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46話 招集された王たちと緊張の開幕

「まもなく、“世界会議”が始まります」


ミカが手帳を見つめながら、魔王アークに報告する。

場所は、空中に浮かぶ中立都市セリオン。この世界の中心にして、神代の遺産が眠る都市だ。


その空中都市の中央広場に、異種族の王や使節たちが続々と集まり始めていた。


「ようやくここまで来たな」

アークがマントを翻して立ち上がる。


魔王として、ついに国際舞台に立つ瞬間が迫っていた。


「おお、魔王アーク殿か!相変わらず威圧感があるのう」


ドワーフ鉱山国家アングラム代表・鍛冶王バルグロムが笑いながら近づいてきた。

その後ろには、エルフの賢者ラシェリル、獣人族の女王ライナ、天翔民族の銀翼騎士団長アウリスなど、

この世界の主要種族の代表が次々と登場する。


「これは……まるでファンタジー大戦の前触れだな」

ミカがごくりと喉を鳴らす。


「だが違う。これは“希望”を選ぶ会議だ」

アークの目が鋭く光る。


いざ議場に入ると、空気が一変した。

各国の代表たちは、アークとその随行者に対して明らかに距離を取っていた。


「やはり“魔族”というだけで、この反応か……」

ミカが苦笑する。


「彼らにとって私は“災厄”の象徴だ。仕方あるまい」


「……でも、私たちは何もしていない。むしろ平和を望んでるのに」


「ならば、それを証明するだけのことだ」

アークの声に迷いはなかった。


その時、会場の扉が再び開いた。


「我ら人間王国リュミエールの使節団、到着せり!」


白銀の甲冑をまとった騎士たちが整列し、最後に現れたのは――


「……勇者カイン!?」


ミカの声が震える。そこには、人間側の英雄として前章で別れた勇者・カインの姿があった。


「よう、ミカ。まさかまたこうして会うとはな」


「あなたが使節団の代表……?」


「正確には“監視者”ってとこだな。魔王が何を語るのか、人間代表として見届けるために来た」


アークとカインが互いに視線を交わす。火花が散るような緊張。


「歓迎しよう、勇者。君の判断が、この場の“針”を左右するのだろうな」


会議が始まった。


議題は、「異種族間の領土調整」「技術共有」「聖域の管理」「魔力資源の配分」など多岐にわたる。

しかしその中に、明らかに不穏な文言があった。


「……“魔王国への制裁案”?」


ミカが思わず立ち上がる。


「ふむ、我々としても、魔族の力が暴走した過去がある以上、予防措置は必要かと――」


議場の一角、人間王国の宰相・オルトランが冷ややかに語る。


その表情は、あきらかに何かを企んでいる者の顔だった。

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