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59話 “神の戦争”の記録 ―過去と未来をつなぐ旅―

空中都市「レクス=アトラ」で神の遺産の核心に触れたミカとアークは、次なる任務へ向かう準備を始めていた。

魔導核の輝きは徐々に落ち着き、神の歴史が詰まった記録の再生装置が起動した。


「これは……“神の戦争”の記録映像?」

ミカの声が静かな空間に響く。


《過去の戦いを理解しなければ、未来は語れない》


映像には激しい戦闘、神と魔族の衝突、そして分断された世界の姿が映し出されていた。


「どうやってこの記録の世界に入るんだ?」アークが尋ねる。


「この装置は時間と空間を超える魔法を搭載しているの。だから、実際にその時代の記憶や映像を“体験”できる」


「つまり、過去の世界に“入る”ってことか……」


ミカは静かに頷き、装置に手をかざす。


「いくわよ、アーク」


二人の視界が白く染まり、次の瞬間――彼らは千年前の神々の戦争の只中にいた。


荒れ狂う戦場に降り立った二人。神々の力が炸裂し、空は血の色に染まっている。


「これは……凄まじい」


アークが呟くと、近くで人間の兵士が魔族と戦っている姿が見えた。


「見て、あの人間の中に……」


ミカの目は、一人の若き英雄に留まった。


「彼がこの戦争の“鍵”となった人物……伝説の勇者、アルベルト・ルーンだわ」


映像は彼の活躍を追い、戦争の背景、裏にある神々の思惑を明らかにしていく。


《神々は自らの力を競い合い、世界を二分した》


「でも、彼は単なる戦士じゃなかった……」


ミカが小声で語る。


「彼の使命は、ただ戦うことじゃなく、争いを終わらせることだった」


「平和への道を模索した勇者……だけど、彼の選択が後に悲劇を生んだんだな」


現代に戻る二人。映像の記録が終わり、ミカは深く息をつく。


「私たちは歴史を知り、同じ過ちを繰り返さないために動かなければならない」


「だが、この知識は強力な武器にもなる。悪用されれば、新たな戦争の火種にもなりかねない」


「だからこそ、私たちが守るべきものを見失わないことが大切だ」


アークはミカの手を取り、力強く握りしめた。


「お前がいてくれてよかった。共に未来を切り拓こう」


ミカは笑みを浮かべながら頷いた。


「はい、魔王さま。私たちの戦いは、まだ終わらない――」

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