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55話 世界の鍵と、眠れる神殿

― 中立都市ラドメリア、封印の地で明かされる“神々の本意” ―


ミカとアークは、魔族と人間、双方の勢力が出入りする「中立都市ラドメリア」に到着した。

ここは商業・文化・信仰の中心地であり、同時に古代の神殿を抱える聖域でもあった。


「これが……“神々の鍵”が眠る都市……」


ミカが見上げたその先には、巨大な白亜の神殿。

柱の一つひとつに古代語が刻まれ、風がまるで祈るように通り抜けていく。


「この神殿の奥に、世界を“再構築”する鍵があるという」


アークの声に、ミカの背筋が凍る。


二人は神殿の管理者――聖職者フェリアと出会う。


「あなた方が来ることは、すでに予言されていました」


金髪の女性フェリアは、静かに言った。


「ですが、封印の間に入るには“意思”と“過去”を試されることになります。鍵は“選ばれた者”しか受け取れません」


「選ばれた者、ですか……」


ミカの胸に、なぜか痛みが走る。


「……いえ、違う。“選ぶのは私自身”です」


神殿奥の封印の間に入ったミカ。

そこは、彼女自身の記憶と恐怖が“幻”となって現れる空間だった。


――「お前は異世界人だ」「この世界を壊す運命だ」「裏切られるぞ」


次々に浮かぶ不安と疑念。

しかし、ミカは拳を握る。


「違う! 私はこの世界に“自分の意志”で関わると決めたの。たとえ誰に否定されても!」


その叫びとともに、空間が砕ける。

幻影は消え、彼女の前に浮かび上がったのは――一振りの鍵剣だった。


鍵剣と共に、封印されていた“神々の記録”が開かれる。

そこにはこう記されていた。


「この世界は、幾度も繰り返されてきた。

神々は破壊と再生の循環を作り、その中で“意志を持つ者”が選ばれる。

真に世界を変える者は、外から来る者――つまり、転生者である」


「……私が……?」


ミカは理解した。

自分が“転生者”として召喚されたのは偶然ではなく、神の設計だった。


だが、彼女の眼差しには迷いはなかった。


「選ばれたとしても、私は誰かの“道具”にはならない。私自身の意志で、この世界と向き合う!」


「ミカ……その鍵剣こそ、世界を変える力の象徴。だが力の使い方を間違えれば……神々すら敵に回すぞ」


「それでも私は、あなたと一緒に世界を変えたい」


その言葉に、アークは静かに微笑んだ。


「では、行こう。次は――“世界会議”だ」


鍵剣がミカの背に浮かび、世界が再び動き始める。

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