プレイヤーとの出会い
ギルドに行ったし、次は何をしようか。
これ以上やることはあるのだろうか。
「そういや、武器とか装備品かえないのか?」
「あー、じゃ買いにいこうか」
「むむむ、目立ってる気がするから元に戻ろっと…」
そう言ってミルは元の小さいサイズに戻った。
小さくなったほうが目立つと思うのだが、可愛いので言わないでおこう。
リアは街に来たことがないようで、きょろきょろと周りを見ている。
武器屋はギルドの近くにあり、おそらくはNPCがやっている店だろう。
店に入ると、
「いらっしゃい…」
と声が聞こえた。
声が小さい…?
店主さんを見て、私は固まった。
何故かって?実は、NPCは頭の上に小さい青い丸の光があり、プレイヤーは小さい緑の丸い光があるのだ。
だが、その店主の上には、小さい緑の光があったのだ。
つまりプレイヤーということ。
…すごいな。まだリリースされて少ししか時間が経っていないのに、自分の店を持ってるなんて。
どうやって手に入れたのだろうか。
「あっ、プレイヤーさんなんだ…えっと、よろしく…私はフィア、あなた達は…?」
「私はリリ。よろしくね」
「ミルキーウェイなの!ミルって呼んで欲しいの!」
「エンペリア。リアって呼べ。よろしく」
店主さん、いや、フィアが自分の名前を口にしてから、私達は口々に自分の名前を言っていく。
フィアは把握出来たようで、私達の顔を見てゆっくりと頷いた。
「えっと…武器とか、買いに来たんだよね…?あと…あの、フレンドになってくれると嬉しい…な」
「うん、いいよ。申請するね。そうそう、買いに来たんだ」
フィアのほうを10秒ほど見て、頭の中で『フレンドになりたい』と思い浮かべる。
すると、フレンド申請画面が出てくる。
私は迷わず申請画面をタップする。
フィアも気付いてくれたようで、宙をタップしていた。
すると、フィアとフレンドになりました。という機械の声が頭の中に響いた。
「やった…!えっと、どんなのが欲しいの…?」
「短剣と、剣と、あと爪?かな」
「わかった…爪って、珍しいね…」
「やっぱそうなのか?戦ってたやつら、短剣とか剣はいたけど、あたしみたいに爪で戦ってるやつはいなかったんだよなー」
「そうなんだ…リリちゃん、予算はどのくらい…?私、とってこようと思うんだけど、どのくらいかなって…」
予算か…どうしようか。
あのギルドのおっちゃんからもらった3000リネと、素材を売ったお金で12000リネ。合わせて15000リネ。
一応5000リネは残しとこう。それで残ったのは10000リネか。
「予算は10000リネだけど、ここって防具とかもあったりする?」
「あるけど…今はどこも、そんなに防御力が高くなる装備はないんだよね…最大でも、10くらいしか、まだ増えないから…そんなにおすすめは出来ない…」
「じゃあ、武器だけお願いしようかな」
「ん…わかった、ちょっと待ってて…」
そう言うと、フィアは店の奥に入っていった。
さっきから肩に乗っているミルと、きちんと待つことが出来ているリアを見る。
2人とも目がきらきらしている。
…よくよく考えたら私、リアに対してきちんと待つことが出来ているって、失礼なのでは?
まぁいいだろう。脳内だけだからリアにバレてはいなさそうだ。
すると、フィアが帰ってきた。
「お待たせ…これなんかどうかな…?」
そう言ってフィアが見せてくれたのは、刀身が若干緑がかっている短剣と、全体的に夜空みたいな色の剣、そして、黒と白が入り交じった爪だった。
「「おー!」」
ミルとリアはさらに目を輝かせた。
かくいう私もわくわくしている。
「これでお願い」
「わかった…お買い上げ、ありがとうございます…えっと、短剣が2500リネで、剣が2800リネ…爪が3500リネだから…8800リネだね」
予算を超過しなかったのはよかった。
私は言われたとおりに8800リネを支払った。
「じゃあ、また来てね…それか、迷惑じゃなければ…今度一緒に冒険しよう…」
「うん、今度声かけるね。それじゃ、また!」
私達は店を出た。
そういえば、性能なにも考えずに買ったな…
「性能、見てみようか。フィアが売ってるものだし、いいものだとは思うけど…」
「うん、早くみよう!」
▽癒しの短剣
攻撃力+25 防御力+15
癒しの力を込めた短剣。
▽夜空の剣
攻撃力+35 HP+5
星々の輝きを込めた剣。
▽黒白の爪
攻撃力+30 素早さ+10
漆黒の闇と純白の光を宿らせた爪。
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