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6 未熟なストーカー女の子

 私は気づいているとバレないようにできるだけつけてきている人を見ないようにしながらもさっきまでと同じように街を見ながら歩き続けた。


「しつこいなぁ」


 まくために少し早歩きをしたり、曲がり角を多用したりしたのだが、その人がまだついてきているようだった。


 私はもう我慢できなくなり、裏通りに入った。


 そして、その相手から私が見えなくなった瞬間私はジャンプして壁をよじ登った。


 そして、そのまま息を殺して待っていると少し慌てた様子で私と同じくらいの歳の見た目の女の子が慌てて裏通りに入ってきた。


 その子はパッと見は普通の冒険者のような格好をしている顔や輪郭がはっきりと捉えられないような服装をしていた。


 私はその女の子の後ろに静かに降りて、足を払い転ばせ上に乗って拘束した。


「こんにちは」


 私は相手の顔を覗き込んでそう挨拶した。


 その女の子はよくみるとかわいい見た目をしていた。


 かわいいなぁなんて思いながら相手からの返事を期待して待っていたのだが、相手は口を閉じたまま動かすだけで返事をしない。


 私はまさかと思って、その女の子の口を開いて手を突っ込んだ。


 手になにか物が当たったのでそれを取り出すとそれは薬のような物だった。


「もう!だめだよこんなものを使ったら」


 多分、捕まったからこの薬を飲んで自殺でもしようと考えてたのだろう。


「くっ!殺せ!」


「そんなオークに捕まった女エルフみたいなことを言われてもダメです!」


「そんなんじゃない!」


 その様子を想像したのか、顔を真っ赤にして否定する女の子。うん、かわいい!


「それにしてもなんで私のことをつけてきたの?ストーカー?」


「……」


「答えないとこうだよ!」


 そう言って、女の子の上で乗ったまま軽くジャンプしると、女の子は私が飛ぶのと合わせて呻き声をあげていた。


 なんかこれ私の体重が重いみたいで嫌だなぁ。

 まぁ、自分の体重ではないけど…


「それでストーカーなの?」


「違います…」


「私を捕まえて奴隷にしようとしていたの?」


「そ、そんなことはしません!」


「じゃあ、誰に依頼されたの?」


「い、言えません…」


「はぁ、それはそうだよね。」


 涙を目に溜めながら一つ一つ質問に答えていく女の子を見てこれはこのまま聞いていても埒があかないだろうなと思った。


 それにしてもストーカーでも拉致でもないならなんのためにこんなことをしたんだろう?


「でも、命は大切にしないとだめだよ?」


 私は一旦その女の子から降りて、優しくそういうと、女の子は

「ぐすん、うわぁーん!」

 と泣き始めた。


「どうしよう、泣いちゃった。えっーと、えらい、頑張ったね。うん、大丈夫だよ」


 ここは裏通りだからこの状況を見られることはないのだが、小さい子をあやしたことなんて今までなかったから、かなり焦った。


 抱きしめたり、頭を撫でたりすること20分やっとその女の子は泣き止んだ。


「恥ずかしい姿を見せましたが、次は負けません」


「あ、次あるんだね」


「あっ…」


 涙を拭いながら言う女の子に私がそう返すと女の子は固まった。


 そして、焦ったように裏通りの奥の方に走って逃げて行った。


「じゃあ、またねー!」


 私はわかりやすいなぁと思いながら、手を振りそう言った。



「じゃ、今度は私がつける番だね!」


 あの女の子が見えなくなって、私はそう呟いた。


 こんな面白そうなとこに絡まれたのだ。


 関わらないわけがない。


 私は走り出し、足音、気配様々なものを使い、その女の子の後をバレないようにつけた。


 女の子は相当速かったが、足音はするし、通った後のようなものも残っていた。


「まだ慣れてなかったのかな?」


 少しの間つけていると、女の子は裏通りのある居酒屋みたいな店の前で立ち止まった。


 そしてそのドアを5回叩いてしばらくすると、ドアを開けて入って行った。


「面白そう!」


 なんかこういう秘密基地みたいなものはいつになっても心が躍るだろう。


 私もドアの前に立ち、ドアを5回女の子と同じリズムで叩いた。


 すると、中から

「入っていいぞ」

 という男の声が聞こえたので、私はワクワクしながらそのドアを開けたのだった。

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