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45話 魔王の正体と“選ばれし存在”

「貴様の狙いは……何だ?」

アークが静かに問いかけた。


「狙いなど無い。私はただ、世界の“可能性”を見てみたくなっただけだ」

ノルダの声は冷たく、それでいて底知れぬ深さを持っていた。


灰眼がミカに向けられ、冷たくも笑みを浮かべる。


「“神の鍵”――君こそ、この世界を揺るがす“可能性の触媒”だ。破壊か、救済か。

選ぶのは君だ」


「私は……私の意志で、この世界を守りたいだけ!」


「その言葉が真であるか――見せてみよ」


ノルダが手を掲げると、空間が歪み、幻影の軍勢が押し寄せる。


「後ろは任せるぞ、秘書!」

アークが片腕を魔剣に変じ、軍勢へ斬り込む。


「はい、魔王様!」

ミカが“神の鍵”を発動し、浄化の光で影を押し戻す。


背中を預け合う二人。

だが、その戦いの中で――ミカの脳裏に、ふと“声”が響く。


《君はまだ、知っていない。魔王とは何かを》


幻影が一掃された瞬間、ノルダが口を開く。


「さて、“魔王”とは何か。君たちは本当に知っているのか?」


「それは……」

ミカが息を呑む。


ノルダの言葉が続く。


「この世界において“魔王”とは、力の象徴ではない。

世界を『調律する者』――“神に最も近い意志”を持つ存在のことだ」


アークが沈黙したまま、ミカの方を見た。


「私が“魔王”の座にあるのは、ただ一つの理由――

この世界の“均衡”を保つ存在として、選ばれたからだ」


「選ばれた……?」


「私は元々、この世界の創造神の“影”だった」

アークが静かに語り出す。


「だが、千年前の大戦で“神”そのものが消滅し、代わりに『均衡を保つ者』として私が残された。

それが“魔王”という名だったんだ」


「……そんな、じゃああなたは……神の代理人?」


「そうも言えるし、違うとも言える。だが一つ確かなのは――」


アークはミカを見つめ、はっきりと言った。


「君が来てから、私は“自分の意志”で動けるようになった。

君がいたから、私は“魔王”ではなく、“アーク”でいられるようになったんだ」


ノルダが静かに頷く。


「……ならば、君たちに託そう。この世界の未来を」


ノルダの体が淡く光り、七賢者の一人としての“力”が結晶化してミカに渡された。


《光の遺産・ルミナリエ》


「これで……?」


「残りの遺産を集めよ。全てを揃えたとき、神の声が再びこの世界に届くだろう。

その時、選ぶのだ。破壊か、再生か――」


ノルダの姿が、静かに霧のように消えていく。


静寂の中、ミカは小さく息をついた。


「私……“選ばれし存在”なんて、重いけど……でも、逃げない。

魔王様と一緒に、私の手でこの世界を守る」


アークが笑みを浮かべる。


「ああ、共に行こう。秘書」


二人は肩を並べて、封印の間を後にした。

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