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5 初めての街と奴隷

 そんな感じでいわゆるゴブリンと呼ばれるような魔物やオオカミを倒しながら進んでいった。


 何日間か歩き続けたある日、わたしはいつも通りゴブリンを倒していると、遠くから話し声が聞こえて来た。


 わたしは咄嗟に木の上に隠れ、その人たちを観察した。


「よし今日も20匹を目標に頑張るぞ!」


「ユートはしゃぎすぎ。もう少し落ち着いてくれない?」


「いいじゃんかよ。だって新しい武器買ったばっかなんだぞ」


「はしゃぐのは結構だが、警戒を怠るのはやめてくれ」


「そうやって調子に乗って、先に怪我をするのはユートでしょ」


「ユートの治療費のせいでどれだけ武器を新調するのが遅くなったか」


「わ、悪かったよ」


 そんな感じで話しながら森の中を突き進んでいく声の主は15歳くらいの男女で作られた3人グループだった。


 ユートと呼ばれる人は剣使いでユートのことを注意したのが魔法使いだ。そして、その2人を見ながら冷静に指摘しているのが弓使いみたいだ。

 多分、みんなの性格からしても非常にバランスの取れたチームであることは間違いないだろう。


 それにしても、初心者っぽい冒険者がここにいるってことはもう街がかなり近いのでは!!


 そう思ったわたしはその3人グループなど気にせず、その人たちが来た方向へと突き進んでいった。


 その3人が既に討伐されてゴブリンを見て、何もせずにお金が手に入ったと喜んでいたことは全く気づかなかった。


「やったーー!!もうすぐだ!」


 わたしはウキウキで木と木を静かに飛び越え進んでいく。


 森の中で他にもいくつかグループを見つけたが特に興味もわかなかったので、街につきたい一心で進み続けた結果、森を抜けることができた。


「ついに森を抜けたよ!」


 地面はかなり整っており、辺りをキョロキョロしてみると、馬車が通っていた後と、城壁で囲まれている街みたいなものを見つけた。


「あ、あれは街かな?うぅん、わからないからとりあえず全力ダッシュ!」


 整った道の上を全力で走っていく。途中に人はいなかったものの街に着くとその街の明るい雰囲気を感じることができた。


 その街への入り口には門があり、その前に警備員みたいな人が立っていた。


 そして、怪しそうな人が通ろうとするたびに声をかけては尋問している。


 わたしはもう一度自分の姿を思い出してみる。


 12歳くらいの女の子で黒いローブをかぶっている。


「わたし、すごく怪しくない?」


 わたしの格好は側から見たらすごく怪しいことに気づき、あたふたしだした。


「こうなったら強行突破するしかない!」


 私はしばらくの間、少し遠くから門の様子を眺めていた。


 すると、血まみれで足がフラフラしているおじいちゃんらしき人が門へと向かっていた。


 私が見てもわかる。

 これは明らかに怪しい!


 きっとこれだけ怪しい見た目をしていたら、警備員に止められるだろう。

 そう思い私はできるだけ気配を消して、ゆっくりとおじいちゃんの後ろをついて行った。


 そして、おじいちゃんが門を潜ろうとした時案の定警備員に呼び止められていた。


 おじいちゃんは何か訴えるように叫んでいるが無慈悲にも警備員3人くらいで囲んで奥に連れて行った。


 その警備員がいなくなった瞬間、私は全力で走り街の中へと侵入することができた。


「やったー!侵入成功!」


 私は周りに聞こえないような声で叫びながらガッツポーズをした。


 別に普通に入っても良かったのだが、せっかくの初めての街が尋問からのスタートだと気分が乗らない。


 それより侵入の方がこれぞ異世界という気がして心が躍るだろう。


「それにしてもこの街活気付いてるなぁ」


 外から見てもわかったようにやっぱり中は賑わっていた。


「クンクン、この匂いは!」


 露店もいくつか出ていて、その店からいい匂いが漂ってくる。


 近づいてこっそり買っている人をのぞいてみるとそれはレッサーウルフの串刺しらしく、値段は大銅貨5枚だ。


 ちなみにこの世界は銅貨→大銅貨→銀貨→大銀貨→金貨→大金貨→白金貨の順で価値が高くなり、日本円で言えば銅貨が10円でそれから桁が一つずつ大きくなっていく感じだ。


「美味しそう」


 私はジュルリとよだれを垂らすもお金は持ち合わせていない。


 肩を落としながらも目線は露店から放すことはなく歩いて行った。


 街を出歩く人は冒険者のような人とかなり高級そうな格好をした人がたくさんいたがその後ろにはどの人にも大体首輪がついていて貧相な格好をしている奴隷のような人がいた。


 その奴隷のような人の中にはいわゆるケモ耳がついている獣人や耳が長いエルフのような異世界でしか見れない種族がいて私は心が躍った。


「ケモ耳かわいいなぁ。もふもふしたいなぁ」


 ケモ耳をもふもふすることは私の異世界でしたいことの一つでもあるのだ。


「そうだ!これだけ奴隷がいるなら、奴隷が売っている場所もあるはず!」


 この世界では仲間とパーティを作るために強くてかわいい、そして色々な種族の仲間を作ろうと思っている。


 それも見つけるのであれば、奴隷を買うのが物語の鉄板というやつである。


「あ、でも奴隷ってどの物語でも基本的に認められてないことが多かったような?これは長い戦いになるよ!」


 そう息巻いていたのだが、奴隷売り場はあっけなく見つかった。


 この街だけでも10ヶ所近くあるようだった。


 なんなら張り紙がたくさんしてあり、奴隷推奨しているようだった。


「奴隷が合法って珍しいなぁ」


 そんなことを呟きながら、奴隷売り場に入ると小さい男の子から女の子まで、人間から獣人まで様々な種族の子供がまるで日本でいうところのペットショップかのように置かれていた。


「誰かいい子いないかなぁ」


 そう言って一つ一つ見ていくのだが、その奴隷たちは誰1人生気のある子がいなかった。


 これから、冒険していくのにやっぱり仲間にしたいのはどんな状況でも向上心がある子が一番だ。


 でも、この中にはそんな子はいないみたいだし、感覚頼りなのだがこの中に強い子は1人も居なそうだった。


「うぅん、ここはハズレかな?」


 その後も結局、全部の奴隷売り場を探したのだが、めぼしい人は見つからなかった。


「まぁ、そうだよね。簡単に見つかるはずがないかぁ」


 そんなことを考えながら、どうしようかと街を見ながらウロウロしていると、後ろから誰かに連れられているような感じがした。


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