仲間がさらに増えた!やったね!
……よしっ!成功した!
これで仕切り直しだね!
───だからといって、何が起きるのかは分からないけどね。
「がんばれがんばれリーリ!」
リアの応援の声が聞こえてくる。
応援されるのは嬉しいね。
…どうしようかなぁ。
解決策が見つけられない…このままじゃジリ貧…いや、どうだろう?
鬼のHPの割合は…4割は削れてる!!
でも、あれで4割かぁ。けど、繰り返せば勝てるってことだね!
ちょっと希望が見えてきた。
ミルたちは大丈夫かな…?
「避けられる…!?軌道を読まれてるのかな…?」
「もー!ミルちゃんは考え無しに突っ込まないでー!?僕が防御するの大変、なんだから!」
「あぅぅ…だって硬いんだもん!ごり押せばいけるかなって…」
「ちょちょちょ!攻撃来てるって!気抜いたら危ないんだよー!!」
…大変そう…
鬼は攻撃に夢中でこっちは見向きもされてない…
なにか、なにかないかな…突破策…
スキル欄を見る。
悪意継承でこんな鬼になった…悪意…悪意?
悪意は気持ちだよね?
…気持ち?
───そうか!これなら…!
「ミル!ラビ!ちょっと退いて!」
「えっ?わかったけど…なにか策があるの?」
「ミルちゃんミルちゃん。ここはリリを信じよう?多分策があるんじゃないかな?」
「なるほどー!よくわかんないの!」
「ええっ!?と、とりあえず早く退くよ!」
ラビがミルを押して退かせる。
確かに今はミル小さいし…ラビでもどかせられるよね。
入れ替わりになるように鬼の前に立つ。
深く息を吸い込み、スキル名を呟く。
「【気持ち喪失】これでどうだ!」
これでなにか変わったらいいんだけど…
心配は無用だった。
さっきまでの鬼──罪悪感鬼とは違い、元の鬼に戻った。
《罪悪感鬼は鬼に戻りました。》
《【悪意継承】発動中に与えたダメージを鬼に全て与えられました。》
《鬼に215236のダメージ!鬼に勝利!》
《罪悪感鬼への変化を確認……特殊条件達成。経験値の計算方法を変えます》
《与えたダメージによって経験値が変わります。215236の経験値を獲得しました!》
《ふるぼっこ!バトルロイヤル☆の完全達成を確認。過去に訪れたプレイヤーの数…0人。よってプレイヤー初討伐を確認。特典の選択肢を出します》
《鬼のレアドロップアイテム加算、経験値加算、スキルの獲得のどれかから選んでください。───職業専用の特典を新たに表記します。鬼のテイム。どれか1つお選びください》
この声はシステムかなぁ。
…って、えっ!?経験値えぐいよ!!
あっ、ここやっぱりまだ誰も来たことないんだね!?
でもそっかぁ。【悪意継承】発動中に与えたダメージで解除すると、その分のダメージが一気に来るんだ…。
使われたらやだなぁ。すこしずつの衝撃には耐え切れるけど…一気に大きな衝撃が来ると耐えきれずに膝ついちゃいそう。
それが戦場では命取りだもんなあ。
けど…その心配は無用かな?たしか悪魔にならないと獲得出来ないはずだし。
でもあれだよね、私が使えるってことはラフィリアも使えるんだよね…戦いたくなくなってきた。
あんなでも多分強いんだろうなぁ。ちょっと怖い…けど、ラフィリアだし大丈夫か。ラフィリアだし。
「やっと終わったか!?待ちくたびれたぞ!」
「あっ、ごめんねリア。ちょっと考え事してて…もうすこし前には終わってたんだけど」
「ねね、みんなぁ。あそこの鬼、さっきのだよね?なんかずーんって落ち込んでる気がするけど?」
「たしかにそうなの。へこんでる…」
「ちょっと別の話するけどごめんね?特典選んでねって言われたんだけど、どれがいい?レアドロップアイテム加算、経験値加算、スキルの獲得、鬼のテイムなんだけど」
「「「そこはもちろん!」」」
アイコンタクトをする3人。
同じことを考えてるっぽいけど…なにを選ぶのかな?私としてはテイムしたいんだけど、みんな(リアを除く)で倒したものだからね。勝手に決めるのはよくない。
さぁ!運命はいかに!
「「「せーのっ!鬼のテイム!」」」
「おっ、私もそれ考えてたんだ!じゃあそうしよう!選んじゃうね!」
ぽちっと。
選んだ瞬間。
鬼の姿が変わる。人間になっていたのだ。
…私の仲間たち、人間になれる子しかいなくない?
あ、すぐにテイムされるわけじゃないのね。
えーっと…鬼と仲を深めてください…か。
ボスをテイムするだけしてぽーいっていうのは運営的にも嫌なのだろう。
だからってことかなぁ。
とりあえず話しかけてみようか。
この情報はミルたちに共有して…っと。
すぐにわかったとばちこーん☆ってウインクが飛んでくる。かわい。
「え、えーっと…」
「知ってる。僕には興味がないんだろ?所詮負けた敗者だからな。勝者には負けたものの違いがわからないんだ…僕は弱いから…あぁもういやだ!逃げたい!現実逃避したい!うわぁぁぁああん!!」
なんていうかさ…ネガティブな子だね。
燃えるような赤い髪と緋色を宿したような瞳からは全然想像出来ない。
泣いてるけど…どうやって慰めればいいんだろ?
私にも妹はいるけど…小さい頃に泣いてた妹の慰め方を知らずに、なんかイライラしてきたからブチ切れたんだよね。
そしたら止まった。それ以降私がいる所では泣かなかったと母越しに聞いている。
だがそんな妹は明るく育った。小さい頃のことなど知らずに慕ってくれている。
……いや、小さい頃のこと普通に覚えてるよな。
だって私のブチ切れゲージがあがっていく事を察すると脱兎のごとく逃げる。
むむ…さすがに怒る訳にはいかない…
仕方がない!ここは切り札を出そう…!
「いけ!正義のもふもふ!」
「まっかせて!」
鬼に向かって飛び出すラビ。
それを反射的にキャッチする鬼。
その刹那。鬼の顔がみるみるうちに緩んでいく。
うむ。わかるぞ。ラビのもふもふは至高を超えた至高だ。
「えへへ…もっふもふだぁ。僕の攻撃を防ぎまくったうさぎさんとは思えないほどもっふもふだぁ。もふもふってこんなにいいものなんだねぇ…心が浄化されていく…」
「撫でる手つきいいなぁ…僕すっごい気持ちい…やばやば、眠くなってくる…ここ、日向ぼっことしてちょうどいいあったかさだもん…ふぁ…おやすみ…」
「おやすみうさぎさん…わかるよ、ここお昼寝に良いもんね。僕もよく寝るからわかるよぉ…」
このままだと条件達成はいけるかな?
ラビは寝ちゃった。
はは…前言撤回。この子めっちゃふわふわした子。さっきのネガティブさは何処へ!?
「ねぇねぇ…みんなでお昼寝しよぉ?ここ気持ちいいよぉ…」
…このゲームって寝落ち設定はどうなってるんだっけ?
あっ、設定でいじれる…10分以上眠ると強制ログアウトをオフにして…っと。
これでお昼寝出来る。
リアルでの時間?んなのしらねぇよ。
まぁリアルくらいどうにかなる。
ということでおやすみ。
あ、1つ忘れてた。
「うん!お昼寝しよっか。リア【狼化】してほしいな」
「たしかにそっちのほうがいいよな!わかった!【狼化】」
1.2mくらいの大きさの大きさになったなぁ…
私達を囲むように芝生に丸くなった。
「おやすみ…」
そうして私はお昼寝する。




