こんなに人の命を考える秘書がいるなんて」と尊敬し、外交の理想を見出した。

・一方で、ミカの“非情な決断力”を理解しきれず、葛藤する場面も。


将来の可能性:

・“外交型秘書”として、各国との橋渡しや和平調整に強みを発揮。

・感情的で傷つきやすい一面もあるが、それが人を動かす力になる。

・将来的には「外交秘書官」あるいは「国際事務総長」的な立場が予想される。


ラッカ=フェルミナ(Rakka Felmina)

肩書:都市政策研究見習い/市民局アシスタント

年齢:15歳

種族:人間(下町のスラム出身)

性格:快活/独創的/好奇心旺盛/庶民派で口が悪い

外見:短く切った黒髪、日焼け肌。粗末な服を着ているが目は輝いている。

特徴:

・街の裏通りで生き抜いてきた孤児。魔王軍の職業教育制度によって発掘された才能。

・計算能力や文字は独学。だが観察眼と発想力はずば抜けており、実地で力を発揮。

・「市民の目線」で政策を見直す姿勢が、ミカの改革思想と重なり、注目される。

・言葉遣いは粗雑だが、正義感と行動力があり、市井の声を代弁できる数少ない人材。


ミカとの関係性:

・初対面では反発気味だったが、次第に「この人は本当に皆の未来を考えてる」と理解し、心酔。

・ミカに「君には君にしか見えない景色がある」と言われてから、真剣に秘書職を目指すように。


将来の可能性:

・“市民型秘書”として、都市計画・生活改善・教育改革の現場で大活躍が見込まれる。

・貴族や官僚出身者が見落とす視点を持ち、将来は「魔王軍の良心」として国政に深く関わる存在へ。


三者三様の魅力と成長のテーマ

名前強み課題成長軸

セレン精密な記録・冷静分析感情の表現と他者との連携「人間らしさ」

ユーリ社交性・共感力・外交適性非情な決断への弱さ「現実との向き合い」

ラッカ庶民感覚・発想力・行動力教養の未熟さ「知と信頼の獲得」

──魔王城・政務塔 最上階 夜の会議室──


漆黒の石材で組まれた円卓の間に、わずかな灯が落ちている。魔王アークが静かに座し、その正面には秘書長ミカが立っていた。手元の資料を静かに閉じると、ミカはまっすぐアークを見た。


ミカ「……準備は整いました。“次代秘書育成計画”、いよいよ本始動です。」


アークは軽く頷いた。瞳の奥に、ただの計画以上の重みを宿して。


アーク「君がここまで温めてきた“後継者構想”だ。どれほどの価値があるか……期待している。」


ミカ「ありがとうございます。ただの後任ではなく、私は『未来を託せる秘書』を育てたい。秘書とは、国の意志を支える“目”であり“耳”であり、そして“心”です。」


アークの視線がわずかに細くなる。


アーク「……心、か。理想論に過ぎぬとは思わんか?」


ミカ「理想論でなければ、人は道を見失います。けれど、理想だけでは、歩けない。」


アーク「つまり……“現場に立てる理想家”を育てると?」


ミカ「はい。“理念”と“実務”、その両方を担える者を。私一人では手が届かぬところも、三人なら、可能です。」


アークは黙したまま、窓の外に目をやった。そこには広大な魔王城下の街並みが、夜風に静かにきらめいている。


アーク「この国は、今はまだ脆い。多種族共栄の理想に向けて、ようやく一歩を踏み出したばかりだ。……君の言う“秘書たち”が、この城の意思を継ぐ柱となるなら──」


ミカ「私は、彼らに“光”を託す覚悟です。」


アークが微かに笑った。


アーク「……お前がそうまで言うなら。見せてみよ。“秘書の芽”とやらを。」


ミカは深く礼をとった。


ミカ「すでに、候補者は選定済みです。明朝、第一回の選抜研修を開始いたします。」


アークは再び黙し、ほんの一瞬、瞳を閉じた。


アーク「ミカ──君がもし、“失敗”したら?」


ミカの眉が一瞬だけ動いた。だが、すぐに静かに、力強く答える。


ミカ「その時は……私が“彼ら”を守ります。最後まで、私が。」


その声には、炎のような情熱と、氷のような覚悟があった。


しばしの沈黙のあと、アークは短く告げる。


アーク「ならば行け。秘書長ミカ。“未来の秘書たち”を、見せてみろ。」


ミカはうなずき、静かに会議室を後にした。


扉が閉まり、再び静寂が訪れた部屋に、アークの独白が低く落ちる。


アーク「……後継とは、いつだって“継がれぬ意志”の証明だ。──それでも君は、継ごうとするのか、ミカ。」


そして誰もいない円卓の上に、ミカの置いていった“研修計画書”が残されていた。


そこには、手書きの文字が一行──


『志を継ぐ者たちへ。心を忘れず、理想を見失うな。』


夜の魔王城に、新たな胎動が響き始めていた。


──次代秘書育成計画、始動。

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