60話 陰謀の黒幕 ―姿を現す影の支配者―
魔導核の記録を調査し終えたミカとアークが帰還すると、城内に不穏な空気が漂っていた。
「ミカ、緊急の報告だ。複数の王国からスパイの動きが確認された」
側近の一人が慌ただしく報告書を差し出す。
「奴らは我々の動きを逐一監視している。しかも情報は断片的で、全貌が掴めない」
「つまり、何者かが背後で暗躍しているってことね」
アークは城の会議室で、最も信頼する幹部たちを集めた。
「奴らの狙いは何か?我々の改革を潰し、魔王軍を弱体化させることに違いない」
「しかし、それだけではない。我々の知る限り、この陰謀はもっと大きな力が動いている」
ミカが口を開く。
「古代の神々の遺産を狙う闇の組織……“黒影の結社”の仕業の可能性があります」
場がざわめく。
「黒影の結社……それはかつて神の戦争の裏で暗躍した秘密結社。復活の兆しがあると聞いている」
「彼らは歴史の真実を奪い、世界を混乱に陥れようとしている」
「我々の持つ魔導核の秘密も、彼らにとっては至宝だ」
「もし結社が魔導核を手に入れれば、全世界を支配する力を得ることになる」
アークは厳しい目で仲間たちを見渡す。
「ここで手を緩めるわけにはいかない。秘書として、ミカ、君には特に慎重に動いてほしい」
「はい、魔王さま。私も命を懸けてこの陰謀を暴きます」
ミカは密かに調査を開始し、敵の動きを探るため情報網を駆使する。
「ここまで緻密な工作は、内部に協力者がいる可能性が高いわ」
城の闇に潜む罠をかいくぐりながら、ミカはある日、思わぬ人物と接触する。
「ミカ、君に話がある」
その影は、かつての盟友――だが今は裏切り者と噂される人物だった。
「私たちの目的は同じだ。黒影の結社を壊滅させること」
「だが、結社は深く根を張っている。私たちは互いに信頼し合わねばならない」
ミカは迷いながらも決意を固める。
「私は魔王軍の秘書。私の使命は魔王さまと世界の平和を守ること」
「この闇の中でこそ、光を見出すわ」
彼女の決意は固く、物語は新たな局面へと動き出す――。




