表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/49

35話 勇者の選択と別れ

魔王城・中庭。朝焼けの光が静かに石畳を照らす。

勇者レイは旅支度を整え、馬に手綱をかけていた。


「……行くのか?」


背後からかけられたミカ(=主人公)の声に、レイは微笑んだ。


「平和を望むなら、俺の手で“争いの火種”を消さなきゃならない。会議の場は、お前たちに託す」


「危険な旅になりますよ。あなたが人間側から裏切り者と見なされる可能性もある」


「それでも、俺がやらなきゃ。もう剣を振るうだけの“勇者”は終わった。今の俺は、“対話の使者”だ」


アークは中庭へと現れ、レイに向かってゆっくりと歩み寄る。


「“勇者”よ――いや、“対話者”と呼ぶべきか」


「お前が俺をそう呼ぶ日が来るとはな。……世の中、わからないもんだ」


アークは手を差し出した。

レイは一瞬目を見開き、そして力強く握手を交わす。


「世界会議は、必ず開く」


「その前に、お前が生きて戻ってこい。“和平”の誓いを果たすためにな」


レイが馬に乗る直前、ミカが一歩近づく。


「勇者レイ……いえ、レイさん。私からもひとつお願いがあります」


「なんだ?」


「……どうか、自分を犠牲にしないでください」


レイはしばし目を伏せ、そして静かに頷いた。


「自分を“救える”のは、自分だけだもんな。ありがとう、秘書さん」


蹄の音が、朝の静寂を破り、だんだん遠ざかっていく。

魔王城の塔の上から、ミカはその背を見送っていた。


アークが隣に現れ、ぽつりと呟く。


「――あの男の歩く先に、嵐があるやもしれぬな」


「……それでも、レイさんは進むでしょう。信じるもののために」


「“信じる”か……。それが、最も難しいことだ」


その日の夜。

ミカは執務室で、世界会議の草案に向かっていた。

勇者レイの行動が、魔族と人間の未来にどう影響を与えるか――不安もある。


それでも、筆を止めることはない。


「この世界で“希望”をつなげるのが、私の使命だから」


その目は真っ直ぐに、未来を見据えていた。



ここでおさらい。


魔王と主人公の名前

◆魔王の名前

名称:説明

・アルグレイド=ヴァルファング 初期の名。かつて魔王として恐れられていた時代の名前。

・ルシファリウス 特定の時代や場面での異名。

宗教的・神話的な称号として伝説化。 他国や過去の文献ではこの名で登場。

・アーク=ヴァルツ 現在の正式名・本名。

内政改革・多種族共栄を掲げる現代の“理想の魔王”。 本編の主要名称


➡ 「アルグレイド=ヴァルファング」や「ルシファリウス」は、アーク=ヴァルツ呼称が異なるだけの同一人物。



主人公の秘書名

名称:説明

悠真:現代日本時代の名前及び転生後、初期の名。転生後もそのまま名乗る

ミカ:魔王から授かった名。内面も肉体も性格も精神も完全女性化

悠真 → ミカへ

「悠真」は現代日本時代の名前で、異世界転生後に初期段階では「悠真」を名乗るもこの章の途中から「ミカ」と改名。

尚、「ミカ」は魔王から授かった名。それに伴い内面も肉体も性格も精神も完全女性化する。


因みに、魔王含め配下全員からヒャッホーの声が・・・元々の悠真の性格が母性的であったこともあり女性化は自然に受け入れられる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ