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43話 影の組織と封じられた禁術

夜。魔王城の書斎にて、ミカは“神の鍵”とされる蒼い結晶を前に思案していた。


そこへ――ノックもなく、扉がゆっくりと開いた。


「誰……?」


月明かりに照らされ現れたのは、黒いローブをまとった女。顔の大半は影に隠れているが、その声に聞き覚えがあった。


「懐かしいな、ミカ。“昔”を思い出すか?」


「あなたは……まさか!」


その女は、ミカがこの世界へ来る前――

“夢”の中で何度も現れた謎の人物だった。


「“神の鍵”を持つ者は、必ず狙われる。あなたが目覚めた時から、その運命は始まっていたのよ」


「あなたは知らないでしょうけど、世界の裏には“影の組織”が存在する」


女はそう言って一冊の古びた書を床に投げ出した。そこには“禁術目録”の文字が。


「彼らは千年前の大戦後、“神すら殺す魔術”を封印した。そして、今またそれを復活させようとしているの」


「なぜそんなことを……?」


「均衡を壊し、世界を再構築するためよ。“選ばれし者”が正しい未来を選ばぬようにね」


「……私が鍵だから?」


「ええ。だから、あなたを“抹消”しようとしている。気をつけて、ミカ。“味方の中にも敵がいる”わ」


「アーク……この世界には、“真の支配者”がいるの?」


ミカの問いに、アークは珍しく言葉を濁した。


「……本来なら、お前には伝えるべきじゃない話だ。だが、ここまで来た以上――」


彼は魔王軍の最奥部、誰も入れない“封印の間”へミカを案内する。


「ここには、かつて禁術を使い、世界を焼いた“七賢者”の記録が封じられている。

……その一人が、今もこの大陸に潜んでいる」


「なぜ、今まで黙ってたの?」


「お前に希望を託すためだ。知識は時に、魂を腐らせる」


アークの声は静かだったが、そこには覚悟の色があった。


その夜。参謀長ベルフェは密かに誰かと通信していた。


「……ミカは“神の鍵”を手に入れた。だがまだ覚醒はしていない。今が“時”だ」


通信相手の姿は映らない。ただ、低く歪んだ声が答えた。


「“神殺し”の儀式を準備しろ。鍵の器が自ら歩いてきたなら、我々の勝ちだ」


その言葉に、ベルフェは笑みを浮かべる。


「裏切り? 違う。俺はただ、勝つ側に賭けてるだけだ」


その翌朝。ミカは蒼い結晶を見つめながら、決意を口にした。


「敵が誰かもわからない。でも、誰かがこの世界を“壊そう”としているなら……

私は、それを止める側に立ちたい」


アークが微笑む。


「なら、俺もお前の“剣”となろう」


そのとき、城の警報が鳴り響いた。


「地下封印室、侵入反応あり!」


「……始まったわね」


ミカは立ち上がり、仲間たちを見渡す。


「行こう。“鍵”を守る戦いが、ここから始まる」

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